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【定義】

江戸時代の損翁宗益の言葉を、弟子である面山瑞方が筆録したもの、随聞記。全1巻。宝永3年(1706)から同6年(1709)までの間に成立したが、自題は延享元年(1744)12月24日に書かれている。冒頭には、卍山道白の手になる、損翁像への賛や、面山と卍山とで遣り取りした手紙が収録される。本書を書いた経緯については、面山自身の後序に見える。
時に、琳(僧の桂琳)、東遊して青松に寓し、乃ち余の相州に閉関するを聞いて特に訪れること二回。留宿すること数日、互いに法話を打す。唯だ恨むらくは、自ら宿福無くして先師に見えざるのみ。且く余の蔵王の冥助に由りて、速かに先師に見えることを羨むのみ。且く余に告げて云く、公、也、未だこれを忘れざる中に、何ぞ随聞の記を録して、以て宝慶記に倣わざるや。

このように、面山の知り合いの僧から、勧められて、著した経緯が伺える。

【内容】

面山は、元禄15年(1702)7月に、江戸の青松寺?にいたが、損翁の弟子であった益山の手引きで、江戸・土器街にて損翁に謁してより、宝永元年5月頃に到るまで仕え嗣法した。その間、損翁に参随し見聞した宗要の筆録を残し、『見聞宝永記』として編集した。内容は、宗統復古運動に関する提言から、古規復古運動に関する提言、他にも坐禅論・見性論・修証論・因果論・禅戒論・嗣法論・五位論・仏陀論を始めとして、種々の重要な問題を、道元禅師の宗旨の立場から宣揚された、極めて優れた提唱が多数収められている。

また、当時損翁が住していた泰心院?は、仙台藩の僧録の一つであったが、僧録運営上に起きた問題や、仙台藩主・藩政との関わり、或いは黄檗宗や浄土真宗(一向宗)といった他宗派の僧との遣り取りや、不生禅で知られる盤珪永琢(臨済宗)への批評なども収められている。さらに、江戸時代初期の仙台(現在の宮城県仙台市)の様子を知るための、良い資料を提供している。

現在このテキストは、『続曹洞宗全書』「法語」巻で見ることが可能である。

【関連著作】

・中野東英著、中野東禅監修『損翁禅話―面山和尚が見た、本師の一〇八逸話 面山著「損翁老人見聞宝永記」讃』(四季社・2006年)

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