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JRの安全管理不備を指摘 尼崎脱線事故調・報告書案

http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000196387.sh...
2006/12/20

 尼崎JR脱線事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は十九日までに調査した「事実関係報告書案」をまとめ、二十日付で公表した。鉄道事故の調査報告では初めて、事業者であるJR西日本の安全管理体制をめぐる企業風土などの問題点を指摘。事故原因について事故調委は、高見隆二郎運転士=死亡当時(23)=が、伊丹駅でのオーバーランを報告していた車掌と指令との無線に聞き入り、現場カーブ手前でのブレーキ操作が遅れた可能性が高いとみている。

 報告書案によると、事故を起こした快速電車(七両編成)は現場の右カーブに時速百十六キロで進入。ブレーキをかけたが時速百五キロで、午前九時十八分五十四秒、現場マンション手前約六十メートルの地点で先頭車両から脱線したことが分かった。

 快速電車は伊丹駅で約七十二メートルオーバーランした後発車した。塚口駅手前の直線で制限時速の百二十キロを四-五キロ超え、ブレーキをかけ約四十秒後に現場カーブに進入。車掌と指令との無線交信はこのブレーキとほぼ同時に始まった。車掌がオーバーランを「八メートル」と報告し、指令が復唱して運転士に呼び掛けた直後に脱線した。

 脱線に至る速度超過の背景に、宝塚駅直前で列車自動停止装置(ATS-SW)による非常ブレーキ作動を報告しなかったことが高見運転士の動揺を生んだ。さらに、高見運転士がオーバーランの距離の報告について車掌に「(少なく)まけてくれへんか」と依頼しており、車掌がどう報告するのか、気にしていた可能性があるとみている。

 報告書案はJR西の安全管理にも言及。社長や会長ら役員が二〇〇三年十月、事故の予兆の情報収集について論議。責任を問わず事例を把握すれば事故防止につながるとする意見は、時期尚早として見送られた。このため高見運転士と同様のミスが以前にも起きていたが、予兆把握ができなかったと指摘している。

 このほか新型列車自動停止装置(ATS-P)の設置遅れや遅延が生じやすいダイヤ編成、運行の総責任者の鉄道本部長が、カーブでの脱線事故について「考えたことがない」と認識不足だった点なども挙げた。

 また高見運転士が右手袋を外した状態で見つかり、近くに赤鉛筆が落ちていたことも判明。事故調委は、交信内容などをメモしようとしたことが考えられるとしている。

 事故調委は、学識者らに報告書案の見解を求める「意見聴取会」を二月一日に開催。来春にも、最終報告書を公表する。

■尼崎JR脱線事故 2005年4月25日午前9時18分ごろ、尼崎市のJR宝塚線(福知山線)塚口-尼崎間のカーブで、宝塚発同志社前行き上り快速電車(7両編成)の1-5両目が脱線し、1、2両目が線路脇のマンションに衝突。乗客と運転士計107人が死亡、555人(兵庫県警調べ)が重軽傷を負うJR史上最悪の事故となった。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は、時速116キロで現場カーブに進入した運転士の速度超過が脱線の主原因と断定している。
2006年12月21日(木) 03:53:38 Modified by umedango




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