<夏宴夜>〜推薦コメント〜



夏の曲というと「元気良く」、「アップテンポ」といったイメージがあるし、                                                                                         そういった曲にも名曲がたくさんある。
5月6月頃になると、今年の夏の新曲がそろそろ店頭に並びだし、心踊るものだ。
    
一方、この「夏宴夜」は、太陽ギラギラ輝く光景を歌ったものではない。
むしろ、夕暮れや夜のイメージを思い起こさせる。                                                                                                     そして、浴衣姿の彼女と、Tシャツにサンダル履きの彼の、仲睦まじくどこか照れながら歩く瞬間を思わせる。  
それは誰もが想い出の片隅に持っている、あの夏の夜のポートレートなのだ。

                                                                                                                           「夏は夜。」という言葉を掘り返す必要も無いほど、我々の心に訴えかけてくる風情というものが、夏の夜にはある。
蛍、星、花火、そして様々な夏のオノマトペ。
今年の夏はどのように染まるのだろうか?                                                                                                         金色に?七色?                                                                                                                                             いずれにしても、鮮やかに夏の夜の宴の時を楽しみたくなるような、この歌の風景である。

                                                                                                                                        落ち着いたコード進行の元、すべて任せられるピアノの音色が基礎を築き、                                                                                                      そこに、まるで宙を舞っているかのようなチェロの響きが重なる。                                                                                                          ボーカルはその音空間の中を、自らの想いを届けようと、ひとつひとつの言葉を丁寧に歌い上げている。


惜しまれつつ過ぎ去ってしまう夏の一片を、                                                                                                                    壁のピンナップのように留めておいてくれる。                                                                                                                   この曲にはそんな静かな力が潜んでいる。


by Kiyohisa Kogure


       

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

管理人/副管理人のみ編集できます