冷戦時代の核実験や民間防衛をめぐるカルチャー

×
ロシア右翼

日露戦争オルタナティブ・ヒストリー


オルタナティブ・ヒストリー(Alternate History)とタイムトラベル歴史改変(Time Travel Historical Alteration)は、どちらもSFやフィクションのサブジャンルとして、歴史的事実を基盤に「もしも」のシナリオを描くが、以下の違いがある。
項目オルタナティブ・ヒストリータイムトラベル歴史改変
改変の原因歴史上の分岐点で、何らかの偶然や現実的な変更(例: 人物の生存、技術の早期発見)が起き、代替のタイムラインが生まれる。タイムトラベルは関与せず、改変は「歴史の流れ」として描かれる。未来(または別次元)からのタイムトラベラーが過去に介入し、意図的に歴史を変える。
スタイル改変後の世界の詳細な描写に重点を置き、社会・文化・地政学の長期的な影響を探求。現実主義的で、歴史小説に近いスタイルが多い。タイムトラベラーの動機、旅の過程、改変の即時的影響に焦点を当てる。アクションやサスペンス要素が強い。
潜在的なテーマ運命論や歴史の必然性を問う。例: 「ヒトラーが芸術家になったら?」のような仮定で、人類史の多様性を描く。個人の選択と責任、因果律の崩壊など。
日露戦争オルタナティブ・ヒストリー

これまでみてきた多くの「ロシアの日露戦争仮想戦記」に対して、「ロシアのオルタナティブ・ヒストリー日露戦争」は多くはない。以下はその例

オルタナティブ・ヒストリー「第三次極東戦争(ポルタヴァのエンドゲーム)」(URL)
  • 戦争の背景
    • 明治維新後の日本は急速に近代化し、資源確保と市場拡大を目的に対外膨張を進める。
    • 1873–74年の日清戦争で日本は勝利するが、ロシアとフランスの介入で山東省獲得を阻まれ、対露復讐を掲げて軍備拡張。
    • 英独が日本を支援し、ロシア牽制を狙う。
  • 戦争の経過
    • 1885年4月、日本は奇襲的にロシア・朝鮮連合艦隊を攻撃(モザンポ沖・対馬沖海戦)。
    • ロシア皇太子アレクサンドルが戦闘で重傷を負い死亡、これがロシアの報復意志を強化。
    • ロシア艦隊は佐世保を強襲し、日本艦隊を壊滅状態に追い込む。
    • ロシア軍は対馬、さらに新潟・青森・長崎へ上陸し、日本本土で大規模陸戦(新潟戦・長岡戦)を展開。
    • 両軍とも弾薬不足に陥るが、最終的にロシア近衛軍が白兵戦で勝利。
    • 皇帝同士の会談で停戦が成立。
  • 歴史改変ポイント
    • 時間軸の前倒し: 史実では存在しない「1873–74年の日清戦争」を設定し、その後すぐに日露対立が激化し、1885年に日露戦争勃発
    • 戦力バランスの逆転: 史実では近代海軍力で優位だった日本が、この改変ではロシア・朝鮮連合に敗北。
    • 英独が日本を支援するが、直接参戦せず「友好的中立」を取る。 朝鮮がロシア側で参戦。

オルタナティブ・ヒストリー「日露戦争(生き残ったスコベレフの世界」(URL)
  • 戦争の背景
    • ロシアは、スコベレフ首相が1875年の樺太・千島交換条約を不満視し、対日強硬路線へ。
    • 米大統領ルーズベルトがロシア寄りの立場を表明。
    • ロシアは義和団事件を口実に極東へ大軍を移動。
  • 戦争の経過
    • 1901年12月、済州島沖で「ヴァリャーグ」と日本巡洋艦が交戦し、ロシアが先に宣戦布告。
    • 対馬沖海戦(1902年1月16〜18日):序盤は日本優勢も、増援到着でロシア逆転勝利。東郷平八郎戦死。
    • 済州島・対馬を巡る上陸戦と海戦が繰り返される。
    • ロシアは千島列島南部(国後島)を占領、北海道上陸の脅威を作る。
    • 1902年6月に、英国の仲介で、ヤンゴンで講和。
  • 歴史改変ポイント
    • 1901年12月にロシアが先に宣戦し、満州・朝鮮沿岸での展開を先取り。
    • 日本が旅順の完全封鎖に失敗する一方で、対馬・済州をめぐる連続戦でロシアは増援集中による逆転を達成。対馬沖(1/16–18)で日本は序盤優勢から持久戦化→増援来着で劣勢化。東郷平八郎の戦死。
    • ロシアは英仏支援を取り付け、米国(ルーズベルト)も露寄りの黙認・外交支援へ。日本側の実質支援はドイツのみ。
    • 大韓帝国(高宗)の対露依拠により、ロシアは朝鮮南部まで軍を進め要地を占有。
    • 英仲介による講和設計と英国自身も南朝鮮と台湾における権益を獲得。

オルタナティブ・ヒストリー「パックス・ナポレオニカにおける日露戦争」(URL)
  • 戦争の背景
    • 19世紀中盤の太平天国戦争で清帝国が崩壊し、ロシアが満州・沿海州を支配。
    • 日本は明治維新後、対清・対スペイン戦争で台湾・フィリピンを獲得し、朝鮮に影響力。
    • 直接原因は1898年のロシア-満州協定(関東半島割譲)と朝鮮のロシア譲歩争い。
    • ロシア側(満州支援、フランス・スペイン支援)と日本側(イギリス・アメリカ支援)が対立。
  • 戦争の経過:
    • 1899年に、日本が朝鮮に上陸、黄海でロシア艦隊攻撃(仁川湾海戦など)。
    • 日本軍がヤルー川で勝利、遼東半島上陸、旅順包囲するが、ロシア増援で撃破。ノギ・マレスケ死去。
    • 海戦では、日本が当初優勢だが、ロシアのバルチック艦隊到着で逆転。日本艦隊損失大。
    • ロシア軍がヤルー川越え、平壌占領するが、開城で日本勝利。
    • 両国疲弊で和平。樺太占領は日本撤退。
  • 歴史改変ポイント
    • ナポレオン王朝が存続するパックス・ナポレオニカ
    • 時間軸の前倒し: 1898年のロシア-満州協定を直接のきっかけに1899年に日露戦争が勃発。1901年に引き分けで終結。
    • 太平天国戦争で清が崩壊し、ロシアが満州を保護国化(1860年)
    • 日本が対清・対スペイン戦争で台湾・フィリピンを獲得
    • ロシア側に満州(独立国扱い)、フランス・スペイン支援。スペインが反日。ドイツ・イタリアがロシア寄り。
    • 日本側にイギリス・アメリカ。フランスのナポレオン4世が積極支援、

歴史改変ポイントから何が見えるか

ロシア史教科書が挙げる敗因としては以下がある:
  • 英米から日本への多大な軍事・経済的援助
  • 英米は日本支持・仏は中立で、ロシアは外交的に孤立
  • ロシア軍の指揮官と組織の欠陥
  • 兵力と装備の輸送問題(シベリア横断鉄道の輸送能力)
  • 日本が優勢・海軍艦船の性能差

これらのうち上記のオルタナティブ・ヒストリーでは、共通して、英米の日本支援とロシアの外交的孤立を改変している。
また、開戦を正史(1904年)よりも、3〜19年前倒しすることで、日本側の準備レベルを下げ、さらにロシア側の積極対応という改変を行うのも共通。
そして、実際のところ、対策困難なポイントである「シベリア横断鉄道の強化」や「ロシア軍の指揮官と組織の欠陥」はあまり触れられていないように見える。





コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

管理人/副管理人のみ編集できます

広告募集中