タグ検索で美穂子11件見つかりました。

第五十五話「結婚を祝う会にて(5)」

及するまいと思ったところで、孝宏を探しに美穂子がやって来た。 「あ、いたいた! 孝宏くん。ちょっと来て。亜子がちょっと…」 「なに?」 「亜子ったら、ちょっと飲み過ぎちゃったみたいで…」  美穂子が視線を送った先には亜子がテーブルに突っ伏していた。 「あちゃー…いつもはどうしてるの?」  言外に『いつも女友達同士で飲んだ時のようにしたら?』とのニュアンスを匂わせた孝宏に、美穂子はキツく咎めるような口調で言った。 「彼氏でしょ? 亜子に近づく男の子のヒト、追い払うだけでも大変なんだから」 「園田、いや、亜子…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c2%e8%b8%... - 2014年09月28日更新

第五十話「許すということ」

馬かずさ  ピアノ、『だれとく』より矢田美穂子  ドラム 、『だれとく』『同好会』兼任ドラマー、小木曽孝宏  以上7名、ありえない巡り合わせから生まれたステージだった。  かずさは自分の曲が、譜面の上のものでしかなかった自分の思いが形になることに歓喜していた。  雪菜、おまえは明日、堅苦しい結婚式で春希とお祝いしてもらえるんだろうが、わたしは今日春希とお祝いしてもらう。  今日は新しい『届かない恋』の日だ。古い伝説は上書きさせてもらう。  雪菜はこんなアツいステージを春希と共にしたことはないだろう?…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c2%e8%b8%... - 2014年04月07日更新

第四十八話「式の前日?」

あるのだ。  『だれとく』の作曲担当の美穂子は涙ながらに言った。 「本当に良かったよ。亜子たちへの曲が間に合って…」  失恋ソングしか作ってこなかった美穂子が、亜子と孝宏のために、そして、自分達の旅立ちのために作った新曲「いつまでも」。  奇しくも、失恋ソング以外で初めて作られたこの曲が『だれとく』のラストナンバーとなった。 「美穂子、泣くと厄介だよ」  小春が注意を呼びかける。美穂子はステージではコンタクトなので、涙でコンタクトがずれたりしたら面倒なことになる。 「ぐすっ。飯塚さん。こんな機会、あり…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c2%e8%bb%... - 2013年11月26日更新

第三十四話「夏と海とバンドと(7)」

れとく』ロゴ入りのオリジナルTシャツ姿、美穂子がコンタクトなのはいつものステージどおりだ。  小春が演壇に戻ると孝宏がポテチの袋を開け、小机の上の皿に広げ始めた。かずさが期待に満ちた声を上げる。 「お! 『やけぐいポテトチップ』か。ポテチ食べるパフォーマンスまでやるんだ」 「え? なになに? ポテチで何かするの?」  『やけぐいポテトチップ』を聞いたことのない雪菜や春希が不思議がる中、千晶が笑いをこらえながら先を促す。 「まあまあ、仕掛けをご覧じろ、ってやつよ。はやくして〜」  それに応じ、小春がマイク…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c2%e8%bb%... - 2013年10月23日更新

第三十三話「夏と海とバンドと(6)」

 進路の先が安全なのを確認し、早百合は美穂子に怒鳴る。 「美穂子! あんたは…と、とにかく大丈夫?」 「あいたたた…大丈夫…」  転んだ時にパネルにぶつけ、メガネの片レンズにヒビが入っていたが他に怪我はないようだ。  早百合はすぐデッキに叫ぶ。 「みんな大丈夫!?」 「ああ、びっくりしたが大丈夫だ…何があった?」 「美穂子が転んでスロットル引っかけて…冷房でエンジン回しっぱだったから…他のみんなは?」 「大丈夫〜。もう気をつけてよ〜」 「全く、船長頼みますよ〜」  ほっと胸をなで下ろす早百合。しかし、…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c2%e8%bb%... - 2013年09月29日更新

第三十二話「夏と海とバンドと(5)」

が一息ついたところで亜子がウーロン茶を、美穂子がカルビの乗った皿を孝宏に出す。 「ほら。シェフも食べて食べて」 「さんきゅ〜。…はふ。あ〜、うめ〜」 「皆さんも飲み物いいですか〜?」 「こっちこっち〜。次はカクテル〜。何がある?」  千晶に聞かれた亜子がクーラーボックスを覗く。 「スクリュードライバーに、ジントニックに、モスコミュール、マンハッタン、カシスソーダにモヒート、サイドカー、あとは…」 「モヒート! 海の男はラムを呑まなきゃね〜」  千晶の注文に亜子は嬉々としてカクテル缶を開けた。 「向こう…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c2%e8%bb%... - 2013年09月04日更新

第三十話「夏と海とバンドと(3)」

』皆でやっていたがバテてしまって交代した美穂子の3人だ。  3人はビーチバレーに興じる皆を見つつ貝殻集めを始めた。 「しかし、人数は多いな」  かずさがつぶやく。なにせ、かずさら3人が抜けても8人いるのだ。 「すいません。わたしたちが割り込んできて…」  『だれとく』の美穂子が謝る。 「いや、にぎやかでいい。孝宏君がバンド仲間連れてきたんだっけ?」 「ええ。でも、雪菜さん通じてご一緒お願いしたのは小春ちゃんですね。ほら、向こうのポニテの子です。  北原さんと雪菜さんの結婚式のお手伝いとかしているので、知…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c2%e8%bb%... - 2013年08月01日更新

第二十七話「遠雷の予感(5)」

授業のレポート落としちゃいました〜」  美穂子がケラケラと事も無げに言う。 「社会学って武内? 通年でしょ? あいつの前期レポートなんて後期の半ばでも許してもらえるよ。インタビューやデータ集計に時間食ったって言い訳すりゃ一発だよ」 「ええ? そんなの許してもらえるんですか?」 「うん。こんな感じ。『データ揃いかけてたんですけど、新しいデータが見つかっちゃって。そっちの分析手間取っているうちにどんどん深みにハマっちゃって…』」 「うわぁ、迫真。和泉さんって日常生活に演技力活用してますね!」  美穂子が誉め倒…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c2%e8%c6%... - 2013年06月27日更新

第二十六話「遠雷の予感(4)」

なんとか仕上がった、かな?」  小春が美穂子と孝宏を振り返ると、2人共「バッチリ」と親指を立てた。これで新曲の方も人に聴かせられるデキに仕上がった。 「よし、今日はこれであがるか。あ、そうそう、果物持ってきたんだ。お祝いに食おうぜ」  孝宏がクーラーバッグからタッパーを取り出す。 「小木曽の果物って、リンゴ?」  早百合が訪ねるが、孝宏は首を振る。 「いや、北原さんの実家からの桃。岡山だって」 「へえ。北原さん桃太郎だったんだ」  早百合が軽口と共に桃に手を伸ばす。 「うん。おいしい。山梨のより上だね…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c2%e8%c6%... - 2013年06月27日更新

第二十四話「遠雷の予感(2)」

魔ですか〜?」 「じょ…女装を勧めたのは美穂子で…」 「写真をバイト先でも回覧させたのは?」 「…だって、だってすごく似合ってたじゃないですか!」  答えに窮してよくわからない抗弁に至った小春だったが、中川もその点には同意だった。 「うん。似合いすぎていて怖いくらいだった。女として脅威感じた…」 「ま、そんな訳だけど、不幸か幸いか、小木曽くんはもうあなたのことあきらめた。少なくとも一年前には」 「………」 「…残念? 取り逃がした魚は大きい?」 「いいえ…」 「そう。  小木曽くんがいまだにあなたたちの…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c2%e8%c6%... - 2013年05月19日更新

第二十二話「だれとくな合宿計画」

れとく」は2年半前、小春、早百合、亜子、美穂子の4人が組んで結成したバンドだった。  雪菜のバレンタインライブを見て感動した4人が「私達も大学入ったらやろう!」と思いついたのがきっかけだった。  小春がメインギター兼ボーカル、早百合がベース兼ボーカル、亜子がセカンドギター、美穂子が作曲とキーボードを担当した。  楽器の経験者はエレクトーンの経験のある美穂子だけだったので、ほぼゼロからのスタートだったが、一年の夏にはなんとか形になるようになり、秋の峰城祭では初ライブを開けるまでになった。  だが、ネッ…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c2%e8%c6%... - 2013年05月12日更新

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