黄疸
黄疸（おうだん） jaundiceジョーンダイスまたはicterusイクテルス
黄疸の定義
黄疸はいろいろな原因で血液中のビリルビン濃度が上昇し、過剰なビリルビンが皮膚や眼球結膜などの組織に沈着して黄変をきたす病態です。軽い黄疸は自然光のもとで眼球の強膜(白眼のところ)を観察すると最も見やすい。血清ビリルビン値が2〜2.5mg/dLをこすと明らかとなる。黄疸が回復しても強膜の黄染はしばらく残ります。
関連事項==> ビリルビン代謝; -- ビリルビン代謝
ビリルビンは血色素（ヘム）の最終分解産物で脾臓など細網内皮系で作られた後、アルブミンと結合して溶けやすい形になり血液に入って肝臓に運ばれます。
肝臓に運ばれる途中のビリルビンはグルクロン酸と抱合していない遊離のビリルビンで間接ビリルビン;と呼ばれます。肝細胞の中;ではグルクロン酸が結合され（グルクロン酸抱合と呼ぶ）水に溶ける無害なビリルビンとなって胆汁（肝臓で生成される消化液）の成分として腸の中に排出されます。グルクロン酸抱合されたビリルビンを直接ビリルビン;と呼びます。
ビリルビンの「直接と間接」
エールリヒの尿中ビリルビン検査をもとにヴァンデンベルグが血清中のビリルビンの定量的測定法を開発しました。エールリヒの方法はジアゾ化試薬によりビリルビンから赤紫色のジアゾ化合物を生じさせる反応でしたが、試薬とビリルビンの溶解にメタノールが使われていました。
ヴァンデンベルグはある時、胆汁中の胆汁色素を測定するのにメタノールを使わずに検査をしたところ、メタノールがないのにもかかわらず「直接に」正常の呈色反応が起こったのです。
このビリルビンが直接（反応）型ビリルビンです。その後、このメタノールを使わないで反応する型のビリルビンが閉塞性黄疸の患者の血清中に増加することがわかりました。一方、正常の血清中ビリルビンの一部や、閉塞のない溶血黄疸患者のビリルビンは、やはりメタノールを加えないと測定できないことがわかったのです。後者が間接（反応）型ビリルビンです。暗い緑色の直接ビリルビンと異なり、間接ビリルビンは明るいオレンジ色の色素のため皮膚は明るく黄染されます。
間接ビリルビンの増加
赤血球が過剰に破壊されたことが原因で間接ビリルビンが著増することがあります。通常肝臓の処理能力は大きいので高ビリルビン血症は軽度です。(<4mg/dl)
しかし肝臓の機能が未成熟な新生児や先天的に肝臓の処理機能に異常があると高間接ビリルビン血症をおこす場合があります。
- 新生児の生理的黄疸--肝機能の未熟、出生時溶血で一過性の黄疸をきたします~
- 重症新生児黄疸--間接ビリルビンがアルブミンと結合できる以上に増加すると脳の血液脳関門をこえて基底核に沈着して障害をおこします。間接ビリルビンは脂溶性で神経毒性があるのです。「核黄疸」;と呼ばれる病気です。~
間接ビリルビンが増加する遺伝性疾患
- Crigler-Najjar（クリグラーナジャール）症候群~
重症の�儀燭鳩攵匹劉況燭�あります。
- Gilbert(ジルベール)病~
代償された溶血と高間接ビリルビン血症が認められます。
直接ビリルビンが増加する疾患
血液中の直接ビリルビン値が高い場合、肝臓の病気による場合と、肝臓以外の病気が原因である場合が考えられます。肝臓に炎症や線維化などの異常があると、胆汁中へのビリルビンの排出が阻害されることがあります。また肝臓から小腸へと胆汁が流れる胆管が、胆石や癌などでふさがっている可能性もあります。
直接ビリルビンは水溶性なので高直接ビリルビン血症の患者さんでは尿のビリルビン値が増加しています。
- Dubin-Johnson 症候群(慢性特発性黄疸)
- Weil病
- 肝硬変症
- 肝内胆管閉塞
- 肝内胆汁うっ滞
- 急性肝炎の初期あるいは回復期
- 胆石症
- 胆嚢炎
- 慢性肝炎
- 閉塞性黄疸（肝後性黄疸：胆石の陥とんや膵頭部癌浸潤）など
黄疸のかゆみ
かゆみの原因物質については，まだ断定されていない。
かゆみの出現頻度
- 非腫瘍性，閉塞性黄疸では 16 - 21%に出現
- 腫瘍性・閉塞性黄疸では 41 - 45%に出現
- 胆汁性肝硬変 約75%にひどいかゆみが出現する
- ウイルス性肝炎 20%
治療
フェノバール・アンドロゲン・フェルフェナジン（抗ヒ剤）
胆汁性肝硬変のかゆみにはステロイド＋アザチオプリンが一時的に有効
文字ばかりで大変; &tear; ビリルビン代謝の図解?もみて下さい
2008年09月16日(火) 12:23:06 Modified by youkyon76885117