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【定義】

面山瑞方師が、仏祖の聖訓にしたがって、袈裟功徳を讃歎し尊重すべきであることを訓戒した書である。内容は全10章であり、全1巻。明和5年(1768)10月5日序刊。自序を見る限りでは、洛陽建仁寺の西来院にて書いたものである。

【内容】

書名だが、釈氏とは仏弟子になった者のこと、法衣とは袈裟のことである。本書の内容は、10章に分かれているが、それは以下の通りである。

第一 袈裟名義訓
第二 青黒色?衣訓
第三 糞掃衣
第四 金襴衣?
第五 但三衣訓
第六 紫緋衣訓
第七 律家布衣訓
第八 象鼻衣?
第九 軽侮見罰訓
第十 袈裟功徳

つまり、袈裟の名前や色、或いは分類や製法、そして功徳に至るまで、事細かな説示がなされている。その一々に於いて、道元禅師の『正法眼蔵』に依拠した提唱が示されるなど、宗義を前提に説かれることが特徴である。また、面山和尚がどれほどに袈裟を重要視していたかは、同著の凡例からも知られる(引用に当たってカナをかなに改める)。

一 これは、僧の功徳法身を荘厳する為にて、色身を飾る為にはあらず。ゆへに、糞掃衣を根本とする事を信ずべし。
一 金襴衣は、諸仏の境界ゆへに、凡夫の身にて著べからず。もし著れば、寿命短折すべし。
一 仏身と同前の袈裟をつけながら、小便する僧を見る。誡むべし。
一 袈裟を席の上にて展縮するを見る。福寿を減ずること、雪に湯をそそぐがごとし。慎むべし。
一 暑の時、律僧が衣角にて額の汗を拭ふを見る。布とばかり思ふて、帨と同前に用ふ。かなしむべし。
一 浴店にて、五條衣と俗服と内裙と一度に脱で打かさねて、裸形にて湯よりあがりてその上に坐ぜし僧を見る。言語道断なり。
一 金襴にて五條衣を製て掛る僧あり。〈以下略〉
一 長き緒を附て、腰膝より下に著る。非法の僧もあり。
一 近年は、洞家の僧が截交とて斑襴の衣を著は、非法は云に及ばず、第一祖訓を昧す。つつしむべし。

当時の弊風を目の当たりにした面山和尚の強い批判が見えると同時に、現代の者も心に銘ずべき事柄であろう。また、テキストは『続曹洞宗全書』「清規」巻、『禅門曹洞法語全集(乾)』他で見られる。

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