差別・偏見やヘイトスピーチを助長する「嫌韓」デマ・中傷に対抗・反論するウィキです。

×
在日が日本に帰化したがらないのは?で、在日コリアンに対して「帰化しないのか?」と尋ねることについて「ぶしつけ」と書きました。しかし、どうしてそれが「ぶしつけ(失礼)」なの?と思う人もいるでしょう。

在日コリアンが「帰化」を選ぶのは人それぞれで、様々な理由が考えられます。いくつか例を挙げると、

・日本国籍でないとなれない職業(公務員の大半など)がある。
・就職に有利(外国籍のままだと就職に不利)だから。
・参政権が欲しいから。
・子どもの将来を考えて。
・何代も日本に住み続けるのに外国籍のままなのは不自然だから。
・外国籍のままだと何かと煩わしい・面倒だから。
・国籍にそれほど執着・こだわりがない。
・結婚相手(日本人)の親族に勧められた(あるいは「帰化するなら結婚を認める」と言われた)から。

などでしょうか。

逆に、帰化しない理由もまた、人それぞれ、様々でしょう。
・手続きにはお金も時間もかかり、面倒だから。
・(手続きにかかるコストに比べ)帰化することにメリットを感じないから。
・今のままでも特に不都合を感じないから。
・ルーツ・国籍に、こだわり・愛情があるから。


ただし、こうして挙げたものは、理由の一部・一側面ではあっても理由の全てではないでしょう。多くの在日コリアンは、人生の節目(進学や就職、結婚など。また親の片方が日本人、もう片方が外国籍の場合、成人までは二重国籍状態ですが、成人するとどちらかの国籍を選択しなければならなくなります)で、あるいは日常の何気ない場面で「国籍」の問題と向き合い、考えざるを得ない状況になります。帰化を選ぶにせよ、選ばないにせよ、そこにはその人なりの人生が背景にあります。言ってみれば「帰化する/しない」を尋ねられるというのは「どんな人生を生きてきたのか」と尋ねられるのと同じで、そう簡単(簡潔)に答えられるものではないし、きちんと誠実に答えようとしたら(相手が「気軽」「素朴」に質問するのと対照的に)大変な労力がかかります(※注)。

「ぶしつけ」である理由はそれだけではありません。「帰化」という言葉の元々の意味は「君主の徳に教化・感化されて、そのもとに服して従うこと」ですが、これは単に語源の問題ではなく、現代の「帰化」という言葉にも色濃く反映しています。「帰化」という言葉は、単に国籍取得という行為・手続きを指すだけでなく「日本(人)に同化する」「日本(人)に服従する」というニュアンスを含むことが少なくありません。現にかつては「帰化」するならば日本風の名前にするのが暗黙の了解とされ、元の名前(民族名)のままで日本国籍を取得するのはほぼ不可能でした(※注2)。

日本人からの「なぜ帰化しないのか?」という質問も同じで、そこには「なぜ“我々”と同じになろうとしないのか」という同化圧力が(質問者はそうした意図・意識がないつもりでも)生まれます。よほど心を開いた相手や特別な必要があるならともかく、それほど親しいわけでもない相手(ましてやネット上で見かけただけの相手)に「気軽」に聞くべきことではないでしょう。

それでもなお、在日コリアンの「帰化」に対する気持ちや考えについて知りたいという人はいるでしょう。そういう人には、たとえば以下のような書籍を読むことをおすすめします。



最後に蛇足ながら付け加えると「なぜ帰化しないのか?」という疑問を持った人がまず最初にすべきなのは「なぜ自分はそういう疑問を持ったのか?」と自問自答してみることではないかと思います。

関連記事 ムジゲ8号 特集<帰化>


(※注)ただ、日本人に少しでも在日コリアンについて理解してもらおうと誠実に答えようとする人もいます。しかしそうして答えたにもかかわらず、相手の意図が単に自分の思い込みや偏見を補強したいというものだったり、在日コリアンを非難する口実・きっかけ作りだったりして失望させられたりすることが少なくありません。そういう経験のため、ますます「なぜ帰化しないのか」という質問(者)に対して敏感にならざるを得なくなるという悪循環があります。

(※注2)現在では、たとえばサッカー選手の李忠成さんのように民族名のまま日本国籍を取得する人も出てきました。しかし帰化申請が認められるか却下されるかについては明文化された規定はなく、前例についての情報などから「こういう条件だと通りやすい/却下されやすい(らしい)」と判断するしかありません。また却下されても、当人にその理由は示されません。そうしたことから「少しでも却下されるリスクを減らしたい」と日本風の名前を選択する人もいるようです。

Menu

メニューサンプル1

メニューサンプル2

開くメニュー

閉じるメニュー

  • アイテム
  • アイテム
  • アイテム
【メニュー編集】

管理人/副管理人のみ編集できます