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【定義】

中国にて大きく展開した禅宗が、やがて5つの宗派(臨済宗・潙仰宗・曹洞宗・雲門宗・法眼宗)に別れたが、その総称を五宗という。または五家とも。
すなはち五宗の高祖、おのおの受持せる、それ正伝なり。 『正法眼蔵』「伝衣」巻

【内容】

道元禅師は、中国禅宗五家の分裂・分派について、先に引いた「伝衣」巻のように、肯定的に捉える場合もあるけれども、「仏道」巻では、そのような態度を全面的に否定される。
しかあるに、近代の庸流、おろかにして古風?をしらず。先仏の伝受なきやから、あやまりていはく、仏法のなかに五宗の門風あり、といふ。これ、自然の衰微なり。 「仏道」巻

そして、道元禅師自身も、中国に入った当初は、そのような五宗・五家の分裂を肯定的に見ていたが、後に転換したことを述べる。
先師古仏を礼拝せざりしさきは、五宗の玄旨参究せんと擬す。先師古仏を礼拝せしよりのちは、あきらかに五宗の乱称なるむねをしりぬ。 同上

また、何故この五宗というような誤った呼称が世に出て来たかについて、以下の指摘がある。
いま五宗の称を立するは、世俗の混乱なり。この世俗にしたがふものはおほしといヘども、俗を俗としれる人すくなし。俗を化するを聖人とすべし、俗にしたがふは至愚なるべし。この俗にしたがはんともがら、いかでか仏正法をしらん、いかにしてか仏となり祖とならん。七仏嫡嫡相承しきたれり、いかでか西天にある依文解義のともがら、五部を立するがごとくならん。 同上

本来、禅僧だろうと何だろうと、受け嗣いでいるのは仏正法(正法眼蔵)のみであって、宗派の呼称などは不要だというのが、「仏道」巻の立場である。しかし、世俗が呼称を用い始め、結果として僧侶の側もそれを受け入れた、というのが道元禅師の主張である。

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