【定義】
��仏教に於ける修行として、四禅を得たときに四果を得たと思う増上慢の比丘を指す。四禅とは、小乗仏教の声聞の修行の段階で、これに四向・四果など違いがあるが、増上慢の比丘は、これらの区別を付けることが出来ない。
��道元禅師の『正法眼蔵』の巻名の一。95巻本では90巻、12巻本では10巻。説時・説所は不明。
【内容】
道元禅師はまず、『大智度論』巻17から、四禅比丘の定義を引用して以下のように述べる。
そして、四禅比丘の３種類の問題点とは以下の内容である。
道元禅師の本巻で示した批判点は、まさに如来という存在を勘違いしている者への批判である。如来を知らないからこそ、四禅比丘は増上慢を起こして、自らを如来であると誤解するのである。他にも同巻では「見性成仏」を示した『六祖壇経』への批判、そして儒仏道が一体であるという「三教一致」へも批判が寄せられる。そして、道元禅師が示した正しい如来の定義とは、超越的存在である如来は、容易に我々の知見に還元してはならないことを説かれるのである。
ところで、同巻も他の12巻本『正法眼蔵』の諸巻と同じく下書きの段階だったようである。奥書には以下のようにある。
��仏教に於ける修行として、四禅を得たときに四果を得たと思う増上慢の比丘を指す。四禅とは、小乗仏教の声聞の修行の段階で、これに四向・四果など違いがあるが、増上慢の比丘は、これらの区別を付けることが出来ない。
��道元禅師の『正法眼蔵』の巻名の一。95巻本では90巻、12巻本では10巻。説時・説所は不明。
【内容】
道元禅師はまず、『大智度論』巻17から、四禅比丘の定義を引用して以下のように述べる。
この比丘を称して四禅比丘といふ、または無聞比丘と称す。四禅をえたるを四果と僻計せることをいましめ、また謗仏の邪見をいましむ。人天大会みなしれり。如来在世より今日にいたるまで、西天東地、ともに是にあらざるを是と執せるをいましむとして、四禅をえて四果とおもふがごとしとあざける。この比丘の不是、しばらく略挙するに三種あり。
そして、四禅比丘の３種類の問題点とは以下の内容である。
第一には、みづから四禅と四果とを分別するにおよばざる無聞の身ながら、いたづらに師をはなれて、むなしく阿蘭若に独処す。
第二には、初禅をえて初果とおもひ、二禅をえて第二果とおもひ、三禅をえて第三果とおもひ、四禅をえて第四果とおもふ、第二のあやまりなり。
第三には、命終のとき、おほきなるあやまりあり。そのとがふかくして、つひに阿鼻地獄におちぬるなり。たとひなんぢ一生のあひだ、四禅を四果とおもひきたれりとも、臨命終のとき、四禅の中陰みゆることあらば、一生のあやまりを懺悔して、四果にはあらざりきとおもふべし。いかでか仏われを欺誑して、涅槃なきに涅槃ありと施設せさせたまふとおもふべき。これ無聞のとがなり、このつみすでに謗仏なり。これによりて、阿鼻の中陰現じて、命終して阿鼻地獄におちぬ。たとひ四果の聖者なりとも、いかでか如来におよばん。
道元禅師の本巻で示した批判点は、まさに如来という存在を勘違いしている者への批判である。如来を知らないからこそ、四禅比丘は増上慢を起こして、自らを如来であると誤解するのである。他にも同巻では「見性成仏」を示した『六祖壇経』への批判、そして儒仏道が一体であるという「三教一致」へも批判が寄せられる。そして、道元禅師が示した正しい如来の定義とは、超越的存在である如来は、容易に我々の知見に還元してはならないことを説かれるのである。
おほよそ如来世尊、はるかに一切を超越しましますこと、すなはち諸仏如来・諸大菩薩・梵天帝釈、みなともにほめたてまつり、しりたてまつるところなり。西天二十八祖ともにしれるところなり。おほよそ参学の力あるもの、みなともにしれり。
ところで、同巻も他の12巻本『正法眼蔵』の諸巻と同じく下書きの段階だったようである。奥書には以下のようにある。
建長七年乙卯夏安居日、御草案本（＝下書き）を以て書写し畢んぬ。懐弉
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