【定義】
江戸時代の
学僧・
指月慧印による仏教論集。正式名称は『不能語荒田随筆』である。「随筆」の名を冠するが、決して軽薄な文章ではなく、指月自身の博覧強記が十二分に発揮された著作でありつつ、しかも、
洞上の
宗旨を宣揚せんとする意図が見えるとされる。現在は、『大正蔵』巻82や『続曹洞宗全書』「語録四」巻などで見ることが出来る。
なお、江戸時代の版本だが、宇巻の延享元年(1744)9月の版本(江戸日本橋通壹町目・出雲寺和泉掾繍梓)は上巻の上・下を収録しており、元文5年(1740)8月28日に書き終わった原稿を元にしている。また、宙巻の延享2年(1745)春の版本(江戸日本橋通壹町目・出雲寺和泉掾壽梓)は下巻の上・下を収録しており、寛保萬年(寛保3年・1743)仏
涅槃会(2月15日)に書き終わった原稿を元にしている。また、叙は城南宝林短枝契黙真であり、後序は指月の伝法小子・用大心による。
【内容】
上下巻、それぞれ以下のような構成となっている。
・上巻之上
撰仏
出世不出世
修行成道
自証化他
現在滅度
衣座室
三乗
・上巻之下
戒定慧
諦縁度
伝教
・下巻之上
定祖
・下巻之下
定祖之余
次祖