KLFを正しく聴こう

KLFの音源を正しく手に入れられれば、万一CDであればそれをプレイヤーにセットし、MP3などであれば再生しスピーカーより聞くだけですが、その前に大切なことがあります。
それは「現代の音楽業界に満足せず、嫌気を持っておく」ということです。
商業主義の音楽業界全体に嫌気を持つなどの難しいことを考えなくても、アーティストやアイドルの言動や風貌、名前など一部でもマイナスな感情をもっていくことが大切です。この感情は後にKLFという先人たちが受けた弾圧に対する怒りを助ける働きがあるので、決して満足した状態でいないようにしてください。
どうしても現在の音楽業界に不満をもてない人は、無理やりにでも浜崎あゆみが出したすべてのシングル曲や、つんくプロデュースやジャニーズに所属するタレントのプロフィールを一字一句間違えずに覚えるなりしてみてください。

そのようにして準備が出来たら、まずは音源「1987」を一通り聞きます。このアルバムにはさまざまな曲のサンプリングが使用されており、ある程度古い洋楽を知っている人であれば、すぐにサンプリングされた曲が何であるかわかるでしょう。そしてCD全体がそのサンプリングの上に質素なドラム・二人のラップを乗せただけという、非常に簡素な構造で作られていることがわかるでしょう。
音楽に詳しい人や今まで熱心に聴いていた人は、この音楽をしょぼいと鼻で笑って済ませるかもしれません。しかしそれは音楽業界に対する批判であれば問題にならず、むしろしょぼければしょぼいほど良いということを肝に銘じるようにしてください。
私たちがこれからしなければならないことは、すばらしい音楽を作ることではなく、いかに業界に対峙する姿勢を見せつけられるか、ということにかかっています。つまりは、内容はどうであれ「サンプリングした」という事実のみで業界を震撼させる、「1987」はその点において最良のアルバムといえるでしょう。

不幸にもサンプリングされた曲がわからなくても、この後に音源「1987 Edits」を聞けば問題ありません。この音源は「1987」の別バージョンですが、サンプリング部分が無音になっているため曲によってはほとんど音がしないという状況になっています。それもそのはず、これは「1987」がトラブルで業界から回収指示をを出された後に作られた、違法にならないCDなのです。
しかし彼らは決して曲を作り変えることなく、逆にサンプリングが使用されている部分を完全に消音するという手法を取りました。さらにCDに使用していたサンプリングリストを記載して「1987を本来あるべき姿へ戻せ」という指示まで載せるという行為を取っています。これは音楽業界に対する挑戦に他ならないでしょう。
回収に至った原因は後で追って学ぶとして、私たちがこの音源から学び取らなければならないことはまず「音楽業界に強い怒りを抱く」こと、そしてトラブルに巻き込まれても反骨精神を見せて受け流す「先人の知恵」です。
この二つの精神を持たなければ、この後簡単にKLF「のような」活動はできても、KLFにふさわしい考え方・活動には至らないので、リスニングは念入りに行ってください。「1987 Edits」と現在の普通の音楽CDを対比させて聞くのも良い方法です。

無音の部分に強い怒りを感じられるようになったら、できるだけ早く次のステップに進みましょう。なぜなら怒りの衝動は冷めやすく、スピードが大切だからです。

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