第66話



春希「千晶が役者だってこと忘れてたよ」

 春希が持ってきてくれた炭酸水を飲みながら、
春希と麻理さんがわたしのかつらをいじっているのをちらりと観察する。
 適当に借りてきたカツラだから、色とか髪型にこだわりがあったわけじゃないのよね。
たまたま目について借りたんだけど、けっこう役になってくれたなぁ。
でも、それにしてもひどくないかな? こんなにストイックな役者はあまりいないと思うよ。

千晶「忘れるかなぁ……。じゃあわたしってなんなのよ?」

春希「…………なんなんだろうな?」

千晶「ちょっと真面目に考えこまないでよ。真剣な顔つきで考えていると、
   ほんとにわたしが役者なのか自分でも疑っちゃうじゃないっ」

春希「だって俺、今千晶が何しているか知らないからさ。俺は日程の都合で卒業式も
   出られなかったし、たまに千晶からメールが来ても、舞台の事ばかりじゃないか」

千晶「あっ、そっか。そうだよね。………………ちょっと待ちなさい」

春希「なんだよ?」

千晶「わたしが舞台の話ばかりしているっていうことは、
   役者をしているって気がつくものでしょうが」

春希「論理的に考えればそうなんだろうけど、千晶が所属していた劇団の団長は留年
   しまくって舞台ばかり力をいれていたじゃないか。
   だからさ、千晶も留年して劇団に……ってさ」

千晶「だからぁ、ちょっと待ちなさいって。一緒に教授のところに卒業の挨拶いったじゃない」

春希「いったなぁ……。よ〜く、覚えているよ。覚えてはいるんだけど、当時睡眠不足
   だったせいで、ところどころ記憶が曖昧なのはどうしてだろうな。和泉千晶さん?」

千晶「どうだったかしらね? ほら春希。春希ってあまり寝なくてもいいし、
   時差ボケもあったんじゃない? 久しぶりに帰ってきた日本だったしね」

春希「かすかに覚えている記憶だと、俺がニューヨークに行っている間に貯め込んだ
   レポートを徹夜で手伝った記憶があるんだけど。
   しかも、日本についてすぐに行った場所っていうのが教授の研究室だもんな」

千晶「それは……、ほら。教授も春希にあいたかったんじゃない?
   春希だってお世話になってたんだから挨拶しないと」

春希「たしかに俺も色々と迷惑かけたけど、それ以上に千晶がらみで教授と一緒に苦労
   した記憶しかないんだよな。まあ、成田空港まで千晶が迎えに来ている時点で
   何かおかしいって思っていたんだよ。そしたら案の定。おかえりの挨拶と同時に
   教授とつながった携帯電話を渡してきたのを今でも覚えているぞ」

千晶「教授も会いに来たかったんだって。だから携帯で」

春希「嘘をつくな、嘘を。空港から直接大学に行くはめになったじゃないかよ」

千晶「それも青春の思い出っていう事で」

春希「千晶の場合。今も青春やっていそうで怖いけどな」

千晶「わたしは青春しているつもりだけど?
   でも、春希が面倒見てくれたおかげで、卒業はできたじゃない」

春希「そうだったな。それで、卒業後はなにしてるんだ?」

 なんとなくだけど、
大学時代と変わらない春希がいるって実感できてほっとしている自分がいた。
 ニューヨークまで行ってしまう馬鹿な春希だから、一人では背負いきれない重荷に
負けて押しつぶされているんじゃないかと心配までしてしまっていたんだよなぁ。
…………春希には絶対教えてあげないけどさ。
 春希が借りていた小さな部屋で、文句を言いながらも最後までわたしの面倒を見て
くれた春希も、春希の実家にまで転がり込んだとき、すれ違いが続いていた母親と
少しずつコミュニケーションをとるようになった春希も、そして今、麻理さんの
サポートをしながら冬馬かずさを待っている春希も、いつだって春希は春希なんだね。

千晶「いちおう女優やってるわよ?」

春希「なんとなくそうなんだろうなとは思ってはいたよ。実際それだけの実力があったからな」

麻理「すごいわね、和泉さん。おめでとうといったほうがいいのかしら? それとも
   スタート地点にたったばかりだから、
   頑張ってねとエールを送ったほうがいいのかしらね?」

 静かにわたしと春希の思い出話を聞いていた麻理さんも、
わたしが女優の仕事に付けているのはうれしいらしい。
 そりゃそうだよね。出版をやっていなくても、芸能の仕事がいかに難しいかは素人
でもわかるってものだし。なまじ芸能の仕事の実態も目にしている麻理さんだから、
なおのことその難しさをわかっているんだろうな。

千晶「どうだろうね? これから頑張らないといけないし、やっぱエールかな」

麻理「そっか。和泉さん、頑張ってね。もし見に行ける時があったら見に行くから」

千晶「うん。そうしてくれるとうれしいかな」

春希「所属先は決まったんだ? そうだよなぁ……、高校時代からすごかったらしいから」

千晶「うん。所属先は運よく決まったよ。
   雇い主も面白い人だから気にいってはいるんだ。仕事もくれるしさ」

春希「そっか、よかったな。でもいいのか? ニューヨークになんか来て?」

千晶「あぁ、そのこと。曜子さんがこっちの仕事をくれてさ」

春希「へ…………?」

どういうことよっ。わたしが念入りに準備してきたドッキリよりも驚いているじゃない。
 しかも麻理さんも春希と同じくらい驚いているしさ。

春希「…………いちおう聞いておくけど、その曜子さんっていうのは、千晶の雇い主だよな?」

千晶「そうだよ」

春希「そうだよな。まあ、そうなるな」

千晶「何を言ってるのよ?」

春希「俺も自分が何を言っているのかわからないんだけど、な。えっとだな、
   曜子さんの苗字って、ひょっとして、冬馬、だったりする、んだよな?」

千晶「冬馬、だね」

春希「その、冬馬曜子さんには娘がいて、その娘の名前は、かずさ、だったりするのか?」

千晶「もちろんかずさだよ。でもさぁ、曜子さんには何度もあっているんだけど、
   冬馬かずさには一度も会えていないんだよねぇ。わたしがウィーンまで行ったら
   会えるかな? でも、会ってくれるかな? けっこうむずいかな?」

春希「ちょっと待て千晶」

 こんなにも慌てふためく春希って、初めて見たかも?
 何事に対しても順序を決め着実にこなしていく春希が、今なにをすべきかさえわかって
いないようだ。もしかしたら意識をする必要がない呼吸さえも忘れているんじゃ
ないかって思えるほど呼吸を乱している。
たしかに「冬馬かずさ」の名前を出せば春希が反応するっていることはわかってはいたわよ。
 でも、ここまでって過剰じゃない?

千晶「なによぉ……?」

春希「曜子さんにはいつ会ったんだよ。というか、どうやって知り合った?」

千晶「曜子さんが日本でコンサートやるってわかったんで、コンサートに行っただけだ」

春希「クラシック好きだったか?」

千晶「ん? とくには。でもさ、道具は違えど同じ表現者としては勉強したいことが
   たくさんあったかな。高いチケット買ってまで行ったかいはあったと思うよ」

春希「昼飯をよくたかってきた千晶がよくお金あったな」

千晶「わたしだって必要な支出にはお金を出すんだって」

春希「そのいい分だと、昼飯は必要な支出じゃないように聞こえるんだけどな」

千晶「何言ってるの春希?」

春希「俺が聞きたいんだが……」

千晶「昼食とだけとはいわず、三度の食事はどれも大切に決まってるじゃない」

 そりゃあ公演前で集中している時とかは食事だけじゃなくて
睡眠までも忘れてしまうけどさ。でもね、ふだんの食事はちゃんととってるっての。
 そうしないと春希が大好きなわたしの胸がしぼんじゃうじゃない。

春希「はぁ……まあいいや。それで、どうやって曜子さんに会ったんだよ?
   コンサートに行ったくらいじゃ雇ってくれないだろ?」

千晶「そんなの決まってるじゃない。楽屋まで行ったのよ」

春希「まぁそうなるよな。そうなってしまうよな」

麻理「和泉さんって、春希が言う通りの人だったのね」

春希「そうですよ。何度も言ったじゃないですか」

麻理「私も和泉さんと会話だけは何度もしてはいるから、なんとなくだけど春希の言った
   事を信じではいたのよ。でも、多少は誇張しているかなって思っていたのよねぇ……」

春希「これで俺がおおげさに言ってはいなかったとわかりましたか?」

麻理「……えぇ、そうね。できればわかりたくなったけれど」

春希「……ですよね。俺もそうでした」

千晶「ちょっとぉそこっ。わたしの話を聞きたかったんじゃないの?
   そこで勝手に盛り上がっているんならやめちゃうよ?」

春希「すまない千晶。話をすすめてくれ」

千晶「ま〜いっか。えっとね、楽屋にいったら美代子さんって人が出てきてね、
   曜子さんに会いたいって言ったら会えたってかんじかな?」

春希「ちょっと待て」

千晶「ん?」

春希「そう簡単に会えるわけないだろ。そもそも一般人が簡単に楽屋の前まで行けるわけがない」

千晶「だってわたし、関係者だもの」

春希「はぁ?」

麻理「なるほどね」

春希「麻理さん?」

 どうやら麻理さんはわかったみたいね。
春希はあいかわらずこういった方面では鈍感みたいだけどさ。

麻理「たぶん和泉さんは関係者なのよ」

春希「どういう意味ですか?」

麻理「和泉さんから直接聞いたほうがいいわ。私も頭痛が、ね」

春希「はぁ……。それで千晶。どういう意味なんだよ?」

千晶「春希が言う通り、最初は楽屋の前までなんていけやしなかった。
   でもね、スタッフの人にメッセージを託したんだ」

 まだわからないかなぁ? けっこうヒントをだしているのにさ。

千晶「スタッフの人に曜子さんにこう伝えて欲しいってお願いしたんだ。
   北原春希と一緒に暮らしていた大学の同級生が会いたいってね」

 春希の顔から血の気が引いていく。お約束の展開だといえばそうなんだけど、
やっぱこういう反応をみられると「イエイ!」って思っちゃうんだよなぁ。
 いちおう春希の名前を勝手に使ったことは悪いとは思っているのよ。
でもさ、こうでもしないと会えないじゃない。

春希「はぁ……。千晶」

千晶「なにかな?」

春希「嘘は言ってはいないが、嘘は言ってない。でもな、曜子さんが誤解するだろっ」

 静かに喋り出したはずなのに、最後のほうでは叫びへと変換していた。
これこそが春希の心そのものなのだろう。
 でもさ、本当に悪いとは思っているんだよ?

千晶「大丈夫だって」

春希「なにが大丈夫だ?」

千晶「わたしがきちんと説明しておいたからさ。わたしが住む所に困っていたから春希の
   お母さんが寝る場所を提供してくれたってね。そもそも春希のマンションで
   寝泊まりしたときはレポートのときくらいじゃない」

春希「俺のところに来るときは、いつも面倒事をしょってくるから忘れてたよ。
   というか、思いだしたくもない」

千晶「なもんだから、曜子さんも納得してくれたっていうか、面白がってくれたよ」

春希「だろうな。そういう人だから」

千晶「それでね、ちょうど私も舞台やっていたから、
   そのチケットあげたんだ。そしたら曜子さん、来てくれてね」

春希「へぇ……。よく見に来てくれたな」

千晶「わたしも手ぶらで会いに行くのはなぁって思っていて、
   ちょうど持っていたチケットをもってきただけだったんだけどね」

春希「人生なにがあるかわからないものだな」

千晶「そうだね。しかも、舞台が終わった後、楽屋まで来てくれて、
   なおかつ食事までご馳走してくれてさぁ」

春希「よっぽど気にいってくれたんだな」

千晶「わたしが主役だったんだから当然でしょ?」

春希「まあ、たしかにな」

 苦笑いを浮かべはするが、しっかりと納得はしてくれている。
 やっぱ春希にも見て欲しかったな。なかなか春希に見せる機会がないっていうのは
寂しいものだなぁ。

千晶「まっ、そんなかんじで曜子さんに会えたってわけよ」

春希「それで曜子さんの事務所に? でも、あそこってクラシック専門だし、
   曜子さんとかずさしかいないだろ?」

千晶「まあ、ね。でもさ、曜子さんも冬馬かずさもウィーンじゃない。だから美代ちゃん
   は日本にいても暇なんだって。というわけで、暇なスタッフは仕事をしなさいっ
   てことで、わたしのマネージメントをすることになったってわけよ」

春希「曜子さんらしい決断だけど、美代子さん大丈夫なのか?
   クラシックは問題ないけど、演劇は素人だろ?」

千晶「その辺は曜子さんのつてで専門の人に手伝ってもらってるみたいだよ。
   美代ちゃんも知り合いがいるみたいで、助けてもらってるみたいだしね」

春希「そっか。……じゃあ、今回ニューヨークに来たのもその仕事の一つってことなのか?」

千晶「うん、ごめいとう」

春希「もしかして英語を覚えたっていうのも演劇のためだったりするのか?」

 恐る恐る聞く春希の声色は、事実がわかっていても認めたくない真実を
飲み込めないでいるのが丸わかりであった。
そりゃあ春希からすれば不純な動機だとは思うけどさ、わたしにとっては死活問題なのよ?

千晶「正解」

春希「はぁ……。やっぱりその能力を大学でもちょっとは発揮してもらいたかったよ」

千晶「それは無理だって」

春希「潜在的には可能なんだぞ? 好き嫌いはよくないぞ」

千晶「そうかもしれないけど、わたしが潜在能力を発揮しちゃったら、
   春希に頼れなくなっちゃうじゃないの。それはよくないって」

春希「どういう理論かはわからんが、もういいや。そういうことなんだと思っておくよ」

千晶「そぉお? まっいっか」

麻理「ところで和泉さん?」

千晶「ん?」

麻理「曜子さんには会ったみたいだけど、かずささんには会う機会がなかったの?」

千晶「うん。さっきも言った通り、冬馬かずさは日本には来ていないみたいだよ。
   曜子さんは何度かきていたけどさ。でも春希も麻理さんも、
   ニューヨークで冬馬かずさに会ったんでしょ?」

春希「聞いたのか?」

千晶「春希の話が出た時に曜子さんからね。でも、詳しい事は聞いてないよ。
   曜子さんはおしゃべりじゃないし。というか、ガード堅すぎだっての」

春希「ペラペラ話すよりは信頼できるだろ?」

千晶「まあね」

春希「それで千晶はしばらくニューヨークにいるってことでいいのか?」

千晶「そうだね。でも、オーディション次第かな? うまくいけば長くいられるし、
   駄目だったら日本に帰らないといけないし。その辺は流動的かな?」

春希「そっか。頑張れよ」

千晶「ありがと。というわけで、しばらく泊めてくれるとうれしいな」

 わたしの満面の笑顔を見て、春希の苦々しい笑顔が跳ね返ってくる。
 麻理さんはというと、諦めていたみたいかな?
 わたしがここに来た時点である程度は察していたみたいだけど。

麻理「それはかまわないけれど、どのくらいの間なのかしら?
   もちろんオーディション次第でしょうけど」

千晶「とりあえず一週間くらいかな?」

麻理「そう……。わたしも春希も仕事でいない事が多いと思うけど、
   気兼ねなく泊まっていってね」

千晶「ありがと麻理さん」

春希「オーディションの結果次第ではずっとこっちにいるのか?」

千晶「いちおうオーディションが終わったら日本に一度帰る予定。
   でも、受かればまたニューヨークに戻ってくるって感じかな」

春希「そっか。がんばれよ」

千晶「というわけで、明日は応援しているわたしのために、活力をくれるよね?」

春希「はぁ?」

麻理「というと?」

千晶「明日は観光に連れていってくれるとありがたいなぁって。ほら、これ」

 わたしは鞄の中につめこんであったチケットを二人に差し出す。

春希「自由の女神ツアー?」

千晶「そっ。なんだか急にキャンセルがでたんだそうで、
   佐和子さんがプレゼントしてくれたんだ」

麻理「佐和子の奴ぅ。私には何も言ってきてないわよ」

千晶「それは出発直前にくれたからね。だからただでくれたんじゃないかな?」

麻理「それにしても、和泉さんがここに来ること自体内緒にしていたじゃないの」

千晶「それは、ほら。わたしが秘密にしてって言ってたから」

麻理「もう…………」

 チケットとともに差し出した佐和子さん直筆のメモ書きを、
麻理さんはそっと指で撫でる。
 遠く離れていても二人は強い絆で結ばれているんだろう。
わたしが佐和子さんと会っても、いつも麻理さんの話で盛り上がってしまうのは、
わたしと佐和子さんの共通の人間が麻理さんだからだけではないはずだと思う。
 だってその理論であれば、春希だって該当者だもの。
 でも、あまり春希の話題はでないのよね。まあ、真面目人間の話をしても面白くない
っていうのもあるんだとは思うけど、
やっぱ佐和子さんも、そして麻理さんも、会えない事を寂しく思っているんだろうな。



 そして翌日。
 354段ものある階段をのぼって自由の女神王冠内部の展望室まで
行って来たわたしたちは、見学を早々に切り上げて、地上のベンチで震えていた。
 まあ、震えていたのはわたし一人なんだけど……。

春希「なぁ千晶」

千晶「なによ?」

 強気で睨みつけるわたしの眼光には、ふだんの力強さも、
そして演技を混ぜる気力すら欠如していた。
 だからこそ春希は、本気でわたしを心配してくれているわけなんだけどさ。

春希「高所恐怖症だったら上まで昇らなければよかったじゃないのか?
   ほら、地上の博物館だけでも楽しめたと思うぞ」

 春希の言う通り、わたしは高所恐怖症のために、せっかく自由の女神の王冠展望室まで
いったのに、すぐさま春希につれたらて地上へと引きかえしてきた。
 そりゃあ、わたしがいうのはなんだけど、あそこまでびびるとは自分でも驚きね。




 外の風景はきっとすばらしいのだろう。先に展望室についた春希と麻理さんは、
ガイドの話を聞きながらすばらしいらしい風景を眺めていた。
 かくいうわたしもほんの数秒だけは外を眺めた、はず。
けれど、わたしの意識がその光景を心の外に追い出そうと躍起であった。

春希「おい、千晶。大丈夫か?」

麻理「和泉さん。顔色が悪いわよ? 気分が悪いのだったらしばらく座って休んだ方がいいわ」

 いくら待ってもわたしがそばにこないことに不審に思った二人は、ようやくというか、
どのくらいの時間がかかったかさえわからないけど、わたしに声をかけてきた。

千晶「…………無理」

 手すりにしがみつくわたしを介抱してくれている春希達は、
まだ真相を知ってはいない。だからこそ春希達は、わたしが狭い階段を昇ったせいで
気分が悪くなったとでも思っているのだろう。
 でも、そうじゃないのよね。真実はいつも意外な形でやってくる。

春希「ほら千晶。そんなところでいないで、こっちで座ってろよ。眺めもいいぞ」

千晶「…………余計無理」

麻理「そうよ和泉さん。そこにいられると邪魔になってしまうし、
   ここで遠くを眺めながら心を落ち着かせる方がいいと思うわよ」

千晶「だから無理なんだって!」

春希「どうして?」

千晶「だからぁ、高所恐怖症なんだってば」






第66話 終劇
第67話につづく




第66話 あとがき


千晶編は次回で終わる予定です。
来週も月曜日に掲載できると思いますので、
また読んでくださると大変嬉しく思います。


黒猫 with かずさ派

このページへのコメント

今回も楽しく読ませて頂きました。
傍若無人な千晶が高所恐怖症とは結構意外です(笑)
それはさて置き、曜子+千晶の組み合わせは非常に面白い組み合わせですね。
きっと曜子さんも「この子、面白そう」って思いそうですね。
二人のやり取りを見たいような、恐ろしいので見たくないような(笑)

0
Posted by TakeTake 2015年10月11日(日) 23:54:22 返信

 演劇の素人の美代子さんを駆け出しの女優の千晶のマネにつけるんですか。
暇だからって専門外の仕事に就かせるとか、無茶苦茶ですねぇ。何の意味があるのやら。
千晶の可能性を買って曜子さんがパトロンになるのならまだ分かるんですが。

0
Posted by N 2015年10月07日(水) 23:42:10 返信

更新お疲れ様です。
千晶ののNY行きには曜子さんがいろいろ便宜を図った様ですがあの曜子さんが千晶が春希の友人というだけでそこまでする筈は無いでしょうから曜子さんが千晶とどの様な取り引き?をしたのかが気になりますね。
次回も楽しみにしています。

0
Posted by tune 2015年10月05日(月) 19:06:40 返信

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