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【定義】

『仏祖統記』巻36(『大正蔵』巻49-345b)に見える、十句からなる観世音菩薩讃歎のための経文(下記引用文の下線部)のこと。中国成立の偽経とされる。
二十七年。王玄謨、北征して律を失い、蕭斌これを誅さんとす。沈慶之、諌めて曰く、「仏貍の威は天下を震わす。豈に玄謨の能くする所ならんや。当に戦将を殺すは、徒に自ら弱めるのみ、乃ち止むべし」と。初め玄謨、将に殺されんとするに、夢に人告げて曰く、「観音の経、千遍誦せば免るべし」。仍て其の経を口授して曰く、「観世音、南無仏、与仏有因、与仏有縁、仏法相縁、常楽我浄、朝念観世音、暮念観世音、念念従心起、念念不離心」。既に覚え、之を誦し輟めず。忽ち唱うれば刑、停まる。後に官、開府に至って年八十二。

状況を見れば、北征に失敗した王玄謨という者が、敵将に捉えられて殺されそうとしたが助かったという。その前に、この王玄謨の夢に、ある人が現れ、後に『延命十句観音経』と呼ばれる経文を教えたという。

また、『大正大蔵経』巻85「疑似部」に含まれる『仏説高王観世音経』にも、「観世音菩薩、南無仏、南無法、南無僧、仏国有縁、仏法相因、常楽我浄、有縁仏法、南無摩訶般若波羅蜜」という、この『延命十句観音経』の一部と思われる文章が見える。また、実際には、現在の曹洞宗で『仏陀神咒』と呼ばれる偈文に近い形の陀羅尼が、同じ観音信仰でも、典籍への登場が多いように思う。

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