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「フェラーリの減価償却費」

事件の概要

消費者金融業を営む同族会社A社は、取引先の上層部への接待や従業員の福利厚生のための船舶(ぷレジャーボート)と、役員の通勤及び出張時の交通手段であるフェラーリを、会社の資産として取得し、減価償却していた。
これに対し課税庁は、これらは代表者の個人的趣味により取得したものであり事業の用に供しているとは認められないとして、同族会社の行為計算否認の規定により、取得価額を役員賞与と認定したうえ、減価償却費を損金の額から減算した。

裁決要旨

(1)船舶について
船舶については、燃料を給油した事実は認められるが、船舶利用規定の定めもなく、誰をどのような目的で乗船させ運航したかの説明はないので、事業の用に供したかどうかを確認することができない。役員個人が負担すべき船舶の維持費などの支出をA社に転嫁したことになり、利潤を追求することを目的とする経済人の行為として不合理・不自然であると認められる。
(2)フェラーリについて
A社は、他の役員用の乗用車としてロールスロイスとベンツを所有しており、これらの車は、使用する役員自身が運転し、運転記録は作成していない。A社の出張旅費規程によると社用車による日帰り出張の場合は旅費は支給しないことになっている。
フェラーリは、社長の通勤及び支店を巡回指導する際の交通手段として使用されており、このフェラーリを選定した理由は排気量が大きく堅固であること、遠方の支店に出張する際は安全性もあり、運転が楽であること、中古車として売却する際の価値もあることのほか、社長の個人的趣味もある。
車検記録を調査したところ、3年間に7598km走行しており、社長に対しては交通費及び通勤手当は支給されていない。フェラーリが、主として使用する社長の個人的趣味によって選定されたものであるとしても、現実にA社の事業の用に使用されていることが推認できる以上は、課税庁の主張を採用することはできない。

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参考文献・資料

『税のしるべ』大蔵財務協会(平成20年6月23日)P.6

関係法令等


裁判情報


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裁判種別

原審・上訴審

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類似/参考判例等

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