H180328東京高裁判決
最終更新：ID:J09IkfWcmA 2008年04月10日(木) 10:36:11履歴
事件の概要 
平成13年に相続した土地が広大地に該当するか否か
納税者は、面積が895�屬療效呂砲弔い董�開発行為が必要だから広大地の適用ありと主張。
これに対し当局側は５つに分割すれば道路もいらず開発行為は不要だから広大地にならないと主張。
納税者は、相続財産である土地の評価について、財産評価基本通達によるべきではない特別の事情があり、不動産鑑定士による鑑定額をもって財産の価額であると主張し、上記通達によるとしても広大地の補正をすべきで、課税庁のした評価が過大で違法であるとして、課税庁の行った処分の取消を求めた。
原審は、納税者の主張をいずれも認めず、課税庁がした評価が相当であるとして請求を棄却したため、納税者が控訴した。
納税者は、面積が895�屬療效呂砲弔い董�開発行為が必要だから広大地の適用ありと主張。
これに対し当局側は５つに分割すれば道路もいらず開発行為は不要だから広大地にならないと主張。
納税者は、相続財産である土地の評価について、財産評価基本通達によるべきではない特別の事情があり、不動産鑑定士による鑑定額をもって財産の価額であると主張し、上記通達によるとしても広大地の補正をすべきで、課税庁のした評価が過大で違法であるとして、課税庁の行った処分の取消を求めた。
原審は、納税者の主張をいずれも認めず、課税庁がした評価が相当であるとして請求を棄却したため、納税者が控訴した。
判決要旨
裁判所は、当局側の主張を採用。
(1)相法22条にいう「時価」とは、当該財産の取得の時において、その財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間において、その財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間において自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額、すなわち、当該財産の客観的交換価値をいうものと解される。
(2)本件通達によりあらかじめ定められた評価方法により、画一的に財産の評価を行うことは、税負担の公平、効率的な租税行政の実現という観点からみて合理的であり、これを形式的にすべての納税者に適用して財産の評価を行うことは、一般的には、税務負担の実質的な公平をも実現し、租税平等主義にかなうものである。
(3)本件土地の価額を評価するにおいて、本件通達の定めによることが、明らかに本件土地の客観的交換価値から乖離した結果を導き、そのため、実質的な租税負担の公平を著しく害し、法の趣旨及び本件通達の趣旨に反することとなるなど、本件通達に定める評価方式によらないことが正当として是認されるような特別な事情がある場合には、本件通達による評価によらず他の合理的な評価方式によることが許されると解すべきである。
(4)納税者は、本件土地は不整形な画地で用途地域が中央部で二分され、住宅用地としては広大であり、本件通達によらない評価方法が正当と是認される「特別の事情」がある旨主張するが、本件通達は、納税者が主張するような事情があるときには、これに対応して評価すべきことを定めており（同通達20、20-5、24-4）、納税者が主張する上記事情が本件通達によらないことを正当として是認すべき特別な事情に当たらないことは明らかである。
(5)納税者は、本件鑑定書が本件土地の時価を1億3000万円と算定しており、これを前提に本件通達による課税庁の評価額が時価から大きく乖離し、上記特別事情があることを示している旨を主張するが、本件鑑定書が鑑定評価の方法において誤っているとまでは言えないが、本件土地が戸建住宅分譲用地として開発するのが最有効使用であるのに、最有効使用を共同住宅等の敷地とし、これを前提に比準価格や開発法、収益還元法を考慮している点で本件土地価格が過少に評価されているのではないかとの疑問が残り、適切であるとはいいがたく、本件鑑定書の評価を斟酌しても、本件通達に定める評価が実質的な租税負担の公平を著しく害するものであるとまで認めることはできず、これによっても本件通達の方式によらないことが正当として是認されるような特別な事情があることを理由付けるに足りないというべきである。
(6)上記のほか、本件において、対象土地の価格の急激な下落、本件通達において想定外の急傾斜や狭隘性等、本件通達に定める評価方式によらないことが正当として是認されるような特別な事情を認めるに足りる証拠はないから、本件土地の価額算定は本件通達の定める評価方式によるべきである。
(7)本件通達24-4は、「広大地」（その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で都市計画法4条12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの）につき、開発行為を行うとした場合に、大量の潰れ地が生ずるため、当該土地の評価の際に、潰れ地の生ずる程度により一定割合を減額する趣旨である。このことからすると、既に開発行為を了しているマンションなどの敷地用地や現に宅地として有効利用されている建築物の敷地用地などについては、既に開発を了していることから、標準的な地積に比して著しく広大であっても、「広大地」には該当しないことになる。また、上記の趣旨からすると、普通住宅地区等に所在する土地で、各自治体が定める開発許可を要する面積基準以上のものであっても、公共公益的施設用地の負担がほとんど生じないと認められる土地については、「広大地」に該当しないものというべきである。
(8)納税者は、仮に本件土地の評価に当たり本件通達を適用する場合であっても、本件通達24-4（広大地の評価に関する部分）による補正を施すべきであると主張するが、証拠によれば、例えば本件土地を被告分割図に従って戸建住宅分譲用地として開発する場合には、区画形質の変更（都市計画法所定の開発行為）に該当せず、国土交通省による開発許可制度の運用指針、都市計画法等の法令及び市の宅地開発指導要綱等に基づく道路等の公共公益的施設用地の負担は不要と認められ、本件土地の評価において、本件通達の「広大地」に関する部分の適用は不要である。
(1)相法22条にいう「時価」とは、当該財産の取得の時において、その財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間において、その財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間において自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額、すなわち、当該財産の客観的交換価値をいうものと解される。
(2)本件通達によりあらかじめ定められた評価方法により、画一的に財産の評価を行うことは、税負担の公平、効率的な租税行政の実現という観点からみて合理的であり、これを形式的にすべての納税者に適用して財産の評価を行うことは、一般的には、税務負担の実質的な公平をも実現し、租税平等主義にかなうものである。
(3)本件土地の価額を評価するにおいて、本件通達の定めによることが、明らかに本件土地の客観的交換価値から乖離した結果を導き、そのため、実質的な租税負担の公平を著しく害し、法の趣旨及び本件通達の趣旨に反することとなるなど、本件通達に定める評価方式によらないことが正当として是認されるような特別な事情がある場合には、本件通達による評価によらず他の合理的な評価方式によることが許されると解すべきである。
(4)納税者は、本件土地は不整形な画地で用途地域が中央部で二分され、住宅用地としては広大であり、本件通達によらない評価方法が正当と是認される「特別の事情」がある旨主張するが、本件通達は、納税者が主張するような事情があるときには、これに対応して評価すべきことを定めており（同通達20、20-5、24-4）、納税者が主張する上記事情が本件通達によらないことを正当として是認すべき特別な事情に当たらないことは明らかである。
(5)納税者は、本件鑑定書が本件土地の時価を1億3000万円と算定しており、これを前提に本件通達による課税庁の評価額が時価から大きく乖離し、上記特別事情があることを示している旨を主張するが、本件鑑定書が鑑定評価の方法において誤っているとまでは言えないが、本件土地が戸建住宅分譲用地として開発するのが最有効使用であるのに、最有効使用を共同住宅等の敷地とし、これを前提に比準価格や開発法、収益還元法を考慮している点で本件土地価格が過少に評価されているのではないかとの疑問が残り、適切であるとはいいがたく、本件鑑定書の評価を斟酌しても、本件通達に定める評価が実質的な租税負担の公平を著しく害するものであるとまで認めることはできず、これによっても本件通達の方式によらないことが正当として是認されるような特別な事情があることを理由付けるに足りないというべきである。
(6)上記のほか、本件において、対象土地の価格の急激な下落、本件通達において想定外の急傾斜や狭隘性等、本件通達に定める評価方式によらないことが正当として是認されるような特別な事情を認めるに足りる証拠はないから、本件土地の価額算定は本件通達の定める評価方式によるべきである。
(7)本件通達24-4は、「広大地」（その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で都市計画法4条12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの）につき、開発行為を行うとした場合に、大量の潰れ地が生ずるため、当該土地の評価の際に、潰れ地の生ずる程度により一定割合を減額する趣旨である。このことからすると、既に開発行為を了しているマンションなどの敷地用地や現に宅地として有効利用されている建築物の敷地用地などについては、既に開発を了していることから、標準的な地積に比して著しく広大であっても、「広大地」には該当しないことになる。また、上記の趣旨からすると、普通住宅地区等に所在する土地で、各自治体が定める開発許可を要する面積基準以上のものであっても、公共公益的施設用地の負担がほとんど生じないと認められる土地については、「広大地」に該当しないものというべきである。
(8)納税者は、仮に本件土地の評価に当たり本件通達を適用する場合であっても、本件通達24-4（広大地の評価に関する部分）による補正を施すべきであると主張するが、証拠によれば、例えば本件土地を被告分割図に従って戸建住宅分譲用地として開発する場合には、区画形質の変更（都市計画法所定の開発行為）に該当せず、国土交通省による開発許可制度の運用指針、都市計画法等の法令及び市の宅地開発指導要綱等に基づく道路等の公共公益的施設用地の負担は不要と認められ、本件土地の評価において、本件通達の「広大地」に関する部分の適用は不要である。
検索情報
参考文献・資料
『週刊税務通信』No.3011（平成20年3月31日）P.45-47
関係法令等
裁判情報
事件番号 相続税更正処分等請求控訴事件
事件名 平成17年（コ）320号
裁判年月日 平成18年3月28日
法廷名
裁判種別
原審・上訴審
類似/参考判例等
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