ポーランドの作家アンドレイ・サプコフスキによる人気の小説『ウィッチャー(魔法剣士ゲラルト)』シリーズの、日本語訳を中心としたまとめです。

ポーランドの作家 アンドレイ・サプコウスキによるダークファンタジー小説『ウィッチャー(魔法剣士ゲラルト)』シリーズの日本語訳を中心とした情報まとめWikiです。(2018年8月16日編集開始)

小説『ウィッチャー』シリーズとは?

 『ウィッチャー』シリーズの舞台は、中世ヨーロッパ風でありながらも、神秘の力を操る魔術師や自然崇拝のドルイド、エルフやドワーフ、ノームといった非人間族(亜人)、更には恐ろしい妖魔が数多く存在する、危険なファンタジー世界です。

 孤児であった幼少の頃からケィア・モルヘン城のウィッチャー(魔法剣士、英名"Witcher")に弟子入りして、厳しい鍛錬と、死亡率の高すぎる「草の試練」(-秘法のポーションの強制投与による変異)によって超人的に身体強化され、剣術や魔法の印を武器に、危険な怪物や妖怪変化を退治することで、農村民や市民、更には王侯貴族から報酬を受け取る放浪の旅を続けるウィッチャーとして有名になったゲラルトが、やがて世界の命運を左右する強大な魔力<古き血>を秘めるともいわれる「源流」の「驚きの子」シリラ姫と宿命的に関わり合い、数々の困難な冒険を重ねてゆきます。

 1986年にポーランドのファンタジー雑誌に短編"Wiedzmin"が掲載されて以降人気を博し、5冊の長編シリーズに3冊の短編集が刊行されます。

 2007年に"CD Projekt S.A."社より、PC向けのアクションゲーム『The Witcher』が小説シリーズの後日談として製作され、2011年に続編の『The Witcher 2: Assassins of Kings』が、そして2016年に大作『The Witcher 3: Wild Hunt』が発売されて人気を博しました。

 日本においては、ゲーム『The Witcher』が日本語解説書付きで販売されてのち、長編小説シリーズの第一巻、英題"Blood of Elves"が2010年に『魔法剣士ゲラルト エルフの血脈』(川野靖子/天沼春樹訳、早川書房)として訳出されました。

 その後何年も続刊に恵まれませんでしたが、ゲーム第三作『ウィッチャー3 ワイルドハント』のヒットにより2017年8月にゲーム寄りのカバーアートの新装版シリーズとして、川野靖子氏の訳で早川書房より再刊行され始めました。

用語

魔法剣士(Witcher、ウィッチャー)

 体術(身体操作)や剣術といった戦闘術、印(Sign)と呼ばれる簡素ながら効果的な魔法の鍛錬を積み、「草の試練」(Trial of the Grasses)と呼ばれる変異誘発剤を用いた危険な身体改造によって、生殖能力は失われるものの超人的な反射神経と強靭さ、副作用の強い霊薬への親和性、病気や毒への耐性と回復力、抗老化性を獲得したミュータントの<魔法剣士>は、鋼の剣と銀の剣の2本の長剣を背負い、諸国を巡業して怪物退治を請け負います。
 変異により細まった瞳孔と乏しい表情を特徴とする<魔法剣士>は、感情の起伏が失われていると噂されており、グリフィンのような人間が相手するには強大過ぎる怪物や、歴戦の兵士さえひるむようなおぞましいドラウナーの群れを相手にしても臆することなく機敏に戦います。
 <魔法剣士>には「狼流派」、「猫流派」、「蛇流派」などの流派(School)があり、流派のシンボルを象(かたど)った銀色のメダリオンを身につけます。ウィッチャー・サーガの主人公ゲラルトが属する「狼流派」の本拠地は、ケイドウェン国北部の荒涼とした山岳地帯にある古城ケィア・モルヘンです。

源流(Source)

 生まれながら強い魔法の才能、魔術師や預言者としての適性を持つ者は、<源流>と呼ばれます。
 強い魔法の力は制御が困難であり、熟練者による助けがなければ往々にして精神異常や知能の障害を引き起こすといわれています。

天体の合 (Conjunction of the Spheres)

 <天体の合>は、ウイッチャー・サーガの時代より1,500年ほど前に起きた大変動(カタストロフ)で、世界と異世界の境界が綻び、ヴァンパイアやグール、グラヴィエル(Graveir, Ghoulsの一種)など多くの異界生物がこの世界に流入し、定着するきっかけになったとされています。
 エルフによれば人間などもこの大変動によりこの世界に現れたと伝えられています。

古き血(Elder Blood)

 <古き血>は別名を「ヘン・イチェル(Hen Ichaer)」といい、謎めいた『イスリンの予言(Ithlinne's Prophecy)』で言及され、世界の終末と再生の刻に蘇(よみがえ)るとされています。
 一説によれば、古代種族で魔法の制御に長けたエルフの中でもひときわ強い魔法の力と予言力を備えた血統で、女魔術師ララ・ドレンの死によって途絶えたとも、密かに継承されその保持者は強大な魔力と予言力を秘めるともいわれています。

北方諸国(Northern Kingdoms)

 <北方諸国>はアメル山脈の北側にある、ニルフガード帝国人が北方人と呼ぶ人々の諸王国で、主な住人は人間ですがエルフやドワーフ、ノーム、ハーフリングらが二級市民として存在します。
 規模が大きく有力なレダニア、テメリア、エイダーン、ケイドウェンの四王国のほか、多数の王国や自治領が存在します。

スコイア=テル(Scoia'tael、リス団)

 古代種族と呼ばれるエルフやドワーフ、ノーム、ハーフリングは、人間族との交流を持ちますが、異質な風貌や文化・慣習は往々にして偏見や差別を生み、相互不信が衝突や迫害に達してしまうことがあります。
 そうした怨恨、憎悪を背景に、北方諸国において人間に対するゲリラ的な襲撃を続けている勢力が、エルフ語でリスのしっぽを意味する「スコイア=テル(Scoia'tael)」で、この名は縁なし帽や衣服にリスの尻尾を付けることからきています。
 武装闘争が長期化するにおよびその戦術も過激さ、残忍さを増しており、またニルフガード帝国が裏で後援しているとの噂も絶えず、北方諸国の君主たちはその脅威を危険視し、対策を強化しつつあります。

ニルフガード帝国(Nilfgaardian Empire)

 <ニルフガード帝国>は既知世界におけるもっとも強力な帝国で、「大陸」の南方にあります。
 はるか昔のニルフガードは、アルバ川付近に居を構える王に統治されたいくつかの村落からなる小王国に過ぎませんでした。初期の居住者たちはアルバ渓谷のブラック・シーデと呼ばれるエルフと混交し、エルフ語をはじめとした文化を吸収します。王国はやがて有力な市民による元老院が政治を担う共和制へと移行し、後年独裁者が実権を握ります。
 近年は絶対君主による統制の下、経済の繁栄を背景に、よく訓練された軍事力と調略により周辺の王国を次々と属州化して版図を広げています。ウィッチャー・サーガの開始時点で、エムヒル・ヴァル・エムレイス皇帝の黒の軍団は、「偉大なる太陽(The Great Sun、帝国の紋章にして国教のシンボル)」の旗を掲げてヤルーガ川まで北に展開し、北方諸国と対峙しています。

ディメリティウム(Dimeritium)

 「ディメリティウム」は魔法の力の流れを阻害する特殊な金属材料で、鉄との合金は魔法使いを拘束する手錠などに使用されます。主に北方諸国のコヴィリとポヴィスで生産されています。

刊行情報

  • 『<魔法剣士ゲラルト> エルフの血脈』(旧版)、早川書房より 2010年5月30日 刊行。
  • 『ウィッチャーI エルフの血脈』、早川書房より新装版シリーズとして 2017年8月24日 刊行。
  • 『ウィッチャーII 屈辱の刻』、早川書房より新装版シリーズとして 2017年8月24日 刊行。
  • 『ウィッチャーIII 炎の洗礼』、早川書房より新装版シリーズとして 2018年5月7日 刊行。
  • 『ウィッチャーIV ツバメの塔』、早川書房より新装版シリーズとして 2019年1月10日 刊行。
  • 『ウィッチャーV 湖の貴婦人』、早川書房より新装版シリーズとして 2019年7月18日 刊行。

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このページへのコメント

閲覧者様より御指摘のあった、「古い血」の記述を訂正しました。
だいぶ遅れてしまい申し訳ありません。

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Posted by  malynera_cat malynera_cat 2019年10月04日(金) 07:57:15 返信

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