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最終更新： nishi2019 nishi2019 2020年12月24日(木) 20:52:14履歴


浅間温泉

浅間温泉（あさまおんせん）は、長野県*1松本市*2北東部にある温泉。同市の奥座敷といわれる。
*3
所在地公共交通泉質泉温（摂氏）液性の分類外部リンク
長野県松本市公共交通 : JR篠ノ井線松本駅前の松本バスターミナルよりアルピコ交通浅間線で約25分単純温泉42〜52.3アルカリ性[[浅間温泉観光協会*4、浅間温泉旅館協同組合*5

生活の基本情報

本郷村

明治22年1月に浅間・大村・水汲・原・洞・稲倉・三才山・横田・惣社・の各村を合併すべきとして尊名は惣社・横田・大村を除く6カ村を昔から本郷六箇と呼んでいたため、「本郷村」と称することとなった。
明治21年4月17日法律第1号によって市制町村制が公布され同22年4月1日から実施されることとなった。
その後本郷村は昭和48年(1974年)5月1日に松本市に合併された。

本郷村地図
参照：長野県東筑摩郡本郷村*6

本郷村戸口変遷

年号(西暦)戸数人数
明治9(1876)627
明治20(1887)6973,628
明治30(1897)7814,216
大正2(1913)8755,352
大正9(1920)1,1305,600
昭和3(1930)1,2676,190
昭和15(1940)1,2616,312
昭和25(1950)1,7258,127
昭和35(1960)2,3339,437
昭和45(1970)3,89012,118
昭和48(1973)4,16012,736
(参考)本郷村誌*7

明治22年本郷村が発足した当時の戸数は697戸、それから85年後の昭和49年5月1日松本市へ合併する前年には4,160戸となり、約6倍弱に増加している。

教育文化

本郷村立本郷小学校
昭和21年11月新憲法が公布され、昭和22年2月31日、「教育基本法」及び「学校教育法」が公布されて新しい学制（いわゆる六・三制）が実施された。
この六・三制の実施によって本郷国民学校が、本郷村立本郷小学校と改称され、本校14学級、3稲分校4学級となった。同時に本郷村立本郷中学校が北校舎に開校された。

新築された本郷小学校全景


女鳥羽中学校
新学制の六三制実施に伴って本郷村においても本郷小学校に併設して三年生の新制中学校が創設されることとなり、
昭和22年4月12日本郷中学校として開校、入学式を挙行し、小学校6カ年、中学校3カ年、計9カ年の義務教育が発足した。
昭和24年頃より松本市から本郷村、岡田村に対してそれぞれ合併の問題を持ちかけられ、学区は旭町中学校へ合する案も出たが村内事情により成立はしなかった。しかしこれが契機となり、本郷・岡田両村民の間に組合立中学校設立の世論が起こり昭和25年に入って両村当局、両村議会、および両中学校PTA事に協議会がもたれ、設立についての利害、土地問題、位置の件などについて研究がつづけられた。
昭和25年3月31日以降、組合立設立女性補助金交付打ち切りの説があったのに促進され、この問題は急に具体化することとなった。
昭和25年3月1日、本郷村議会において組合設立の件が承認議決された。7月には中学校設置許可並びに建築許可を受け、建設活動が始まった。
昭和26年3月31日をもって両中学校は廃校、4月1日「長野県東筑摩軍本郷村・岡田村中学校組合立女鳥羽中学校」として発足した。当時校舎はまだ完成していなかったため、1年生・3年生は本郷の東校舎へ、2年生は岡田の西校舎へ授業を行うことになった。
11月20日に落成式・開校式を挙げ、名実ともに女鳥羽中学校が第一歩を踏み出した。
当時東筑摩郡というところは進歩的であり、申請中学校は統合中学校でないとという考えが盛んで、菅野中学校、丘中学校に続いて3番目に統合が成功したことは、本郷・岡田の当事者の英断であって、朝鮮戦争下、財政の苦しい中でこの大事を成し遂げたということは銘記すべきことではないだろうか。
(参考)本郷村誌p1113-p1121*8

商業

商店
明治初期における本郷村の商店数は明らかでないが、考えられることとしては浅間を除く農村部落には店らしきものは少なく、主要な品物は松本町へ出かけて買い、簡単な日用品などは行商人から買っていたものと思える。中期ごろになると部落にも雑貨屋的な小店もでき、浅間には料理屋、飲食店も増したようである。
部落別商店の分布は次の表の通りで、浅間、横田方面が多くなっている。南郷方面が住宅課するにつれて、南郷方面はさらに増加しつつある。


部落別商店分布一覧
種別＼部落三才山稲倉洞原水汲浅間南浅間大村横田惣社計
昭和13.177220884122124
昭和354310215741163191
35年店種
酒113116
雑貨3211102222
菓子73313
呉服55
食糧44
飲食1212
米　134
土産1212
自転車11
金物11
燃料34
化粧・薬44
文房具33
旅館58866
写真22
理美容121215
その他99
青果819


商工業の事業種別従業員数も下の表のように年々増加傾向にあった。
村内県税・営業税・雑種税別対象者数一覧
業種＼年明治243038大正2昭和810
物品販売業　240229220175171107
料理業　　　36321010146
飲食店　　　301426139
理髪髪結　　32571418
湯屋　　　　11662
銭物品貸付業9
旅人宿　　　4017
周旋業　　　31
代理業　　　11
職工　　　　59
写真　　　　1
染物　　　　1
紙すき　　　1
炭焼　　　　21
遊芸師匠　　2
遊技場　　　617
水車　　　　37
売薬請売　　14
蔬菜呼売　　4
賃馬　　　　4
運送　　　　1
氷水店　　　1
請負　　　　5
貸座敷　　　16
芸妓置屋　　180


本郷村の商業一覧　（長野県総務部統計課資料）
分類 　　　 　　店数従業者数男女年間販売額
昭35　卸売り　　5175,429万円
小売　　　　1002532,9022
飲食　　　　14562,330
計　　　　　11932636,782
昭37　一般卸売　4176,855
衣服身回品小売5143,349
飲食品小売　　6616427,046
飲食店　　　　19624,684
自転車荷車小売2xx
家具建具什器小売913716
その他小売　　28556,224
計　　　　 　13332948,874
昭40　一般卸売　63021916,634
織物衣服小売　82210125,752
　飲食料品小売　7523911312647,434
　飲食店　　　　391169,400
　自転車小売　　2xx
　家具建具小売　4734428
　その他小売　　3276334310,029
　計　　　　　　16649018019489,677
昭47　一般卸売　41810820,397
　織物衣服小売　823101310,431
　飲食料品小　　682119511694,109
　飲食店　　　　5313120,216
　自転車小売　　2xx
　家具建具小売　59541,148
　その他小売　　51110575336,611
　計　　　　　　181502182,912


本村事業種別従業者数　（本郷村資料）
年次　建設業　製造業　卸売業　運輸通信業サービス業その他　不動産業　計
昭和32201813661508338
　　35232412041605336
　　382942148917829435
　　414049166924453563
　　44455317715290617663
　　47566219093075140769
(参考)本郷村史 p1048-p1051*9

商圏
昭和45年頃から、群町村から都市への集中という現象が見られ始める。
昭和45年及び47年11月に県下の各商工会から、地区の中学2年生の1クラスの家庭を対象として行った調査では、
本郷村内での買い物が昭和45年には19.9%だったものが47年には16.6%へ減少し松本へ買い物に行く家庭が次第に増加している。
特に、衣料品、身の回り品等を松本で買う家庭が多くなっていた。
松本で買う理由としては、品物が豊富だから、近いから、交通の便が良いから、店の人と親しいから、
サービスが良いから、等の順となっていた。

金融機関の歴史

１、金融の概略

金融機関について
明治20年
以前松本には銀行として第一四国立銀行、松本銀行があり、銀行類似会社として開産社、交通社が、東筑摩郡内には共益社(島立)、共融社(島内)、繁栄社(芳川)、野溝営業会社(芳川)、博愛社(島立)があった。
明治27年、28年
日清戦争を契機として企業熱がたかまり、全国に多くの銀行が設立された。 当地方において、蚕紙の販路拡張にともなう製糸業の経営規模拡大や、篠井線鉄道工事の着手により商況が活発となり、新しい銀行を設立しようとの空気が強まり、明治34年までに松本に四銀行が、東筑摩郡内に八銀行があいついで設立された。
明治30年3月
株式会社浅間銀行が資本金5万円で設立された。当時本郷村は全国有数の蚕種製造業の盛んな地であったから金融機関として浅間銀行の設立は当然であった。
明治34年
交通の発達や当時の大銀行扶桑銀行の支払停止などが重なって浅間銀行は四三年遂に倒産してしまった。
大正7年
明治33年ごろから産業組合法が実施されて信用購買組合が各村にでき始め、本村にも本郷信用購買組合が設立されている。

会社組織も盛に作られていった。本郷村の会社を列記すれば次のようであった。
・株式会社浅間銀行　明治三〇年三月　資本金五万円
・南信肥料合資会社　明治三一年一〇月　肥料取引資本金二万円
・合資会社北滝沢屋　明治四〇年一〇月　旅人宿 資本金千円
・宮島蚕業合資会社　明治四三年九月　蚕業資本金六百鬥
・合資会社新松鶴　明治三九年六月　貸座敷資本金千二百鬥
・合資会社中村屋　明治四二年九月　旅人宿資本金千百円

無尽講について
相互に金銭を融通しあう目的で組織された講。明治以後も、近代的な金融機関を利用し得ない庶民の間に行なわれた民間金融機関である。（無尽講とは - コトバンク (kotobank.jp)）
　本郷村でも災害救助、企業資金の調達、物品月賦購入のための資金として、近隣者とか親族など３、２０人を組として隔月とか、年数回とか開期を定めて千円から数十円の金の落札、融通を行い、明治30年頃本村にも二、三〇講を数える発展を示した。しかし潰れ無尽も多く、役所・警察の介入も出るようになって、又銀行産業組合の利用が多くなってその数も激減していった。

金貸し質屋について
　個人関係の金融として金貸し質屋は存在が民間では大きかった。これは信用か担保によってその土地の金持ち人が貸付けたもので金利は高率であった。法人を組織して金貸しをする業者も各村にでき、松本広域で明治30年以降に登録されたものは9社に及んでいた。
これらの金貸しの内、質草を担保に貸付けをした者が質屋である。初めの頃は金利が２割、流失期限は３年から４年で、衣服・調度品・米穀・農具等を質草として貸していた。その後金利も二割五分から三割となり、期限明治17年18年頃には長くて８か月と短縮されていった。
(参考)本郷村史 p1070-p1072*10

２、村営公益質屋

・明治33年3月2日
公益質屋は庶民の金融機関として望まれたもので、村会での開設が議決された。村では各戸へ左のようなちらしを配布したようだ。

村営質屋開設
一、開業　昭和四年三月二〇日予定
一、場所　位置は図面の通り(観光タクシーで)
一、取扱時間　毎日午前八時半より午后八時迄　土曜日午后五時迄
一、休日　祭日及び日曜日
一、貸与金額　一口四千円、一世帯一万円迄
一、利子　月三分即ち百円に付一ヶ月三円で月を越しても一五日なら半月分、一六日以上なら一ヶ月分となります。
一、流質期限　四ヶ月
一、取扱資物　衣類、装身具、家具、業務用品等取扱に便宜の動産に限ります。
今度本郷村は大体以上の要項で民衆的な金融機関として公置を開設することになりました。凡てを簡易・迅速・低利にお金の融通を致します。社会的利民本位の施設であります。こうした村の事業は則ち皆様の事業でありますから、充分皆が御利用下さるようおねがいします。
御利用の方は印鑑と、主食の通か健康保険証か又は身分証明書、或はこれに代るべき証明書を忘れずに持参して下さい。
昭和三四年三月一〇日
本郷村長三浦忠夫

昭和38年
経済状況が良くなり次第に利用者も少なくなったので閉鎖された。
(参考)本郷村史 p1073-p1074*11

3、松本信用金庫浅間支店

大正2年2月
有限責任松本信用組合として創立。
当時の社会状況は第一次世界大戦後の反動不況のさなか、著名な会社が破綻し、また一部の中小銀行までが収付さわぎにあい、支払不能におちいるなど経済混乱の時代、市内の中小企業者や一般庶民の金は著しく閉鎖して極度の苦境に立たされていた。そんな中一般商工業者の福利とその立ち直り、ひいて松本市南展のために創立された。（『松本信用金庫五十年誌』より）
大正10年
設立に関しての準備（協議会の開催、設立準備委員の指名、準備委員会の開催、定款の作成等）が進められる。また県に対しての申出がされた。
大正11年1月
　長野県知事より組合設立の許可がおり、22日に役員会が開催されて、組合長外の役員が選任され、有限責任松本信用組合は松本市役所内に創立された。
大正11年５月
　出資口数：2,252口、払込出資金：66,15円、組合員数452人をもって開業した。
昭和8年1月
　有限責任から保証責任へと変更
昭和18年4月
市街地信用組合に改組
昭和25年4月
　戦後昭和24年に市街地信用組合法が廃止、また中小企業等協同組合法の制定により、松本信用組合へ組織を変更。
昭和26年6月
信用金庫法が制定されたことにより、松本信用金庫に組織を変更し現在に至っている。
昭和26年6月27日
戦後情勢の復興のなかで金庫の業績発展をみて、松本信用金庫の店舗の増設に対し地域社会からも要望があった。当時金融機関は八十二銀行浅間支店のみで不都合であったので、旅館の主人等が誘致運動をしたことで、信用金庫浅間支店が開設された。
(参考)本郷村史 p1074-p1076*12

４、八十二銀行浅間支店

大正11年1月
　信濃銀行浅間支店として浅間六三番地に開設。
昭和18年3月
昭和初年の恐慌の影響より信濃銀行が破綻。これは県下の第十九、六十三銀行に及び合併。
これにより八十二銀行浅間出張所(松本支店所属)となる
昭和19年1月
　横田代理店を廃止し業務を継承。
昭和20年1月
現在地(七八番地)に移転
昭和25年
　支店に昇格
(参考)本郷村史 p1077*13

郵便の歴史

明治13年4月16日
東石川旅館に浅間五等郵便所として開局。
しかし、郵便業務としての集配を行なわない局であった。
明治18年12月1日
浅問郵便受取所となる。
明治34年2月1日
現在のように郵便物の集配が行なわれるようになる。
明治35年3月11日
電信事務を開始。
明治41年12月13日
局舎を浅間三五七番地に移転
明治41年12月22日
通話事務を開始
大正5年10月1日
保険事務を開始
大正15年10月1日
年金事務を開始
これにより郵便局としての体制が確立
昭和6年7月6日
局舎新築（住所：浅間353番地）
昭和27年6月14日
局舎を新築移転（浅間78番の19）し、国有となる。
昭和40年7月31日
電報配達業務を廃止
昭和47年10月18日
局舎新築
昭和49年6月1日
市町村合併により局名が浅間温泉郵便局となる。
(参考)本郷村史 p884-p886*14

文化

遊郭の存在

明治37,8年頃、遊郭運営業者23軒ほど
娼妓遊女は120名　芸妓14.5名ほど（志願者　芸妓104人芸姑26人）
温泉での芸者遊びが盛んであったころ、浅間温泉には20件近い置屋があり、100人もの芸者がいた。今では一人もいない芸者であるが、地元の人が利用する共同温泉の女湯の方が大きいところや、華やかな芸者さんが出勤に通っていた小路が、かつての風景の面影として残っている。
横田に遊郭ができたのは明治１１年、四方を柵で囲むことで外界と隔絶した。
養蚕業が盛んであったことからその商人が通うため人力車が使用された。そのため、北横田には人力車のたまり場があった。その後、浅間温泉へ行くという慣行もあった。
戦争期に入り、養蚕業も廃れると利用者は激減し廃業を余儀なくされた。跡地は温泉旅館へと姿を変え、源泉掘削も進み現在は「新浅間温泉」と呼ばれている。

湯仲間

保養湯治の場所から養蚕業の発達により浅間温泉は商談の場・歓楽街としての色を強めていく。長野の善光寺御開帳の時期になると浅間温泉への来客数も増加した。
明治時代、湯株制が採用されこの所有者に外湯の運営が任される。お風呂をもたない村民には配湯といい,
お湯を供給していた。細分化が進むと内湯外湯で10軒が誕生した。
浅間温泉には現在「湯仲間」とよばれる所有者など4~5人のみが利用できる外湯の文化が存在する。湯仲間は番台がなくなったことを背景に生まれた制度で、お風呂の掃除や管理を湯仲間のメンバーが自主的に行っている。そのため、外湯ごとに入浴できる時間帯やメンバーの人数、月あたりの料金も異なっている。近年では湯仲間の高齢化が進み、存続が危ぶまれる外湯も多い。

御射神社春宮例大祭たいまつ祭り

昭和２５年、松明は麦わらを太く束ねたものを燃やし担いで練り歩く。およそ50-60本あり大きな松明は直径3mにもなる。五穀豊穣　無病息災を祈念する。
「松明祭り」とも表記され、浅間温泉の守護神社である御射神社に松明を奉納するお祭りである。最後は放り投げて祝う火祭りで日本三大奇祭に数えられることもある。
（ここから浅間温泉火焔太鼓も生まれ、地域の郷土芸能化している）

御射神社秋宮例大祭

大きな神輿を担いで温泉街を回る。ススキの穂を配り歩くお祭りである。
今とは街並みが異なり、湯治場的役割をしていた。
沿道に食べ物がおかれ白装束の氏子集がもてなされる。旅館の入り口で休むこともあった。（昭和２６年）

その他のお祭り

御射神社の蚕玉様のお船牽き　
養蚕業の発展地として明治元年開始、戦争と衰退により途絶えるものの温泉街の活性化のために平成６年に復活した。商売繁盛、家運隆盛を祈念する。
渡来人祭り
浅間温泉には、5世紀末のものと言われる「桜ヶ丘古墳」がある。この古墳は、昭和29年に地元の中学生たちによって偶然に発見され、30〜32年に発掘調査が行われた。この天冠は、同じ時期の朝鮮半島から出土された金銅冠と似ており、当時から朝鮮半島との交流があったと推測されます。安曇野、松本地域は朝鮮半島の有力な豪族と密接な関係であった。
その渡来人たちの心をしのび理解と友好を深めている。
(参考)本郷村史 p1078-p1085,p1271-p1289*15
浅間温泉観光協会　*16 新まつもと物語　*17

交通の歴史

路面電車


路面電車浅間線 沿線MAP
（参考)　写真集・松本のチンチン電車―懐かしき浅間線の40年*18

島々線（現上高地線）を運行する筑摩電気鉄道株式会社は大正12年10月、松本―浅間温泉間の鉄道敷設の認可を得て、13年3月25日に同区間5.2Kmを竣工すると、4月5日の試運転を経て、4月19日に浅間線の営業運転を開始した。浅間線の開通式は同年6月1日、当時の長野県の本間知事、松本市の小里市長の出席の下、浅間温泉停車場前広場で挙行された。祝宴は近くの神宮司公園に会場を移して園遊会を行い、浅間温泉の芸子による「浅間音頭」などの余興があり、花電車を終日運転して開通を祝った。なお、昭和7年に商号を松本電気鉄道株式会社と改称した。

浅間線は、浅間の住民が松本の商店街や歓楽街に行くのに盛んに利用され、朝早くから夜遅くまでおよそ10分おきに1日96本の運行があった。また、浅間温泉や沿線住民に限らず、一山越えた三才山や稲倉峠を越えて錦部からの利用客もいた。県営球場（松本市野球場）での野球大会観戦や善光寺参りなどの団体客が大挙すると、電車は増発されて2台、3台連なって浅間温泉へやって来る光景が見られた。松本高等学校の学生がコンパを目的に、電車に乗って浅間温泉へ向かうこともあった。

浅間温泉駅（昭和10年頃）

浅間線は松本駅から少し離れた国府町を発着としていたが、昭和7年に松本駅構内へ、24年には改札口近くへ乗り入れた。翌25年には小さな駅舎を設け、有人による出改札が始まった。しかし、駅前からの電車通りは歩道がなく、自家用車の普及に伴って車との接触する場面が増えた。

松本駅前付近（昭和15年頃）

そして、昭和30年6月、松本市の松岡文七郎市長から松本電鉄に対し、モータリゼーションによる交通量の増加と市街地開発を理由に電車浅間線軌道の撤去の申し入れがなされた。これを受けて、松本電鉄は昭和38年8月に浅間線の軌道運輸事業廃止許可を申請し、39年3月18日許可、そして同年3月31日をもって40年間走り続け、のべ8,653万人を運んだ浅間線電車の運行営業が終了した。その後はただちに、同経路の新浅間線のバス路線が認可され、軌道跡にバスによる運行が開始された。また、同線と国鉄との連絡運輸協定が結ばれた。
　
浅間線撤去の日（昭和39年）　「40年間ごくろうさまでした」（昭和39年）

市による電車廃止案が提起されて実現まで年月を要したのは、路線の約半分にも及ぶ本郷村との対立がひとえにあったからとされる。当時、本郷村では美鈴湖―美ヶ原高原間の林道を開き、国鉄バスを誘致して観光対策に乗り出していた。この路線権を巡って松本電鉄と激しく対立した経緯があり、松本市長は電車廃止に賛成するものの、本郷村長の賛意を得られなかった。そのため、同社は昭和36年の本郷村長選挙で、電車廃止賛成派の対立候補を支援し37票差で辛勝すると、村議会で同意を取り付けた。

電車廃止後の浅間温泉営業所（昭和39年）

路線バス

松本電気鉄道の浅間線電車が廃止されると、線路が撤去された軌道敷はバス専用道路となって土埃を上げながら新浅間線が走った。昭和53年の国民体育大会を機に市道として整備され、後に「やまびこ道路」の愛称が付けられた。

松電バス専用道路（昭和40年）

ここでは、2000年以降の松本電気鉄道（現アルピコ交通）路線バス浅間線・新浅間線の運行について記す。
平成15年5月16日改正
松本バスターミナル�θ�浅間温泉発
平日の始発6:105:47
平日の終バス22:1021:50
平日の本数90本86本
土休日の始発6:205:47
土休日の終バス21:4021:37
土休日の本数59本59本
・浅間線（松本バスターミナル―新町―信州大学前―総合体育館―浅間温泉）
・新浅間線（松本バスターミナル―松南高校前（現秀峰学校前）―横田―松本第一高校―浅間温泉）
松本市北東部の上記2路線は全便浅間温泉に乗り入れ、松電バス随一の運行頻度を誇り、路面電車時代を彷彿とさせた。浅間橋（現浅間温泉入口）を分岐点として経由地が分かれるため、信大方面と横田方面との双方向の行き来はできなかった。
平成20年7月16日改正
松本バスターミナル�Ｈ�浅間温泉発
平日の始発7:057:32
平日の終バス19:0519:32
平日の本数14本15本
土休日の始発7:057:32
土休日の終バス19:0519:32
土休日の本数13本13本
浅間温泉の衰退とともに、路線バス網の大再編が実施された。浅間線、新浅間線のほとんどが浅間温泉地区内に乗り入れない循環系統に改められ、信大横田循環線と横田信大循環線が主路線となった。路面電車時代とほぼ同経路の新浅間線は大幅に本数を減らした、
平成21年7月16日改正
松本バスターミナル�´�発浅間温泉発
平日の始発6:507:13
平日の終バス19:5020:13
平日の本数16本17本
土休日の始発6:507:13
土休日の終バス19:5020:13
土休日の本数14本14本

松本電鉄バス浅間温泉営業所。浅間温泉駅跡地に設置され、乗車券・回数券・定期券を発売していたが平成21年に閉鎖され、バス回転場機能のみ利用されていた。晩年は専属の営業所係員1名と、休暇日は松本バスターミナル係員が交代で勤務していた。バス回転場と営業所建物は翌22年撤去された。現在は宅地分譲地になっている。
平成21年12月16日改正
松本バスターミナル�´�発浅間温泉発
平日の始発6:507:08
平日の終バス18:5019:12
平日の本数18本19本
土休日の始発6:507:08
土休日の終バス18:5019:12
土休日の本数16本16本
始発便復路の浅間温泉発を早め、浅間地区利用者の電車・バスへの接続の利便性を図った。最終便が1時間繰り上げられ、松本バスターミナル18:50発となった。
平成25年11月1日改正
松本バスターミナル�´�発浅間温泉発
平日の始発6:457:07
平日の終バス18:5019:12
平日の本数20本21本
土休日の始発6:457:07
土休日の終バス18:5019:12
土休日の本数18本18本
これまで全便松本バスターミナル発着だったが、鉄道利用者への分かりやすさから日中時間帯便を松本駅お城口（東口ロータリー）発着とした。松本バスターミナル9:20発〜16時50分発便はこの5分前に松本駅お城口を出発し、その後松本バスターミナルを経由して浅間温泉に至る。復路の浅間温泉発は、バスターミナル北を経て松本駅お城口に入る。
平成30年10月1日改正
松本バスターミナル�´�発浅間温泉発
平日の始発6:457:12
平日の終バス18:5019:17
平日の本数20本21本
土休日の始発6:457:12
土休日の終バス18:5019:17
土休日の本数18本18本
松本バスターミナル17:50、18:50発の2本が松本駅お城口発着となり、松本に遅めの時間帯に到着した宿泊客らの利便性を向上させる狙い。これで、松本駅バスケットボール9:20発以降の全便が松本駅お城口発着となった。
浅間線路線図

信大横田循環線と横田信大循環線の松本バスターミナル―浅間温泉入口間は本数も多い。

スクールバス

稲倉・三才山方面から本郷小学校に通学する児童のために、松本市の委託を受けてアルピコ交通がスクールバスを運行している。同社路線バス鹿教湯温泉線や廃線となった三才山線の停留所をスクールバスに転用している。同社から市教育課を通じて各児童に対して、年間のスクールバス乗車証が発行されており、費用は市が負担する。なお、スクールバスの運行は三稲分校の廃止に伴い、昭和32年4月から開始した。
（参考　本郷村誌 871頁）

上高地直行バス

浅間温泉と山岳名勝地・上高地を結ぶ直行バスが平成30年まで運行された。令和元年は松本バスターミナル発に短縮され、令和2年は新島々駅発に揃えられた。運行当時の時刻表は今でも浅間温泉停留所に残っている。
〔運行経路〕翔峰前―美ヶ原温泉―浅間温泉―松本城・市役所前―大名町―本町―松本バスターミナル―松本インター前―新島々駅―さわんどバスターミナル―上高地

生活道路

本郷地区の生活を支える道路に関する歴史は以下の通り。
年月内容
明治2年3月各所の口留番所廃止
明治5年水汲橋が新設される
明治5年7月筑摩県より道路掃除規定の旧来の丁場により道路下線の修繕を加える
明治6年筑摩県で浅間橋を竣工、長28間幅8尺　木造
明治8年3月筑摩県会の布達で管内道路の大修築
明治9年5月三才山峠の開発に着手し、測量する間もなく筑摩県廃止のため中止
明治9年10月三才山より浅間峠を経て浅間へ新道を開く
明治12年再び三才山峠の開削測量に着手したが、県令の更迭により中止
明治13年国庫補助廃止、地元町村及び地方税で負担
明治14年4月馬飼新道（有料）開津市、稲倉峠は衰える
明治19年国・県道の投球を廃止、仮定県道とし県費負担とする
明治22年10月水汲より桐村中原へ新道を開く
明治23年二線路（現国道143号線）開通
明治33年郡道（群費支弁道路）設置計画ができる
明治34年8月浅間街道が郡道となる
明治36年10月浅間より追分まで道路開通
明治37年10月浅間橋県費支弁で架設、長40間
明治41年5月原橋竣工　長30間幅7尺、工費500円、祝いに力士を集める
明治44年浅間街道が仮定県道となる。浅間より西街道中原分岐点まで延 長14町32間
大正6年4月郡道の規程を改め街道を何々線と呼ぶ。浅間より三才山を経て小県郡西内村に至る。内村線が郡道となる
大正8年4月旧道路法制定され道路を国・府県・郡・市・町村道の5種とし、認定基準を定める
大正9年4月浅間街道は松本本郷線となり、県道に認定
大正11年12月県内各市町村の道路元標の位置を定め、本郷村は浅間641番の1（旧役場前）へ定める
大正12年練兵場北より下浅間の道路拡張。工費131,644円、本郷村は28,000円寄付。中浅間へ新道開く
大正12年11月浅間橋が県下初の永久橋として竣工。長66.3m、幅6.2m、工費14,594円
昭和27年6月新道路法制定され、道路の種類を高速自動車国道、一般国道、二級国道、都道府県道、市町村道の5種とする
昭和31年林道浅間雨堤場線、林道美ヶ原線開通
昭和39年4月浅間電鉄廃止、バス専用道となる
昭和45年林道美ヶ原線全面改良、舗装完成する
昭和47年11月三才山トンネル開削着工。林道白張稲倉線着工

本郷村内を通る国道・県道（松本建設事務所資料）◎起点　⦿終点
（参考)　本郷村誌 p854 *19
曙光―松本電気鉄道80年のあゆみ*20

泉質

無色透明・無臭のアルカリ性単純温泉
日本で一番多い泉質であり、全体の40%以上。温度は49.7℃
㏗値は8.5以上。1分間の湧出量は約1506ℓ（一般家庭の浴槽7つ分ほど）
入浴すると肌がスベスベするため『美人の湯』と言われる。
酸性やアルカリ性温泉と違い、肌触りが柔らかく泉質の癖もなく、刺激もほとんどない。
成分が薄いため体に優しく小さい子どもや高齢者に適している。別名「家族の湯」

源泉

第一号源泉、松の湯源泉、東北源泉（栄の湯入り口横）、第二号源泉、第四号源泉、山田源泉、鷹の湯源泉、大下源泉の8つ

効能

神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性、痔疾、疲労回復、健康増進

温泉街

温泉会館を中心に、15軒の旅館と3軒の外湯施設（枇杷の湯、市営浅間温泉会館ホットプラザ浅間、仙気の湯）があるまた、立ち入り入浴を行っている宿は10軒ある。この他、各町会などで管理する共同浴場が多数あるが一般には開放されていない。老舗旅館を泊食分離式に改装するなど温泉街の活性化をめざす新会社「WAKUWAKU浅間温泉」が2020年に開設された。

浅間温泉マップ


参照：浅間温泉HP　http://www.asamaonsen.com/asamamap/
宿一覧
��御座の湯
��坂本の湯温泉
��onsen hotel OMOTO
��蔵のある宿 静保庵 ホテル小柳
��仙聚樓 栄の湯
��ひなの湯
��香蘭荘
��梅の湯
��尾上の湯旅館
��四季彩々の隠れ宿 富士乃湯
��HOSTEL & SPA FAN!MATSUMOTO
��紫山楼 目之湯旅館
��帰郷亭 ゆもとや
��菊之湯
��東石川旅館

外湯一覧
��ホットプラザ浅間
��仙気の湯
��枇杷の湯

温泉街の名店一覧
��宮島商店
��美月堂 宮田名産店
��アトリエMOO

立ち寄り入浴可能な宿一覧
旅館名電話番号(0263)ご利用時間大人/子供料金タオル露天風呂貸切風呂
ホテル小柳46-050015:00-20:00 要問合せ。平日のみ1,000円有料200円有
帰郷亭ゆもとや46-025015:00-21:00630円有料100円有
梅の湯46-034511:00-15:001,000円料金込
尾上の湯旅館46-056716:00-21:00500円/250円有料100円
栄の湯46-103115:00-20:00 要問合せ 平日のみ500円/250円有料100円平日利用可 1,000円
目之湯46-025515:00-21:00 平日のみ600円有料100円有
坂本の湯46-1097平日10:00-21:00/土日10:00-15:00600円/300円無料
富士乃湯46-151615:00-19:00 要問合せ1,000円/600円料金込
香蘭荘46-1014要問合せ500円/250円有料50円
参照：浅間温泉HP　http://www.asamaonsen.com/yado/

歴史

西暦説明
939年開湯は約1000年前。地元の豪族であった犬飼氏が発見したことに由来し、「犬飼の御湯」とも称される。
1600年頃江戸時代の慶長年間に松本藩主石川氏が別邸を置き、それより松本藩の保養を兼ねた下屋敷として使用された。温泉は、御殿湯（御殿の湯）とも称され、湯守により管理された。現在の日帰り入浴施設「枇杷の湯」がそれである。また、藩士の保養を目的とした御組の湯、柳の湯、御用馬の湯なども置かれた。元禄年間の『善光寺街道名所絵図』には、内湯や外湯を利用して旅の疲れを慰める旅人の様子が描かれており、善光寺街道に接した宿場として栄えた。領主たちが入る『士族の湯』と人民の湯は分けられていた。（このことから浅間温泉は『お殿様の湯』と呼ばれている）源泉の量が増加したため、内湯持ちができ、湯宿を営む村役人が増えた。
1664年源泉の量が増加したため、内湯持ちができ、湯宿を営む村役人が増えた。
1742年横谷沢の大洪水により上浅間が被害を受け、湯宿は下浅間のほうに移動した。
1870年頃明治時代に災害により御殿湯等が被害を受け、近隣の山には植林等の災害対策が施された。 宮家（閑院宮や久邇宮）や文人（若山牧水や与謝野晶子、徳田秋声）らが訪れたことがある。
1940年頃太平洋戦争末期には特攻隊員の待機所が置かれた。
1991年浅間温泉街は1991年11月5日の住居表示実施によって浅間温泉一丁目〜三丁目に分かれ、背後の山側が大字浅間温泉となる。バブル崩壊。団体旅行から個人旅行へ。→大規模旅館が多いため、それに対応できていないのが現実。
1996年テレビドラマでは『白線流し』（1996年1月〜3月放映、他）で、橘冬美の実家として浅間温泉にある某旅館（大正時代の建物）が使用されている
2001年『はるちゃん5』（2001年放映）の舞台にもなっている。
2004年浅間山噴火により、「浅間温泉」を「浅間山」のふもとにあると認識していた顧客が多くいたため、旅館の予約キャンセルが相次いだという。
2005年浅間温泉観光協会が観光で利用する名称を「松本あさま温泉」に変更した。これは、「浅間」という名称が浅間山の近辺を連想させる事から、松本近郊の温泉であることをPRするための変更である。ひらがな表記にするという検討がなされたが、各団体で検討の結果、現状の浅間温泉という温泉地名は変更しない事が確認された。ひらがなを使用して宣伝に使用する場合も、必ず漢字の「浅間温泉」を注釈で記載するという決定もなされた。
2006年「浅間温泉」から「松本あさま温泉」に名称を変えようとしたが、結局変更せず。
2007年浅間温泉観光地再生協議会創立、温泉スキー場再生モデル、高齢者賃貸住宅構想
2008年あまち歩きイベント実施。
2009年ホットプラザ リニューアルオープン、
2012年タビオコシ会発足。

地理

松本市の町丁および大字。浅間温泉街は1991年11月5日の住居表示実施によって浅間温泉一丁目〜三丁目に分かれ、背後の山側が大字浅間温泉となる。郵便番号は390-0303。

・世帯数と人口
2018年（平成30年）10月1日現在の世帯数と人口は以下の通りである。
大字・丁目世帯数人口
浅間温泉1丁目829世帯1,670人
浅間温泉2丁目246世帯506人
浅間温泉3丁目544世帯1,036人
計1,619世帯3,212人

・主な施設
松本市役所本郷支所、本郷公民館、本郷婦人会館、松本市図書館本郷図書館
浅間温泉文化センター
松本市野球場
松本広域消防局本郷消防署
八十二銀行浅間温泉支店
松本第一高等学校
松本市立本郷小学校
松本市立本郷幼稚園
松本市立のばら保育園
本郷支所
文化センター

脚注

日本温泉協会　https://www.spa.or.jp/search_p/detail_p/?F_ID=2018...
　　　　　　　https://www.spa.or.jp/onsen/501/
浅間温泉観光協会　https://asamaonsen.jp/events/taimatsu/
新まつもと物語　https://visitmatsumoto.com/event/%e5%be%a1%e5%b0%8...
アルカリ性単純温泉　http://www.akakura.gr.jp/iyashi/n008-tanjunsen.htm
本郷村誌　p1070〜p1078
本郷村誌　p1271〜p1291

関連項目

外部リンク

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