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やよいです。
人はだらくするものと、オシャカ様が言ったとか言わないとか……。
とにかく、目のまえで、一人の人がおちていくすがたを見続けるのは、つらいものがあります。

「千早さん!お掃除のジャマです。
どいてください」
「ん〜〜〜……」

コタツに根をおろしたまま、少しだけ、ね返りをうつ千早さんに、よくないことと
思いつつ、つい、イラッと……。

「エイッ!」
ガ〜〜〜……。
「ム〜〜〜」

ソージ機で、すってやりました。

「高槻さん。ひどいわ」
「ヒドくないです。シャキッとして下さい」
「ん〜〜」

あっちへコロリ。

これが、あのリンとしたスーパーアイドル、如月千早なのでしょうか。
千早さんが家にいついて、はや三月。
おとーさんもおかーさんも、

「いまさら、一人ぐらいふえたって」
と、ノンキにかまえています。
下宿賃として、ふりこまれるお金も、
「千早さんの、将来の為に」
と、ぜんがく、テーキ預金に入れているしまつ。

まあ、いっしょにお買い物に行くと、お金を出してくれるので、高槻家の家計は助かってます。
弟、妹たちの、がくし預金をつみ立てるよゆうもできました。
でも、他の子たちには、まだミエをはって、お姉さんしてるのに、二人きりだと、本当にユルユルに……。
お仕事の時の、きびしいしせいとのギャップに、めまいがします。

「高槻さん〜〜〜
お茶〜〜〜」
「そこのポットに入ってます。
カッテにいれて下さい」
「荻原さんにもらった奴あるでしょ〜〜〜」
「もう!」

冷凍庫にしまっておいた、とっておきのぎょくろ。
目ざとく見つけて、要求してきました。

「いそがしいんですよわたしは!」

それでもお湯をわかし、きゅうすと湯のみをそろえ、こたつにもっていきます。
何してんでしょうね、わたし。

「自分でいれて下さいね」
「うん」

茶道具ののったおボンを渡す。
と、同時に手をつかまれて……

「何をしてんですか?」
「お茶しましょ」

千早さんの、おヒザの上にかくほされてしまいました。

「わたしは掃除のさいちゅうで……」
「お茶しましょ」

どうにも、はなしてくれません。
あきらめたわたしは、お茶をいれる千早さんの手元を、ながめていました。

「我儘言って、御免なさいね」
ポツリと千早さんがもらします。

「でも、私の家は、寒くて……」
「千早さん?」
「迷惑かけてるのはわかってるけど、どうしても……」

千早さんを、初めて招待した夜、千早さんは泣いていた。
いっしょの部屋で、声をひそめて……。
無神経に、といただしてしまったわたしに、千早さんは、つらい話をしてくれた。
弟さんの事。
事故の事。
バラバラになってしまった家族の事……。

千早さんが、いついてしまったのも、わたしが強引におとーさんたちに、たのんだから。
ここにいることは、むしろつらい記憶を、むしかえされる事になるかもしれないのに。

「わたし、千早さん、大好きですよ」
「高槻さん……」
「みんな、千早さんが大好きなんです。
おとーさんもおかーさんも、弟たちも……。
いつかは、一人になるのかもしれないけど、それまでは、いっしょでいいじゃないですか」

うまく伝えられたかわからない。
けど、千早さんの涙を、すい取るために、背中をかすぐらいはできると思う。
ユックリとお茶をのみながら……



「お茶のんだら、お掃除しましょうね」
「それはイヤ」
「千早さん!」

……ちょっと甘やかしすぎたかな。


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