冷戦時代の核実験や民間防衛をめぐるカルチャー

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ロシア右翼, ロシア史教科書

ロシア史教科書にある「連邦崩壊に至る仕掛け」と「レーニンよりスターリン選好」


エストニア(1988)、リトアニア(1990)、ラトビア(1990)、グルジア(1990)の連邦離脱、クーデターによる新連邦条約の立ち消えとウクライナの独立(1991)により、ソビエト社会主義共和国連邦は消滅した。この連邦崩壊に至った原因は、レーニンの「ソビエト共和国は平等と主権の保持を基礎として、単一の国家連合に統合されるべきである」という考えであり、それに基づき1922年に実装された「ソ連から自由に離脱する権利」だったと10学年用教科書第5章1節は述べている。



実際にはエストニア、リトアニア、ラトビアは「ソ連から自由に離脱する権利」ではなく、「そもそも連邦加盟そのものが強制された違法なもので無効である」との主張で、ソ連を離脱している。しかし、プーチン政権として、そもそもの原因はやはり「ソ連から自由に離脱する権利」と考えているようである。そして、そのような原因を実装させたレーニンへの評価は、プーチン政権では低いものとなる。

さらに、10学年用教科書第5章4節は、この「民族自決権」という建前の流れでおそらく実行された「土着化政策」にも疑問を呈している。

これはプーチン政権の思いというわけでもなく、実際に問題を引き起こしたようである。
この政策には、この地に留まるロシア人からも、都市に住みロシア語が話せるウクライナ人からも疑問の声が上がります。曰く、農村から都市に来ればウクライナ人はロシア語で話すようになる、このような政策が逆に統合の支障とはならないかと。

他の民族地域でも同じような疑問を呈する意見が多く上がってきました。しかし、土着化政策は断行されます。ロシアは他の民族の文化や言語を抑圧してきたのだから是正すべきで、民族語を積極的に使用させることで、過去のツァーリ政府の行いの償いをする、それが政策の中核にある考え方でした。これが4つの民族形式の中で民族語が取り上げられる意味です。ウクライナでは、そのモデルケースとして、学校や職場などでも積極的に「ウクライナ語化」政策が行われていきました。

[ 荒井幸康 (北海道大学スラブ研究センター共同研究員): "民族から考えるウクライナ危機", 一般財団法人自治体国際化協会多文化共生ポータルサイト, 2022/09/25 ]]

このあたりも、プーチン政権のレーニンへの低評価につながっていると思われる。(そして、レーニンよりスターリンを選好)

これら「民族自決」に基づく「連邦離脱の自由」とともに、プーチン政権が問題視(というより敵視)するのは、フルシチョフによるクリミア帰属変更(1954)。11学年用教科書第5章5節では...


連邦離脱で、地方自治体境界に過ぎなかったロシアとウクライナの国境線が、本物の国境線となるという事態に、クリミア帰属が突如問題となったこと。プーチン政権としては、ウクライナの連邦離脱時に問題になるようなフルシチョフの判断として、これを断罪したいようである。





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