397 :名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 05:15:51 ID:t5szMJGH
「ずっとこの時を待っていた!必ず死なす!」
ブロフェルドに攻撃を仕掛けるドラッグス!ガチャガチャと小うるさく鳴る足音も勇ましく猛突進する!
同じ拳法だというから気を練って放出するブロフェルドと同様の遠距離攻撃に出ると思ったが…以外にも彼女は走り寄る!
その足は常人の速さを超える。道行く原付バイク程度なら悠々と抜けるくらいだろうか…とにかく初速が違う。
大して離れていなかった(数メートル程度)間隔を数秒と数える間もなく縮め、ブロフェルド向けて拳を振るうドラッグス。
「――椎根獄屠掌(しいねごくとしょう)ッ!」
格闘ゲームよろしく技名を叫びつつ、開いた掌をそのままブロフェルドの胸板へと突き出す。
それを引きつけて寸前で避け…るかに見えたブロフェルドだったが2人の身体は一瞬の閃きを残して重なり合い、すり抜けた!
まるで互いの肢体が溶け合って絡み合い、次の瞬間には透過して離れたようにミユキには見えた。彼女は目を瞬かせた。
「ほぅ。平和ボケしてると思ったが腕は落ちていないようだな」
交錯した後、先に振り向いたのはドラッグスだった。移動による着衣の乱れを気にも留めず、勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
それから遅れて振り向いたブロフェルドの――右の肩口がバッと勢いよく服ごと避けた!
彼女自身はそれに対して何のリアクションも起こさなかったが、代わりにミユキが「なっ!?」と驚きをあらわにした。
以前の採掘場の戦いで傷一つ付くことなく組織(ミユキが在籍していた世界制服を目論むいかがわしい軍団)の手の者を
ことごとく殲滅していた彼女に先制して手傷を…信じがたい光景だった。
「そちらこそ……腕を上げましたね。ドラッグス」
裂けた肩に目をくれることなく平然とした顔で言うブロフェルド。
「くくく、俺も以前のドラッグスではない。"あの時"は不覚を取ったが……今度はそうは行かんぞ!」
ガッ!と特製ブーツで地面を踏みしめて構えを取る。腰を引いて"ちょっと待って"と言ってるようなポーズで止まり、呼吸を整える。
フゥオオオオオ〜〜……独特の息遣いで集中力を高める。闘気がその身から立ち上り、乱れた着物が持ち上がっていく。
「今こそ貴様に椎根蛇腑拳の真髄を見せてくれるわ〜。ふはははは!」
にやり。愉悦に歪んだドラッグス。その様にミユキは彼女の醜い性(さが)を垣間見て寒気を覚える。
ブロフェルドは――構えない。彼女の戦法に構えは無い。同じ拳法・同じ流派でもその姿勢が違っている、ということだろう。
棒立ちでよく見ると、彼女の右肩の負傷からの流血が完全に止まっている…恐るべき治癒能力!これも戦慄を覚えるに値する姿だ。
「椎根羅嬢撃(しいね・らじょうげき)ィィィ!!」
ブゥオガガガガガガガガ!!!!!!
ドラッグスはカッと目を見開いた直後、雄叫びを上げて両腕を高速で振り回し始めた!
女子の細腕から鳴るものとは思えぬ凄まじい旋風を伴う轟々という音。
回り続ける豪腕は手の構えを絶えず変えつつ舞う。当たれば死が待っているのは言うまでもない…
「ふはははは!どうだ!俺様の素早い突きがかわせるかぁ〜ッ!?」
戦闘の高揚感からか、彼女の"俺"が"俺様"になっている。その内"我"と書いて"オレ"とか言い出しそうだ。
ここで、ブロフェルドがはじめて技を放った。無為の姿勢から一転。手を突き出して放たれる青い閃光ッ!
ドォン!ドォン!一撃、二撃と炸裂する光線。ミス○ーサ○ンが"トリック"と言い出しそうな遠隔攻撃がドラッグスに直撃!
少なくともミユキはそう思った。が――炸裂で立ち上った煙の灰色からドラッグスは拳を振り回しながら抜け出てくる!

「効かんなぁ!何故効かぬのか分かるまい!!…死ねぇッ!」嘲笑とともに拳が嵐の様にブロフェルドの身に降りかかる。
「…くっ!」ここで、ブロフェルドは初めて苦悶の声を上げた。


398 :名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 05:16:21 ID:t5szMJGH
ガッキン!ガッキン!
拳と波動が交わり合う、2人だけの小さな戦場。その光景を、ミユキは呆然と観戦する他なかった。
自分が出て行ったら瞬殺だろうな。お茶の間の皆さんからしたら今のあたしってどうなんだろう。
彼女は悩んだ。今の自分って別に悪いことしてないし〜。女戦士(弱い)だが敵女悪女ではないだろう。う〜ん。

そんなミユキの心中を他所に、妹と着物ポニテは拳を打ち合っている。何にせよ、2人の戦いの前に彼女の出る幕はない。
だが、タイツは許さない!…面白くない!混ざりたい!混乱に乗じて近親ソーカンしたい!SEX!SEX!…サクセックス!
「くぉら小娘ども!主役は俺だおーッ!」
ザッと前に出るタイツ――その正義の味方の乱入を防ぐ影あり…"碧水"のクリスタトス。真っ白い礼服が無言で壁となり立ちはだかる。
「いかん。いかんよ。無粋な真似はよし給え」
相変わらず人を食ったような喋り方をするクリスタトス"3号"!やれやれ、というポーズも腹立たしい。
斜に構えた彼女の黒い瞳はタイツだけでなくミユキも視野に入れている。目だけで"どちらからでもいい。かかって来い"と訴えている。
彼女のスーツは本当に白い。ワイシャツまで真っ白だ。締めているネクタイだけが青い。
全体に黒と金色の斜線が入っているのが少し華やかな印象を与える…が、よく見ると熊さんの刺しゅうが施されている。可愛い。
「邪魔するってか。面白い!その真っ白なスーツと輪郭だけのプー○んマークを鮮血で染めてやるぜ!」
タイツは殺る気満々だ。ブフーッとピザみたいな鼻息を荒く流しつつ新たな標的と化したこの女に狙いを定める。
「血と汗と愛液を流せ!」
どこぞの四魔貴族みたいな台詞と共に勃起しつつ突撃。SATSUGAI、実行開始!
その先制攻撃を、彼女はあっさり避けの動作で避ける。思わず『KOF』を思い出しそうな、惚れ惚れとする動作だ。
「惜しい。実に惜しいぞボーヤ」
これまた独特の発音でタイツを子ども扱いするクリスタトス3号(番号付けで書くと、なんかキャ○メル○ンみたいだ)
で、"血風"が『ぼうや』。"淫毒"が『ボウヤ』だったが、"碧水"は『ボーヤ』らしい。タイツは怒り心頭だ。
「また俺"ぼうや"扱いかYp〜。俺のどこがボーヤなのか言ってみろ!いや、そのお○ンコに直接聞いてくれるわ〜!」
憤慨もそこそこにして2度目のSATSUGAIを股間を狙いって強攻!攻め攻めで征くわよぉ〜!
無駄にテンションが高いタイツ。だがクリスタトス3号は平静だ。そのニヤニヤ笑いは"血風"とは性質の違う物を感じる。
なんというか…おフランスとかザンス、ザマスの系統っぽい。一言で表すなら『イヤミ』だな。
「実に面白いぞボーヤ。面白いから…姉妹が世話になった礼も含めてお返しをさせてもらうとしよう。」
その瞬間、キュンッ!と澄んだ高音を残してクリスタトス3号の姿が…"消えた"!
「高速移動か!だが速さなら負けないぜ!それっ!」
瞬時にクリスタトス3号の移動した方向を察して走るタイツ。その目はクリスタトス3号の姿をハッキリと捕らえているッ!…しかし!

「ちょっ!なな、なんでコッチ来るのよォ!」

「うお!どけぇ〜ッ!」
移動する先に、"超"偶然だがミユキがいた。なんという不運。ミユキは世界を呪いたい気分だった。
だが今さら針路変更などできない。タイツはそのままミユキのいる方向へ走る!走る!…かーるいすっ!!
「こっちクンニ!」
「来んな、でしょうが!――ってしまっ……(バキッ!)……うわらば!」
ミユキは抗うどころか成す術もなくタイツの鉄拳をマトモに顔面に浴びて吹っ飛んだ!
即座に目を向くミユキ。鼻血が乱れ飛ぶ!前歯が一本折れた!意識が煉獄に堕ちる!「ぎゃー!」と怪鳥のような悲鳴が木霊するぜ!

(―――嗚呼、そうだった。哀しいけど、やっぱ自分って"やられ役"なのよネ…あはははは……はぁ)

頬を伝い宙へ躍り出ていく涙。本懐を遂げたミユキだったがその心中は諦観で占められていた。最後のは溜め息だ。
なんとなく笑顔。顔面粉砕は免れた、というかタイツの拳は容赦ない。これで何度目のSATSUGAIだろう。数えるのも馬鹿らしいぜ。
『オワタ\(^o^)/』とか『_| ̄|○ だめぽ』とかじゃない。もっとしょうもない物の片鱗を味わいつつ―――ドッギャア!
……ホールの壁に思いっきり衝突!彼女はそのままへばり付いたヤモリみたいにその場に留まっていたが2,3秒ではがれて倒れた。

―――ミユキ、退場。


399 :タイツの人:2007/03/23(金) 05:26:45 ID:t5szMJGH
ゴメ。眠い。

「超展開の前に滅せい!ミユキ!」
「ふざけんなぁ!(泣)」

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