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 意識が遠のくような、逆にはっきりしてくるような。そんな何度体験しても慣れない不思議な感覚を覚えながら、少年はその場所に降り立った。

 周りを見渡せば、そこは街のような場所だった。ショッピングセンター的な大きなビルや広い公園のような空間があり、そこを楽しそうな笑顔を浮かべた人が歩いているのが見える。一見普通の街中のようだが、しかし空を見上げるとそこには青空は無く、青いワイヤーフレームのような天井が広がっていた。

 ここは仮想空間。専用の器具を使い、人の意識を直接ダイブさせて現実のように活動することができる、電子的に再現されたバーチャルの世界だ。

 周囲には現実の繁華街のような賑やかな喧騒が広がっており、人々が楽しそうに買い物をしていたり、案内をするAIアシスタントと会話する人が居たり、そこら中にやかましく刺激的な電脳広告や生放送が表示されていたりした。

『新パック本日発売! 1BOX購入で1パックおまけでプレゼント中!』『あなたのアバター、もっと個性的にしてみませんか?』『ねえリィラ。今さらポトおじとかこれだいぶ時期外れじゃない?』『絶好調マグネッツチャンネル! 今日はカルボナーラを作っていくぞ!』『甘いねキル、流行は回るんだよ。私はまたポットの時代が来ると踏んでるね……!』

 周りの人たちはそれらの喧騒の中で楽しんでいたが、彼はそれらに背を向けて、街の外に向かって歩いた。興味を惹かれはするが、今日の目的はそういうものではない。

 人が次第にまばらになっていく中をしばらく歩くと、街の外壁にあたる場所、仮想空間内のエリアの境目に出る。この先は別のサイトやエリアへ行く道、制御された一般向けのエリアから広大なウェブの海に出る場所だ。普通に買い物や交流を楽しむなら用のない場所だが、彼の目当てはこの先にあった。

 扉を開けて外に出て、移動用のボードを出してサーフィンやスケボーのように移動を始める。事前に用意しておいたマップを見ながら、整えられた交流エリアとは真逆の殺風景な空間を滑るように移動し続ける。しばらくそうしていると、大きなシルエットが見えてきた。

 それは巨大な都市のようなものだった。高度で緻密なワイヤーフレームによって形作られた、まるで重厚な城か砦を思わせる巨大な都市。四方には門のような大きな渦が浮かんでおり、そこからは常に雑多なデータが現れては別の渦へと流れ続けている。

 ここは仮想空間に存在する電脳都市「九竜」だ。当然だが仮想空間は現実世界とは異なり、緻密に計算されたデータによって成り立っている。常に行き交うその無数のデータを正しく処理し、仮想空間を正常な状態に保つのが、この九竜の役目だという。人々にとって無くてはならないものとなったこの世界を支える、縁の下の力持ちといったところだ。

 少年はボードを操って上昇し、上から都市を見下ろす。目を凝らすと都市には何体かのAIアシスタントが居るのが見え、行き交うデータを確認しながら何か操作していたり、流れからこぼれたデータを正しい門に放り投げたり、急に飛び出してデータの急流の中から黒い塊を抜き出して排除したりしていた。AIたちは流線形で未来的なフォルムをしており、神獣のような神々しさをもった者も居れば、四肢を持った人のような造形の者も居る。少年の目当ては、そのAIの内の一体だった。

 上から見て目当ての個体を発見すると、少年はボードを流れに乗せ、近くまで行ったらボードを降りて都市に着地する。ワイヤーフレームの都市はしっかりと着地することができ、中に入るとその巨大さと、上空を行き交う膨大なデータの流れに圧倒される。そうしてつい上に向かってしまう視線を前に戻すと、そこには目当てのAIアシスタントが居た。

 それは少女のような体型をした、ロボットのような外見の個体だ。爽やかな水色のボディには桃色のラインが走っており、何故か胸部と内腿の部分だけ白い色になっている。後頭部からは髪の毛のような長いコードが伸びており、自由に動かせるのかわさわさと絶え間なく動いている。

 彼女は手に大きな杖を持っており、それを上空にあるデータの流れに向かって掲げ、何らかの作業をしているようだった。少年が近付くと彼女はこちらに視線を向け、トコトコと愛らしく歩いてきた。

『こんにちは。電脳堺都−九竜へようこそ。瑞々になにか御用でしょうか?』

 少女型のAI、瑞々は桃色の大きな目を明滅させながらそう言い、両手を腰の前で揃えて僕を見る。そうしている間にも彼女の髪は緩やかに動き、水平に持った杖は薄く光を放っており、話しながらも何らかの作業が進行していることがわかる。

 少年は目当ての彼女を目前にして、少し緊張しながら口を開いた。

「その、君に会いたくてきたんだ。少し、一緒に話してもいいかな」

 AIである彼女のような存在には、ストレートな物言いの方がよく伝わる。彼女を真っ直ぐに見ながらそう言う少年に対して、瑞々は首をこてんと傾げ、不思議そうに応対した。

『瑞々と、ですか? 瑞々はコミュニケーションを主目的としたアシスタントではないため、会話を楽しむことには不適格かと思われますが、それでもよろしいでしょうか?』

 ロボットのような無機質な外見と返答だが、その仕草は少女的で愛らしく、少年はそのギャップにどきりとしてしまう。それでいいよ、と返しながら、少年は彼女と出会った日のことを思い出していた。

 数日前、少年は学校の授業で、仮想空間への初めてのダイブを行なった。教員やクラスメイトたちと一緒に仮想空間に降り立ち、最新技術であるこの空間やAI技術と触れ合うことで、情報技術に関する正しい知識や認識を持つための授業だ。その授業の中で、この九竜にも訪れていたのだ。

 その時は遠くから眺めるだけだったが、少年の目はそこで働いているアシスタントたちに釘付けになっていた。元からそういった、女性型のロボット然としたデザインに興奮を覚えるタイプだった彼には、遠目に見えるアシスタントたちの姿がとても魅力的に見えたのだ。現実にはまだ存在しない、滑らかに稼働する人間サイズの女性型ロボット。それが強い実在感を持って、同じ世界に存在している。それを認識すると、彼の心は彼女たちのことでいっぱいになってしまった。

 家に帰ると、彼はすぐに貯金を崩してダイブ用の機器を取り揃えた。そして届いたらすぐに二度目のダイブを行い、真っ先にこの九竜にやってきて現在に至る。目当ての瑞々を目前にして、彼の心は浮き足立っていた。

 少し緊張しながら、彼は口を開く。衝動的にここまで来たから何も考えていなかったので、当たり障りのないことから聞いてみる。

「その、ここで何をしているの?」

『瑞々の業務はデータの監視です。上空をご覧ください。あの行き交うデータを精査し、正しく処理することが瑞々たちの役目です。異常データや悪意あるプログラムを検出して排除し、当エリアを正常に保ちます』

「へえ、凄いね。それじゃ、邪魔しちゃ悪かったかな?」

『瑞々のコミュニケーション機能は副次的な機能です。主目的である監視・精査はバックグラウンドで正常に処理されており、会話がパフォーマンスに影響を与えることはありません』

 その言葉通り、何らかの処理が行われていることを示しているのか、彼女の後頭部から伸びるコードはうねうねと動き続け、手に持つ杖もチカチカと点滅を繰り返していた。

「へぇ……そ、それじゃ、触ったりしても、平気?」

『はい。瑞々は非接触型のホログラムタイプではなく、接触判定を持つ実体型アシスタントです。接触することで、瑞々の外観に合わせた感触をフィードバックします。なお、接触フィードバックもベースプログラムによる自動的な処理であり、パフォーマンスには影響はありません』

 そう言うと、瑞々は片手を杖から離して右手を差し出してきた。握手をするように差し出された華奢な手に触れると、硬質でカチカチしてそうな外見とは裏腹に、意外にも少し柔らかい感触が帰ってきた。力を入れるとわずかにへこむ、堅めの合皮のような感触だった。

「へぇ……」

 そのまま手を前腕に這わせてみると、ここは装甲のような扱いになっているのか、硬めの感触を感じる。さらに無機質な顔にも手を伸ばし、頬を撫でるように触れてみると、ここは指先同様の合皮のような感触だった。恐らく、青やピンクの箇所や装甲のようになっている所は硬い感触で、白い所は肌のような扱いで少し柔らかいのだろう。

 そう考えると、彼女の身体の白い所が気になってくる。女性的なラインをした胸元と、太ももの内側にある白い所は、どんな感触をしているのだろうか。

「えっと……触っちゃ駄目な所とかって、あるかな?」

 気にはなるが、場所が場所なので念のためこういう確認をしておく。駄目そうなら諦めて妄想したり他の楽しみ方をしよう……と、そう思ったのだが、

『ありません。接触が瑞々のパフォーマンスに影響を与えることはありません。お好きにお手を触れてみてください』

 予想とは違い、彼女は拒むどころか軽く両手を広げ、どこでも触って良いとでも言いたげなポーズを取ってきた。

「えっ、良いの? 嫌な所とか、そういうのは……」

『嫌……』

 思わず聞き返すと、瑞々は大きな目をチカチカと点滅させる。回答を算出するのに時間がかかったのか、数秒ほどそのまま固まって黙った後、瑞々は改めて言葉を続ける。

『嫌、はありません。むしろ瑞々は接触を好ましいと判断しています。瑞々は情報の監視と精査を主目的としたアシスタントであり、人間の皆様のお力になれるように日々稼働しています。それ故、副次的な機能であるコミュニケーション機能でも人間の皆様のお力になれることは好ましいと認識しています。そのため、瑞々との接触や会話をお楽しみ頂けているのでしたら、それは瑞々たちアシスタントにとって光栄なことです』

 そう言うと、彼女はこちらに一歩近付いてくる。作業用のAIアシスタントである彼女にとって、人間の力になれることは好ましいことだと。つまり、触ったりお喋りしたりして楽しんでもらえたら、通常の業務にプラスアルファで人間の役に立てたと認識しているのかもしれない。

 AIらしい無機質な判断だが、どこか愛嬌や健気さを感じる。その愛らしさに頬をほころばせ、そして少し股間に疼きを感じながら、少年はそれならばと彼女の身体に手を伸ばした。

「そ、それじゃあ……」

 両手を伸ばし、彼女の胸元にある確かな膨らみに触れてみる。指先や顔のような質感を想像しながら丸みに手を這わせてみると、

 ……や、柔らかい……!?

 予想外の感触が帰ってきた。彼女の胸元、女性的な丸みを帯びたその膨らみは、想像とは違い手を這わせると柔らかく歪んだのだ。力を入れるとその分だけ沈み、緩めるとその分だけ元に戻り、持ち上げると確かな弾力を感じる。少年は女性の乳房に触れたことなど無かったから判断はできなかったが、それは間違いなく乳房と呼べる質感を持っていた。

 ではこちらはどうか、と思い、彼は下にも手を伸ばしてみる。前腕同様に硬くつるつるしたお腹を経て彼女の内ももの白い所に触れると、そこも胸元同様に柔らかくもちもちした感触が帰ってきた。どうやら胸元と内ももは他の部位とはまた異なり、肌が露出しているような判定になっているのかもしれない。

『……』

 人間ならセンシティブな部位を触られていても、瑞々は無言のまま静かに立っている。こちらを見つめる桃色の目からは意思も感情も読み取れないが、抵抗も反応もしないということが行為を受け入れていることを示している。

 その事実にまた興奮が高まった少年は、思い切って瑞々にさらに近付き、その小柄な身体を抱き締めてみた。背中に回した手には硬い質感があり、胸元に触れる膨らみからは柔らかい感触が感じられる。VR空間であることを忘れるほどのリアルな感触に、少年は彼女を夢中で抱き締め、その華奢な身体を思う存分まさぐった。

「はぁ、はぁ……柔らかくて、硬くて……気持ちいい……」

『気持ちいい……瑞々とのスキンシップでご満足頂けていると判断します。お褒め頂き光栄です』

 瑞々は全身をまさぐられながら、お礼の言葉まで言ってくる。その機械的な言動がまた少年の心を刺激し、より遠慮が無くなっていく。

 息を荒げて抱き締め、尻の曲線を、なだらかな背中を、臍の窪みを、つるりとした股間を撫で回し、全身が熱くなるような感覚を覚え始める。我慢できずに彼女の頭部に顔を近付け、口の無い顔に吸い付くように一方的なキスをする。無機質で大きな瞳が静かに少年を見つめる中、彼の興奮は最高潮に達し、そして、

「あっ、ああっ……!!」

 股間から脳まで突き抜けるような衝撃が走り、少年は多幸感に包まれた。電脳空間の中、無機質なAIアシスタントを抱き締めたまま、彼はビクビクと震えながら一人背中を反らせていた。

「あぁ……ふぅ……ふぅ……あっ! 今、僕……!?」

 少しして興奮が落ち着くと、少年は自分が興奮の末に射精のような感覚に至ったことを自覚する。意識は仮想空間にダイブしているが、現実の身体はそのままだ。ならば今、現実の自分の下半身はどうなっているのかということを考え、少年の意識は夢心地から一気に現実に引き戻された。

「あっ、あの、ごめん! その……僕、もう行くね!」

『かしこまりました。瑞々とコミュニケーションを取って頂き、ありがとうございます』

 慌てて腕の中から瑞々を解放するが、彼女は何事もなかったかのように平然とお礼を言い、ぺこりと頭を下げた。

 少年は焦りながらボードに乗って仮想ディスプレイを呼び出し、すぐにログアウトする準備に入る。瑞々はすぐに立ち去らず、それをじっと見つめていたが、少年がログアウトする直前に小さく片手を上げ、

『またのお越しをお待ちしております』

 ふりふりと手を振って、忙しなく去っていく彼を見送った。

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