達成感?実プレイ?何の事です?

対応レベル:1〜2



導入

PCは冒険者の店でピートという俳優からの依頼を回される。
(支払える報酬が少ないため駆け出しのPCぐらいしか雇えない状況)
彼は同僚の女性ホリィの護衛を頼みたいという。
ピート(人間、男、22歳)
一般技能:ヒーラー3、アクター3
貧しい薬草師の家に生まれた俳優の青年。一人称は「僕」。
劇団に入って7年になるが華が無いため端役ばかりで低収入。
同僚ホリィを密かに愛しており、同時に偉大な女優として崇拝している。

幼馴染同士のピートとホリィは同時期に同じ劇団に入った。
現在ホリィはスターとして華々しく活動しているが、1週間ほど前から不審な事件が続いてた。
ホリィの近くにセットが倒れたり、衣装に針が仕掛けられたりした。
幸い彼女に怪我はなかったものの、ヒーラーの心得があるピートは針にが塗ってあることに気づいた。
彼以外の劇団員は一連の事件を事故だと思っているが、もしかすると何者かがホリィの命を狙っているのかもしれない。
彼女を護衛すると同時に彼女を狙っている者の正体を突き止めてほしい…それがピートの依頼だった。

劇団員の聞き込み

彼らの所属する劇団で聞き込みをするならピートが練習場まで案内してくれる。
もし内部に犯人がいるとしても、冒険者を見れば警戒するので事情を隠す必要はないだろうとピートは語る。
ホリィをヒロインとするオペラが10日後に上演されるので、劇団員はその練習に忙しい。
ピートも練習の合間を縫ってPCに会いに来ているので基本的にPCとは別行動。

練習後ホリィに話を聞くなら、彼女はピートが冒険者に護衛を依頼したことをまず驚く。
「私のことになると冷静じゃなくなるんだから……」と複雑な表情。
しかし彼のことを嫌っている様子はなく、むしろ憎からず思っている様子がうかがえる。
ホリィ(人間、女、23歳)
一般技能:アクトレス7 シンガー5
劇団一の人気女優で、長い黒髪が特徴的な清楚な美女。努力家。
自分を応援してくれるピートのためにも一流の女優になることを目指している。

恨まれるような心当たりについて聞くなら、ホリィは平然とした表情で「全くありません」と答える。
PCがその態度を演技ではないかと疑う場合は冒険者技能+知力ボーナスを基準値として成功ロール。
達成値16以上なら彼女にわずかな動揺があることが見抜ける。

ホリィは私の護衛なのだからとPCへの報酬を自分が肩代わりすることを提案する。
それを受け入れるか二重取りをするかはPCの自由。
(ちなみにピートが支払う報酬は彼の全財産。ホリィはそれを見抜いている)

ホリィ以外の劇団員からも彼女を恨んでいるような人物の情報は得られない。
劇団の誰もが口を揃えてホリィは人間的にも優れた女性だと証言する。
今回ヒロインの座を争ったベテラン女優もいるが、やはりホリィを恨んではいない。
わずかな悔しさは見せるが、ホリィの方が実力もあり若さでも勝っているのだからと素直に負けを認めている。
しかし、一つだけ許せないことがあるという。
決して憎んでいるという意味ではなくホリィのためを思ってだが、と女優は言葉をにごす。

ホリィを狙ったと思われる仕掛けについては、劇団の者なら全員に可能性があるとしかわからない。
結局、劇団内部ではそれ以上の有力な情報を得ることはできない。
なおピートについて聞くなら、少なくとも人間的には皆から好かれている。
本人は隠しているがホリィを女神のように思っていることがバレバレで微笑ましいらしい。

街で得られる情報

ピートが保管していたという毒針を盗賊ギルドか魔術師ギルドで鑑定してもらうなら、
かなり危険な毒が塗られていると教えられる。
もし毒が傷口から体内に入ると、一般人なら命に関わるらしい。
しかし材料はありふれた野草で調合も決して難しくはないそうなので犯人を絞り込むことは困難。

盗賊ギルドではホリィに関する情報を聞くことも可能。
事実中傷かは不明だが、なんとホリィがヒロイン役を勝ち取るために枕営業しているという噂があるらしい。
出所不明の怪情報ではあるが、それを裏付けるような事実も確かに存在する。
例えば今回のオペラでホリィをヒロインに指定したのは脚本を書いた老作家だが、
そいつはこれまでに多くの女優や歌姫を喰ってきたヒヒジジィとして悪名高い。
ホリィが肉体と引き換えに役を回してもらったという解釈も成り立つ…。

枕営業の件をホリィ本人に確認するなら、もちろん彼女は否定する。
「一体誰がそんなことを!」と顔を真っ赤にしてPCに詰め寄る(これは演技ではなく素)。
ピートに確認するなら「ホリィがそんなことするわけありませんよ」と余裕の顔。
その他の劇団員もピートと似たような態度。
しかしホリィとヒロインの役を争ったベテラン女優だけは含みのある表情をする。
「事実であるなら私は感心しないわね」と彼女は言う。

新たな事件

依頼を受けてから数日後、新たな事件が起こる。
ピートとホリィだけがいる状況になると、ついに完全な襲撃事件が発生。
(劇団の練習がある以上そのような状況は避けられない)

PCが近くにいるかどうかは状況によるが、具体的には以下のような事件。
ホリィの悲鳴が聞こえ、慌ててそちらに向かうと、彼女が腕から血を流して倒れている。
ピートの姿はないが、しばらくすると息を切らせた彼が血のついたダガーを手に戻ってくる。
ホリィはショックのため話をできないのでピートが事情を説明する。
いきなり怪しい男が現れホリィを刺そうとした。彼女はそれをなんとか腕で受けた。
人が集まる気配を感じると男は慌てて逃げ出した。
ピートは男を追ったがすぐ見失ってしまい、血のついたダガーだけが落ちていた(ダガーは裏方で雑用に使われるもの)。
手当てを受けて落ち着きを取り戻したホリィも、ピートの証言を聞くとその通りだとうなずく。
男の顔はピートもホリィも見なかったらしい。

その日は大騒ぎとなり練習も中断。ホリィはPCに護衛されて自宅療養となる。
ピートはPCを責めたりせず、自分がいながらホリィを負傷させたことだけを激しく悔やむ。

最後の夜

ホリィの家は街外れの一軒家で、小さいながら手入れが行き届いている。
彼女の両親はすでに死去しており1人暮らし。
夜が更けるとホリィはピートも寝室に入って一晩中自分を守っていてほしいと訴えかける。
ピートは激しく狼狽しつつも最終的にはその任務を引き受ける。
もう絶対に誰にも手を出させない、とピートは決意の表情。
一方PCは寝室の外で護衛することになる。

もちろん、ピートが犯人ではないかと怪しんでいるPLもいるはず。実際正解
しかし彼がホリィを気遣っている態度は真に迫っており、とても(アクター3レベルの)演技に見えない。
仮にファリス神官がセンスイービルを使ったとしても彼から悪意は検出されない。

PCがホリィを説得しても、彼女はピートが一番信頼できると考えを変えない。
そしてこの晩、最後の事件が起こる結果となる。

事件の真相

やはりホリィの命を狙った犯人はピートだった。正確にはピートの別人格
別人格が生まれたことには深い事情がある。
一部で囁かれる噂の通り、ホリィは枕営業でいくつもの大役を手に入れてきた。
偶然その現場を目撃してしまったピートは激しい衝撃を受けた。
芸術の神に祝福された偉大な女優。自分にとっての女神。世界で最も大切な人間。
その彼女が、自分の肉体を使って役を勝ち取っていた。
これはピートの繊細な精神を破壊するほどの衝撃だった。
自我を守るため、ピートは無意識のうちに別人格を生み出し忌まわしい記憶を押し付けた。

ピートの第2人格は普段とは真逆にホリィへの憎しみに満ちていた。
「彼」にとってホリィは芸術を冒涜した背信者であり、
ファンの信頼や何よりも自分のを踏みにじった汚らわしいだった。
「彼」の意識は定期的に表面化し、ホリィを殺害するために暗躍していた。
ヒーラーの知識で毒針を仕掛けたのも、ダガーで彼女を刺したのも「彼」だった。

ホリィはピートの変調に薄々気づいていた。もちろん理由も。
彼女は今晩、命をかけてピート(別人格)を説得するつもりだった。
自分が体を捧げてまで役を手に入れてきた理由はピートのためだったと。
実は1年前、彼女は愛するピートに結婚を申し込んでいた。
しかしピートは喜びながらも苦渋の表情でそれを拒んだ。
「僕が愛するホリィは舞台で輝く女優としてのホリィなんだ」と。
もし結婚してあの輝きが失われてしまったら、互いが不幸になってしまう。
「だから僕を愛するなら、世界一の女優となってほしい」とピートは言った。
その言葉が以後のホリィの人生の指針となった。
1日でも早く大女優となることを目指し、そのためには自分の肉体を犠牲にすることさえ厭わなかった。
確かに枕営業ではあるが、演技には一切の妥協をしなかった。
彼女が肉体を捧げた連中は、彼女が世界一の大女優となるための踏み台に過ぎなかった。

寝室で2人だけになると、ピートの第2人格が瞬く間に表面化する。
それに対してホリィは自分の想いを理解してほしいと訴えかける。

決戦

寝室に2人が入ってしばらくはホリィが何かを熱心にしゃべっている声が聞こえる。
しかし唐突に「自分の都合ばかり喚くな雌豚が!!」というピートの罵声が聞こえてくる。
怒り狂ったピートは憎しみに任せてホリィに暗黒魔法フォースを放つ。
これによって激しい物音がし、PCもただ事ではないと気づくことができる。
裏ピート(人間、男、22歳)
冒険者技能:ダークプリースト4
自分を裏切った(と思い込んだ)ホリィへの憎しみによって生まれた別人格。
名もなき狂気の神の暗黒魔法を使う。

以降の各キャラクターの行動は戦闘ラウンドのものとして処理する。
鍵のかかったドアを蹴破るにはPCの1人が自分の行動でドア破壊を宣言しなくてはならない(古代語魔法のアンロックでも可)。
ドアを破れば、そのラウンドのうちに他のメンバーも寝室に入ることができる。
ピートの望みはホリィ殺害だが、PCが入ってきたならそちらを先に始末しようとする。

戦闘開始時点で本来のピートの意識は完全に死に絶えている。
もし生け捕りにしてもピートはホリィへの罵詈雑言を口走るばかりで会話は全く成立しない。

冒険の結末

ホリィが生存

ピートが「死んだ」時点でホリィの人生の目的は失われる。
(狂ったピートは生きていても官憲に引き渡されそのうち死刑となる)
ホリィは自分の知っている範囲でPCに真相を話す。
翌日、彼女は劇団を辞め、財産を処分してPCに多額の迷惑料を支払うと街から姿を消す。
数日後に上演される劇では急遽ベテランの女優がホリィの代役を務める。
一応は1000経験点

ホリィが死亡

ホリィからの報酬や真相解明がないだけでほぼ同じ。500経験点

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