【定義】
知は司ること、事は事務のことで
叢林の運営のことである。
【内容】
禅宗寺院の運営を司る責任ある役僧のことを知事という。『禅苑清規』では四知事であったが、中国南宋の頃には
都寺・
監寺・
副寺・
維那・
典座・
直歳という
六知事が設けられた。
仏家に本より六知事有り。共に仏子たり。同じく仏事を作す。 『典座教訓』
また、知事の補佐として
頭首という役職も設けられている。そして、
日本曹洞宗では、
道元禅師の『
知事清規』にしたがって、その役責が定められている。同著にて、知事とは優れた僧を選ぶべきだとしている。
知事は、貴にして尊為り。須く、有道の耆徳を撰すべし。
なお、『
永平広録』を見る限り、知事や
頭首という役僧には任期があったようで、その交代時には労をねぎらう
上堂を行ったことが知られている。
新旧の監寺・典座を謝する上堂。州中の黄米を糴得し来る、柴頭、火を帯びて山隈に上る。風雲、感会して、龍、水を得たり。功徳円成す、眼、豁開。 『永平広録』巻3−214上堂