第34話



春希 4月7日 木曜日




春希「わかったよ。降参」

俺は、わざとらしく両手を小さくあげて降参の意思表示を示した。
すると、それを見た和泉は、形が整った唇の口角をあげて喜びを表現する。
そんなちょっとした演技のやり取りだっていうのに、
三流以下レベルの演技につきあってくれる和泉の演技は、どこか様になっていて、
凸凹コンビの片割れの演技を二流まで持ちあげてくれる。

千晶「やたっ。じゃあ、作ってくれるんだよね?」

春希「作るよ。今日昼になって、弁当を鞄から出した時に気がついてしまったよ。
   だから、ばっちし覚悟もしていたから安心しろ。
   でも、お前が期待するような弁当は出来ないかもしれないからな。
   俺はあくまでも料理の練習でやってるんだから、
   そこのあたりをしっかりと理解してほしい」

千晶「わかってるって」

春希「あと、しっかりと料理の評価もしてほしい」

千晶「いつも美味しいから問題ないって」

春希「そうじゃなくて、和泉って料理うまいだろ。
   春休みに俺が風邪をひいたときに作ってくれたけど、相当腕があると思った。
   だから、料理上級者として、俺の料理の問題点というか、
   味付けとかの採点と改善点を教えてくれると助かる」

俺が真面目な顔でいうと、さっきまでニコニコ笑っていた和泉の顔が引き締まる。
どこか挑戦的で、上から目線なのは気にかかるが、料理に関しては和泉が上なんだから
反抗はできない。

千晶「いいよ。お弁当代として支払ってあげる。
   でも、味の評価は出来るけど、改善点を口で教えるのは難しいんじゃないかな?
   作っているところを隣で見ていれば、教える事は出来るけど、
   私もプロの料理人ってわけでもないから、春希のお弁当を食べただけじゃ
   改善点を教えるなんてできないわよ」

春希「たしかに」

それはそうだな。和泉に演劇に関してのアドバイスを聞けば、
プロ顔負けのアドバイスを貰えるかもしれない。
だけど、料理に関しては畑違いもいい所だ。

千晶「じゃあさ、春希がバイトない時に春希んとこにいって料理教えてあげるよ。
   それだったら私でも出来るし、なによりも春希の手料理が食べられる」

あまりにも千晶らしい提案に、俺は苦笑いとともに、惚れ惚れと感心してしまう。
いかにも自分の欲求に忠実なやつだ。
だからこそ和泉っていうわけで。

春希「和泉がそうしてくれるんなら、それでいいよ。
   むしろ俺が頼みたいくらいだよ」

千晶「なら決まりね。さっそくだけど、今週末なんてどう?
   私は当分劇団の方の予定ないし、週末は暇なのよ」

春希「暇って事はないだろ。授業も始まって、予習に復習。それにレポートだって
   出るに決まっている。
   あと卒論もやらないといけないし、暇なんて言ってられないぞ」

そういえば和泉って、卒業後どうするんだろうか。
あまりにも和泉の就活が想像できなくて、乾いた笑いさえ出てこない。
そうだな、和泉がスーツを着ているなんて、絶対に想像できないし、
そもそも似合わないだろうな。
だとすれば、このまま演劇の世界に身を置くのだろうか?
俺は、演劇については素人同然だけれど、やはりいくら才能があっても
その道で生活していくのは大変だという事だけは理解できた。

千晶「はいはい。その辺は、しっかり春希が監視してくれるから問題ないって」

春希「だから、最初から人に頼るなって」

千晶「わかってるってぇ・・・」

ちょっと拗ねた千晶は、俺の腹をつつきながら不満を訴えてくる。
けれど、そのぶすくれた顔もすぐに霧散した。
ほんと切り替えが早い奴だ。

千晶「週末春希のところで料理教えて、その後勉強会ひらけば問題ないでしょ?」

春希「そうだな。それが一番妥当な線だ。
   でも、今週末は無理なんだよ」

千晶「バイト?」

春希「いや、バイトは金曜まであるけど、他の予定がな」

千晶「彼女にでも会いに行くの?」

和泉の何気ない一言に、心臓を鷲掴みにされる思いに晒される。
きっと観察眼が鋭い和泉のことだから、
小さな違和感が一つでもあれば気がついてしまう。
けれど、今回ばかりはけらけら笑いながらだし、からかっているだけかもしれない。
そんな気休め程度のお守りにすがることなんてできないか。
こいつは立派な女優だしな。

春希「彼女に会いに行くんじゃないって。
   NYに、編集部でお世話になった人に会いに行くんだ」

千晶「どんな人なの?」

春希「今はNY支部に異動したんだけど、とても大事にしてもらって、
   いつか隣に立ちたいって、無謀な夢を抱いてしまうほどの人かな」

千晶「春希にそこまで言わせるなんて、相当すごい人なんだね」

春希「すごいって表現が一番合うかもな。
   幾重にも言葉を連ねても、あの人のすごさは表現できないっていうか。
   だから、すごい人って表現するのが一番しっくりくるかもしれない。
   まあ、俺の表現力の限界ってやつで、・・・底が浅いんだよ、俺は」

千晶「ふぅ〜ん。で、いつまでいってるつもり?
   春希じゃないけど、お前大学始まったばかりなのに、なに休んでるんだよって
   言っちゃうよ」

いや、似てないだろ。どうせ俺の真似したんだろうけど、似てない。
断じて似てないからな。

春希「急に決まってさ。忙しい人だから、会うにもしても向こうの予定を優先しないと
   会う事も出来ないんだよ。
   そもそも、俺の方が会いたいって言って押しかけていくんだしな」

千晶「ふぅん」

どこか気のない返事に、やはり全てを見通されている気がしてまう。
こいつに隠し事をしたって結局は知られてしまうんだろうなと、
諦めている部分もあるわけで。
しかし、その諦めさえもどこか心地よくて、こいつには絶対教えてなどあげないが、
頼りになる友人だと思うようになってきていた。

千晶「まっいっか。また今度ね」

なにがまた今度なのかは、わからない。わからないけど、想像だけは出来た。
だから俺は、しらじらしく返事を返す。

春希「また今度な」

千晶「じゃあさ、・・・はい」

先送りにしてくれた見返りなのか、和泉は右の手のひらを差し出してくる。
どこか見たことがある光景は、デジャブだろうか? いや、デジャブにしてください。

春希「はいって?」

千晶「だから、また春希んちの合鍵貸してくれないと困るかなって。
   だって、料理教えるのは春希んちでやるわけだし、それに、
   春希ってバイトとかで時間が不規則になることがあるじゃない。
   どうせ私と約束しても、バイト優先になるだろうしさ」

春希「俺は約束の時間には、いつも10分前には着くようにしているぞ。
   約束の時間を守らないのは、和泉の方だろ」

千晶「たしかに、なにかしらの約束をしたのならば、
   ほぼ確実に春希は約束の時間を破らない。
   もし時間に間に合わないようだったら、電話なりして遅刻する事を早めに伝えて
   くるだろうしね」

春希「当然の行動だ。人としての当たり前のマナーだろ」

千晶「かもしれないけど、これが心を許した相手になると変わってこない?
   例えば、バイトと料理教室を天秤にかけて、この料理教室の先生を
   紹介された誰かに頼んだのだったら春希はバイトと同列に見るはずでしょ」

春希「バイトは仕事だから途中でぬけにくいけど、料理教室の先生をお願いしたのなら、
   あらかじめバイトの方で時間の余裕をとって、料理教室の方で迷惑かけないように
   色々対策を練っていたかもしれないな。
   でも、料理教室はプライベートだし、バイトと天秤にかける事はしないと思うぞ。
   まあ、和泉が言いたい事は、なんとなくわかったけど」

千晶「そだね。
   でも、春希が誰かに迷惑をかけないように立ち振舞っていることはたしかでしょ」

春希「そうかな? けっこう迷惑かけまくってるとは思うぞ」

千晶「それでも自分でなんでもやってしまおうとはしているでしょ」

春希「そう言われてしまうと、そうかもしれないけど」

千晶「だからさ、私には気を使わなくてもいいから。
   バイトがあるんなら、とことんバイトしてきていいよ。
   そのほうがすっきりするしね。
   その代わり、私も春希に対して気を使わない。・・・・・ねっ?」

すっごく大胆な事を言っているはずなのに、和泉の言葉がすぅっと心に染み込んでいく。
和泉の表情にも、いつもの人をからかうような軽い印象は見受けられなかった。
こいつなりに考えて言った言葉なのかもしれない。
そうだな。こいつとなら今までとは違う女友達を築いていける気がする。
俺が求める都合がいい女友達ではなくて、お互いが求めあう友人関係。
きっとこれから少しずつ軌道修正していって、しっくりくる形でおさまるのだろう。

春希「お前は今までだって俺に気を使ってないだろ」

だからつい俺の方が軽口を言ってしまう。
俺の照れ隠しだって、俺も、目の前にいる親友も、気が付いているはずだ。
こいつはいつだって俺に気を使ってくれていた。
細心の注意を払って、俺が傷つかないように守ってくれていた。
それが和泉なりの目的があったにしろだ。

千晶「それは酷い言いがかりだよぉ。
   そりゃあさぁ、春希には迷惑かけているし、ご飯も奢ってもらっているし、
   最近でもご飯まで作ってもらっているけどさぁ・・・」

ほら。名女優でもある親友は、俺の状態を俺以上に把握している。
だから、俺が話しやすいように場を和ませてくれている。

春希「俺にたかりすぎだろ」

千晶「そうかなぁ。使えるものは、なんだって使い倒さないとね」

春希「使い倒して、ボロボロにだけはするなよ」

千晶「わかってるって」

さて、和泉には言わないとな。
もちろん今すぐ全てを話せるわけではない。
けれど、話せる範囲で、俺の今後の事を伝えなければならない。
和泉との約束は、守れそうにないな。
こいつが無事卒業できるようにサポートするって、約束したのに。
ごめんな、和泉。
それでも、前期日程だけは、全力でサポートするよ。
後期日程は、側にいる事は出来ないけど、出来る事は全てやってから日本を離れるつもりだ。

春希「なあ、千晶」

千晶「ん?」

春希「千晶が俺の友達でいてくれて、本当によかったよ」

千晶「好きでやってる事だし、問題ないんじゃない?」

俺が書き変えた台詞に気が付いているはずなのに、
千晶はそれが初めからそう書かれているみたいに演じ続けてくれる。
こんなどうしようもない俺につきあってくれるなんて、千晶はどこまでお人よしなんだよ。
普段は俺の事をお人よしだって言ってるくせに、千晶の方がお人よしじゃないか。

春希「そっか・・・」

千晶「まあね」

春希「なあ、千晶」

千晶「ん?」

春希「俺は、後期日程からNYへ研修にいくつもりなんだ」

千晶「そっかぁ。・・・ん、わかった」

春希「驚かないのか?」

千晶が驚かない事に、俺は驚いてしまう。俺にパラサイトしているあの千晶が。
拠り所となる俺がNYへ行くんだぞ。
最近では俺の手料理をねだってくるが、それはこの際問題ないとしても、
大学の講義の方は大丈夫なのか?
卒論なんか、ギリギリまでやらないんじゃないかって不安になってしまう。

千晶「なにかあるとは思っていたけど、想定範囲内かな。
   さすがにNYは驚いたけどね」

春希「卒業を全力でサポートするって言ったのに、途中で投げ出す事になってごめんな」

千晶「ううん。どうせ春希の事だから、
   前期日程で、やることはすべて叩きこんでいってくれるんでしょ?
   なら、あとは私が実際にやるだけだし、春希がやることなんてほとんどないと思うよ」

勘のいい千晶は、俺の不安をすぐさま読み取り、
しかも、俺の背中を押そうとまでしてくれる。
こいつって、こんなにもいい女だったのか。
側にいすぎて気がつかないって、こういう事をいうんだろうな。

春希「もちろん俺がやれる事は全てやってからNYへ行くつもりだけど、
   千晶は、それでいいのか?」

千晶「春希が決めたんでしょ? 
   寂しくなるけど、しょうがないから笑顔で送り出してあげるっ」

春希「ありがと」

千晶「どういたしまして。・・・となると、このマンションはあと半年ってところか。
   寂しくなるなぁ」

春希「そのことなんだけど、今週末には実家に引っ越す予定なんだ」

千晶「はぁ? いくらなんでも急すぎない?」

さすがに俺が当事者じゃなかったら、千晶と同じ感想を持つよ。
しかし、当事者としては、それなりの理由があるわけで。

春希「後期日程からNYに行くからな。それまで、出来る限り節約しようと思って。
   あっ、でも、弁当の事は気にするなよ。
   そのくらいの余裕はあるし、料理の勉強でもあるんだからな」

千晶「さすがの私でも、いきなり自分のお弁当を気にしたりしないって」

春希「でも、他の重要事項が解決したら、弁当の事も騒ぎ出すんだろ?」

千晶「当然」

ほら、そこ。胸を張っていばらない。
それが千晶らしくて落ち着くから、いっか。
弁当に限らず、優先事項上位だけを解決していくだけじゃダメなんだよな。
いくら下位であっても、それは俺の日常の一部であり、
それらすべてによって俺が成り立っている。
後回しにしたとしても、見ないふりをして日本に置いていくことなどできやしない。

千晶「それじゃあ、料理教えるのは、春希の実家でいいの?」

春希「うぅん・・・。たぶん問題ないと思うけど、
   一応母親に使っていいか聞いてみてからだな。
   俺の立場としては、NYへ行くまで置いてもらう身だかな。
   でも、この前会った時の感じとしては、大丈夫だと思うぞ」

千晶「前から思っていたけど、春希の親子関係って、めんどくさそうね」

春希「そうはっきりと言われると釈然としないけど、事実だから言いかえせないのが痛いな」

千晶「でも、親と話してみたりすると、あっさりしたものなんじゃないの?
   自分だけ深く思い悩んでいて、実際行動に移してみると、あっさりすぎるほど
   するっと解決しちゃってさ」

春希「そうかもな」

千晶「え?」

千晶に相槌を打ったというよりは、自分で確認したかっただけだと思える。
母に実家に戻ると伝えに行ったあの日。
実際千晶が言う通りあっさり事が進んだ。
しかも、想定以上にあっさりすぎるほどするっと解決してしまった。
そのために、俺の方が戸惑ったほどだった。

春希「前に話したか覚えていないけど、・・・どうだったかな、親に頼らないように
   暮らしているってくらいは話したか?」

千晶「うん、そうだったかも」

春希「まあ、よくある擦れ違いって奴で、親が離婚した後、母親に引き取られたんだけど、
   お互いの距離感がうまく取れなくなって、そのうちお互い干渉しなくなり、
   そして関心もなくなった。
   で、今に至ると」

千晶「あっさりすぎる説明すぎない?
   険悪な関係ではないけど、お互い興味がないから無関心ってところ?」

春希「まあな」

千晶「ふぅん」

春希「ふぅんって、あまりにもあっさりすぎる反応だな」

同情してもらいたいわけではないけれど、それでもその反応、軽過ぎじゃないか?
・・・俺は、千晶に慰めて欲しかったのか?
違うな。もっと踏み込んで欲しかったのかもしれない。
千晶は、踏み込まない、な。その辺の距離感をよくわかっている。
俺が踏み込んでほしい時、その時になって初めて土足で踏み込んでくるはずだ。
まあ、覚悟しておかないとな。容赦ないからな、この親友さまは。

千晶「慰めて欲しかったの?」

春希「そうじゃないけど」

千晶「だったらいいじゃない。そういえば、NYへにも週末行くんじゃなかった?
   引っ越してからいくの?」

春希「引っ越しの手配だけはしたから、業者がやってくれるよ。
   武也に立ち会い頼んでおこうかなって思っているけど」

千晶「それ、私がしてあげよっか?」

春希「いいのか?」

これはラッキーといっていいのか?
別に武也に絶対頼まないといけないわけでもないし、
武也にはまだ、引っ越しの事を話してもいない。
いずれしっかりと事情を説明するつもりでいても、ごたごたしていた為に後回しになっていた。
それに、急いで武也に話すよりも、ゆっくり時間を取れるときに話したほうがいいとも
思える。ただそうなると事後報告になってしまう事が心残りだ。
そうだな。詳しい事はNYから帰国してから話すとしても、引っ越すことだけは伝えておこう。

千晶「いいよ別に。で、いつNYに行って、いつ引っ越す予定なの?」

春希「NYには明日金曜の夕方6時半の飛行機で行く予定。
   それで、帰国は火曜の昼になると思う。
   引っ越しは、日曜の午後からになるみたいだ。
   そんなには遅くならないみたいだけど、1時くらいまでには来るって言ってたよ。
   なにせ引っ越すと言っても近所だからな」

千晶「だったら、はい」

千晶は、さも当然という顔を作って俺に右手を差し出してくる。
これで3度目か?
もう、千晶が何を意味して手を出しているかわかってしまう自分が
ちょっとむずがゆく思えてしまう。

春希「あいにく合鍵持ってないから、いったん家に戻ってからな。
   夕食はいらないから、自分で何とか調達してくれよ。
   冷蔵庫の中身は勝手に使っていいから」

俺の切り返しに、千晶はぽかんと目を丸くしてしまう。
けれど、さすが和泉千晶。切り替えがお早い事で。
不敵な笑みを浮かべると、すかさず俺に斬りかかってきた。

千晶「どうせ冷蔵庫の中身なんて、ほとんど空なんでしょ?
   引っ越し前の春希が冷蔵庫にものを入れているとは思えないもの」

春希「よくわかったなと、誉めてやりたいところだったけど、あいにく入っているぞ」

千晶「うそ?」

春希「嘘をついてどうする。今日の弁当で使った残りの材料がいくらかあるから
   勝手に使っていいぞ。
   どうせ明日は、俺は大学の講義ないし、弁当も作らないからな。
   でも、明日の朝の分もあるから、あとで合鍵取りに戻った時に確認しておくか」

千晶「それだったら、冷蔵庫を確認して私が適当に買っておくからいいよ。
   どうせ日曜までお世話になるんだし」

春希「それでいいんなら、千晶に任せるよ」

千晶「りょ〜かい」

春希「ほとんど引っ越し業者がやってくれると思うけど、
   ある程度は自分でまとめたいのもあって、段ボールが積まれているけど、
   それでもよかったら自由に使ってくれ」

千晶「うん、ありがとね。でも大丈夫だから、安心してNYに行っていいよ」

千晶は、NY行きの本当の理由を聞こうとはしてこなかった。
もしかしたらある程度の予想はしているのかもしれない。
いつか俺が話を聞いてもらいたい時、こいつはどんな顔をするのだろうか。
ひょうひょうとした顔をして、なんともないって片付けてしまうのだろうか。
それとも、重く受け止めて、怒ってくれるのだろうか。
どうなるにせよ、千晶は受け止めてくれるはずだ。
今日、俺と和泉との関係は終わりを迎えた。
そして、今日から俺と千晶との新しくもあり、
今までの関係の一部を引き継いだ関係が再スタートされる。
こいつには驚かされる事ばかりで、
今後どんな関係に発展していくかなんてわかったものではない。
わかりたいとも思わないけど、わからない方が面白いに決まっている。
千晶ならそういうはずだ。
これも千晶の影響かと、そう思えてしまう。
きっと他人から見たら歪な関係だって批難されるかもしれない。
批難されるかもしれないが、それがどうした。
何か問題でもあるのか?
俺と千晶が望んで得た関係に、誰であっても文句は言わせない。
これはいいすぎか。文句があっても、聞き流してやる。
これのほうが俺らしいか?
俺と千晶となら、退屈しない日常を送れるはずだ。

千晶「エッチ関係の雑誌とかは、引っ越し業者が来る前に処分しておいてあげるね。
   大丈夫だって。その辺のところは、私は寛大だから、春希がどんなアブノーマルな
   趣味を持っていても、全部受け止めてあげるからさ」

前言撤回。
前途多難のままNYに行かなければならないかもしれない・・・・・・と、思ってしまった。



第34話 終劇
第35話に続く








第34話 あとがき


春希視点で書いてみると、やはり書き慣れた文章でもあるので、すんなり復帰できました。
今までずっと一人称で書いてきましたが、三人称で書いた事ってないんですよね。
そのうち書いてみようかなって思っていたりもいます。
どちらもメリット・デメリットがありますが、
経験しておいた方がいいに決まっていますし、頑張ってみようと思います。

来週も、火曜日、いつもの時間帯にアップできると思いますので
また読んでくださると、大変うれしいです



黒猫 with かずさ派

このページへのコメント

淡々と話が進んで行った感じですが千晶が物分かりの良い時は裏で何か計画しているのではないかと考えてしまいますね。今すぐではないのかもしれませんがこの作品の重要な所でそれは起きるのかなあとちょっとばかり期待しています。

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Posted by tune 2015年02月17日(火) 05:06:39 返信

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