四凶の東方、『点』にて心技を極める技。指打などを使い、強化・封殺など自在の身体操作を旨とする秘技を使う。
元来、心身を癒し賦活化させる風呂の神を崇める独自の一派が時流と共に変化し、それらを守護する目的を持った兵となり、それらがさらに変化してきたものの末裔である。
かつてはいくつかの流派が存在したが、現在はほぼ絶滅しており、"仙湯"『不如帰』を守る罐守の一族、四方田一族のみが伝えている。
柔術・棒術など刃を持たない長柄武器を使う技術がルーツにあるとされているが定かではない。
特注デッキブラシ『村正』
四方田家先祖伝来の妖刀を鋳溶かし芯棒として精錬、デッキブラシの軸とした罐守専用の『戦闘用』デッキブラシ。
さらに錘の入ったブラシヘッドには殴打用の棘を仕込んでおり、全長約140cm、総重量2.5kgに達する長柄武器である。
非常に破壊力に優れる武器であるが、酷く扱いが難しく扱うには非凡な腕力とバランスセンスを求められる。
先代・六代目『罐守』であった百舌九十九の時に作り上げられ、『罐守』のシンボルのようなものとして現在は伝えられている。
技法・技
『火眼金睛』(かがんきんせい)
『罐守』の中でも罐の神に愛された者のみに発現する、炎の力を操る能力。発現中は眼が紅くなり、金色の光を帯びる。
炎と熱を操ることができるようになるが、代償として『火』と『煙』を傍に置いておく事が必要となる。
神道四方田流
身体賦活化を目的として風呂神信仰からの技術発祥が起きた四方田流、その中から古武術流派として編纂されたものの便宜上の呼び名。
大きく身体操作術
『十干』と口伝のみにて伝わる奥義
『十二支』にて構成されている。
口伝按摩術『十二支』
四方田の罐守に口伝でのみ伝えられる、子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥に対応した十二通り存在する身体操作術の奥義。
その技は『十二支』に由来しているが、いずれも意図的に分かたれ、断片的なものであり初代罐守を除き、全てを知る人間はいない。
なお、東風湯の文献に伝わる『十二支』は以下四法のみ。
・口伝"申"『活法・狒々之湯浴』(ひひのゆあみ) - 四肢五体を活性化させ、強靭な運動能力を得る。
・口伝"巳"『捕法・大蛇蔓』(おろちかずら) - 当身投げ。当身にて相手を捕らえ、地に組み伏せる。
・口伝"寅"『禁法・五黄之寅噤』(ごおうのとらつぐみ) - 熊手のように開いた手による、無数の指打にて相手を封殺する。
・口伝"辰"『禊法・画竜点睛』(がりょうてんせい) - 奥義とされるが、委細は不明。
一合歓によれば、紐解かれた文献の資料によってさらに2つの口伝"子"・"酉"が明らかになっている。
・口伝"子"『眩法・鐵鼠』(てっそ) - 委細不明。
・口伝"酉"『鳴法・東天紅』(とうてんこう) - 自身の声帯を弄り声色を自在に操る他、対象の鼓膜を刺激する音を作り出して感知範囲を狂わせる。
身体操作術『十干(躰術)』
四方田一族に伝わる身体操作法、転じてそれを利用した格闘術の便宜上の呼び名。
甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の基礎十箇条が存在し、さらにそこから枝分かれするように各応用法に分かれている。
継承者不足によって歴史に埋もれてしまう事を懸念した一族の若者・冽によって、外部への解放と研究が進められており、
現在は横田市にある轟流忍術総本山にて新しい技術の修練と習得が行われている。
・丙『熱旋』(ひのえ・つむじ) - 相手の部位を掴んでいなし、一回転して叩きつける柔技。鵺は煙管を引っ掛けるだけで投げ飛ばす事ができる。
・壬『巖戸通』(みずのえ・いわとおし) - 『水を叩く』という、掌を重ねるように叩き込む打撃技。衝撃は身体を伝播し身体の先端から弾けるように炸裂する。
・辛『雷切』(きのと・らいきり) - 全身の筋肉を駆使して繰り出す、神速の手刀突き。その破壊力は雷すら切ったと伝えられている。
主な関係者・関連人物
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『傾國』四方田鵺
五代目『罐守』、現・四方田一族頭首。本名は
鵼(読み方は同じ)。年齢不詳(外見は30歳ぐらいに見えるが実年齢は100歳に近い)で愛煙家の女性。
半纏にもんぺ、ぼさぼさ髪に咥え煙管という風体だが、かつては『傾國』と呼ばれた絶世の美女で歴代『罐守』の中でも比類する者無しと謳われた実力者である。
豪放磊落・天衣無縫で知られた『東風湯』5代目主人、四方田巌の妻。『湯煙戦禍』に登場した同名人物と同一人物。
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『天衣無縫』四方田巌
四方田鵺の夫で、伝説の『天岩戸事変』で知られる5代目の『東風湯』主人。故人。
その荒々しい性格と伝法な口調とはうって変わった人格者で、四方田家に婿入りした人間でありながらも一族内でも屈指の傑物と呼ばれていた。
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百舌九十九
六代目『罐守』(女性)。偽名であり、本名は不明。重度のチェーンスモーカー。高い身体能力を誇り、その実力は五代目に継ぐとされていた。
『湯煙戦禍』において最後の戦いにて消息不明となってからは現在も行方は知れず。『湯煙戦禍』に登場した同名人物と同一人物。
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一檸檬
七代目にして現・『罐守』(女性)。本名は四方田檸檬だが、亡父の名前を継いでこの苗字を名乗っている。
『湯煙戦禍』に登場した同名人物と同一人物。
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一冽
檸檬の息子。双子の兄。高校を卒業して、現在は横田市にある轟流忍術総本山にて修行中。
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一合歓
檸檬の娘。双子の妹。次代『罐守』最有力候補。現在は横田大学に通学中。