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作者:魔の性癖破壊ウィルス

アルバス×エクレシアのssです。
結構苦労しました。





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「いつからでしょうか、アルバス君を遠く感じるようになったのは。」

かつて教導国家ドラグマにて『聖女』として持て囃された少女エクレシアは水平線を潜ろうとする赤き日を眺めながらつぶやく。


エクレシアの目線の先には数人が歓談を楽しんでいる。

その中には謎の大穴『ホール』からの少年、『アルバスの落胤』も含まれている。



アルバスとは白を表す言葉。

この世界に落ちてきた名もなき少年の純粋さにちなんでつけたものだった。



エクレシアはアルバスの扱いを巡り、国家ドラグマを追放された。


放浪の旅の途中、エクレシアはアルバスに頼られるのが好きだった。

アルバスにとってエクレシアは彼の世界そのものだった。



「けど今は…」


頼もしい仲間が増えた。

スプリガンズや鉄獣の皆んな。
どれもかけがえのない大事な存在だ。


仲間がいるのは嬉しいこと。
なのに。


「なのに、なんでこんなに胸が苦しいのでしょう…」 


エクレシアの知らない痛みが彼女を蝕む。

みんなと一緒にいれて喜ぶべきなのに。


空腹の痛みとは違う、戦闘で負う傷とも違う。


エクレシアの知らないモノ。

だけどどこか醜いものであることはわかる。



ならいっそのことアルバス君をー



「あー!ダメダメ!ダメです!」


邪な考えを無理矢理断ち切る。

こんな自分は誰にも見せたくない。



「今日は早く寝ましょう…」


気づけば日は落ち、辺りは夜に染まっていた。


---



「中々寝れないですね…」


少し呆けていたらアルバス君が離れていってしまいそうな気がして。


頭が痛い気がする。

体を冷やすためにコップに水を注ぐ。

とくとくとく

涼しげな音が響いた。



けれどもエクレシアの痛みは止まることを知らない。


「アルバス君に会いたい…」

熱に浮かされたエクレシアの行動は早かった。


駆ける
駆ける
彼の元に駆ける。


アルバスの寝息が寝室のドア越しに聞こえる。

エクレシアはゆっくりとドアを開ける。



「エクレシア…?」


目を覚まし、ゆっくりと起き上がるアルバスの胸元にエクレシアが飛び込む。



エクレシアはアルバスの元で何も喋らない。


けれどもアルバスにはエクレシアが泣いているように見えた。



「…さい…」

「どうしたんだ…?エクレシア」

「行かないでください…」



アルバスは一呼吸おいて言い聞かせるように言う。



「僕はキミと一緒だから。どんな時も一緒だから。」



普段は明るく頼りになるエクレシアが自分に縋りついてくる。



「アル…バスくん…」


弱々しい声でエクレシアは返す。


「私は…貴方がどんどん遠のいていくような気がして…それが怖くて…痛くて…」



アルバスは胸元のエクレシアの顔を自分に向ける。

2人の目線がカチリと合う。





「これからもずっとエクレシアと一緒だから。」


「キミは僕に名前をくれた。僕にとってのオンリーワンだから。」


「キミの手は離さないよ。」


アルバスの透き通るような紅い瞳が涙ぐむエクレシアの目を射抜く。



その眼でエクレシアの胸の痛みが溶けていく。

代わりに体を形容しがたい暖かさと安らぎが満たしていく。

(ああ、やっぱり私は)

(アルバス君のことが)

(大好きなんですね…)



今度はエクレシアがアルバスの眼を見る。

そして聖女の小さな手が落胤の手を抱きしめる。



「アルバス君」

「私も貴方の手をずっと握り続けますね…?」





2人の間を祝福するように朝日が包み込んでいった。






end

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