カルチャー>新聞・雑誌>LIFE
広島・長崎への核攻撃から3か月後に、米国陸軍航空軍司令官は国防長官あてに、将来の核戦争についても触れた報告書を出している。そして、核戦争についての内容を、LIFE誌が1945年11月19日号で紹介している。
この中で、ICBMによる核戦争が想定されていて、一般人に向けて記事が書かれていた。そして、ABMによるICBMの迎撃及び、それが失敗することも多いと想定されていた。したがって、最も効果的な安全保障は報復以外になく、そのため報復戦力の地下配備が想定された。
記事としては、「4000万人の生命を失って、米国は勝利する」という形になっているが、勝利後に残されるものは、廃墟と郊外・地方人口だと示唆しており、決して楽観的なものではない。
LIFE 1945/11/19 The 36-Hour War
広島・長崎への核攻撃から3か月後に、米国陸軍航空軍司令官は国防長官あてに、将来の核戦争についても触れた報告書を出している。そして、核戦争についての内容を、LIFE誌が1945年11月19日号で紹介している。
この中で、ICBMによる核戦争が想定されていて、一般人に向けて記事が書かれていた。そして、ABMによるICBMの迎撃及び、それが失敗することも多いと想定されていた。したがって、最も効果的な安全保障は報復以外になく、そのため報復戦力の地下配備が想定された。
記事としては、「4000万人の生命を失って、米国は勝利する」という形になっているが、勝利後に残されるものは、廃墟と郊外・地方人口だと示唆しており、決して楽観的なものではない。
LIFE 1945/11/19 The 36-Hour War
36時間戦争
次の大戦のカタストロフについて、Arnold報告はヒントを与える
今週、合衆国陸軍航空軍司令官Henry H. Arnold将軍は、国防長官に3つめの報告書を提出した。報告書は先の大戦末の陸軍航空軍の活動履歴とともに、将来の戦争への警告を記載されている。将軍は「かつて、米国は、先の戦争の終わりで使った装備とドクトリンを以って開戦するという立場に捕らわれるという、危険な意志を示してきた。... 既存航空軍の、非常時における新たな考えと技術を吸収する能力によって、航空戦力は広範囲に対応すべきである。」と述べている。
Arnold将軍は、陸軍航空軍が新たな考えを吸収する準備が整っていると述べている。「我々は、一つか二つの原爆を敵に撃ち込むためだけに、大規模航空作戦を遂行できる。発達した航空戦力によって、これが実行不可能になったときは、射程と精度を飛躍的に高めた、ドイツのV2タイプの兵器を準備すべきである。」
米国及び他国のそのような兵器は、あらゆる戦争を恐るべきものにする。敵対行動は、ロンドンやパリやモスクワやワシントン(上図)のような都市での原爆の爆発で始まるだろう。原爆による破壊はは迅速かつ恐るべきものであるため、戦争は36時間以内に終結するかもしれない。本記事のイラストは、樹たるべき戦争がどう戦われるかを描いたものである。
しかし、Arnold将軍は、発達した兵器だけが米国の防衛策だとは述べいていない。原爆を将来の戦争において使うよりも、おそらく国連安全保障理事会の決定を実施するための力として、平和のために今使う方が良いと、将軍は述べている。
米国へ到達する原爆
次の戦争は破滅的な速さで始まるだろうと、Arnold将軍は述べている。「現時点で敵航空戦力が可能な装備で、警告なく、あらゆる正規に思いつける全ての障壁を突破し、我々の人口集中地帯や工業・経済・政府の中枢部へ、地上戦力が展開するよりも速く、壊滅的打撃を与えることが可能だろう。」
太平洋上の高度3000マイルから東を向いた、上図のパノラマで、LIFE誌の画家は、米国の主要13都市へ敵ロケットのシャワーが降り注ぐ、数年後に起きるかもしれないことを描いている。数秒で、ニューヨーク・シカゴ・サンフランシスコ・ロスアンジェルス・フィラデルフィア・ボウルダーダム・ニューオリンズ。・デンバー・ワシントン・ソルトレイクシティー・シアトル・カンザスシティ・ノックスビルで原爆が爆発する。一つの爆弾(左から2個目)が、米国迎撃ロケットによって、上空で爆発している。都市部では1000万人以上が原爆によって瞬時に死亡する。敵の目的は従来の標的だった工業の破壊ではなく、人口殲滅による米国の麻痺である。
秒速3マイルで大気圏を進む行程の一部が描かれている、上図のロケットは、ほんの一時間と少しで、1800マイル彼方に到達し、さらに地球を回って8000マイル彼方のアフリカ赤道地帯に到達する。
国連安全保障理事会の査察を逃れるために、ジャングルに迅速かつ秘密裏にロケット基地を建設できる、米国の敵国が存在する。ロケットの行程の大半は真空であり、そこでは昼でも星が見える。薄い明るい水平方向の層は地球の大気圏である。
我々のレーダーセンターはロケット戦争に追随する
「レーダーは空軍の効率性に大きく寄与している。これは人間の視覚を徹底的に拡大する装置である。」とArold将軍は述べている。上図は、ロケット戦争に適用されたレーダーである。レーダービームは大出力で全空を走査しているので、宇宙空間の数千マイルの物体もエコーを返してくる。エコーは輝度スクリーン表示に変換される。そのようなレーダーが使われれば、米国は、このページに示した攻撃に対処する時間を30分ほど確保できる。
しかし、30分でも短すぎて、原子力戦争の兵器を制御できない。レーダーは敵のロケットを検出し、コースを描画し、迎撃ロケットに使う電子計算機にデータを渡す。それらは数秒で発射され、敵の攻撃を迎撃する。
しかし、レーダーは将来の戦争において、良くて点で防衛にしか使えない。人間の視覚のように、水平線までしか目が届かない。ドイツのV1ロケットのような低空飛行ロケットであれば、高空ロケットよりも効果的にレーダーを回避できるだろう。そして、レーダーは、敵国のエージェントが米国内で組み上げた原爆には効かない。
我々の迎撃戦力は攻撃のほとんどを防げない
Arnold将軍は「ドイツのV2に類似しているが、原爆を装備した原爆ロケットに対する、能動的防御には打ち克ちがたい困難が伴っていることが明らかになっている。この状況において、我々は効果的場防御手段の発見に努めるべきである。」と述べている。ロケットに対する現在可能な唯一の防御策は、上図のように発射された後にある。敵と遭遇する位置へ発射される高射砲のようなロケットである。発射されると、このようなロケットは敵機を探知し、自分の軌道を修正する。敵ロケットに接近すると、第二次世界大戦中に開発された電波近接信管により爆発する。しかし、迎撃に失敗することは避けられない。
上図は2つのロケットが遭遇する直前を描いたものである。敵のロケットは宇宙空間で燃料を使い尽くして、米国へと落下し始めている。迎撃ロケットは全出力で上昇している。地球の大気圏との摩擦で白熱している。2つのロケットが衝突すると、地上から見れば、原爆は新星のように見えるだろう。
米国は反撃する
原爆戦争の防御に関して、Arnolod将軍は次のように述べている。「原爆に対する防御方法はいくつか考えられる。第1は、原爆から隠れられる場所は世界中のどこにもないことを、心得ることである。第2は、ひとたび原爆が発射されたときに備えて、我々は原爆攻撃をアクティブに防御する手段を開発することである。そして、第3は、脆弱性を最小化するように我が国を再デザインすることである。「しかし、見通せる将来において、原爆兵器に対する本当の安全保障策は、引き続き、圧倒的戦力で即時攻撃行動をとれる能力である。潜在的侵略者が米国への攻撃が自国への破滅的原爆攻撃を意味することを、明らかに分かるようにすることである。」
上図はArnold将軍の考えのうち2つ、すなわち分散と反撃を描いたものである。この断面は、地下のロケット発射基地と、原爆工場である。原材料をのぞき、すべてを完全に自給できて、大量在庫のもとで組み上げられる。労働者たちは工場近くの地下で、航空戦力による原爆直接攻撃以外からは防護されて生活する。米国はこのような基地を複数持つことになるだろうが、すべては独立に活動し、その一つが破壊もしくは占領されても、他に影響がでないようにするだろう。36時間戦争の開戦時に、米国は全人口を分散できておらず、そのコストは2500億ドルかかるが、それは国防の絶対的に不可欠なものである。
上図は、米国が攻撃を受けてから1時間後に、米国が戦争最初の攻撃ロケットを敵の都市へ向けて発射するところである。
![]()
戦争の終わりに空挺部隊が来る
Arnold将軍は「現代戦争では、空挺部隊が最も有効な部隊のひとつとなる。完全武装した空挺タスクフォースは、はるかに離れた場所に、航空戦力だけで輸送される」と述べている。
原爆による破滅的破壊にもかかわらず、敵は戦争に勝つために、米国に侵攻しなければならない。敵の空挺部隊は巨大な破壊力を持つ軽ロケットを装備し、赤外線が見えるようにゴーグルをつけている。上図の敵兵は、米国の小さな町の電話線を修理している。
敵空挺部隊の降下までに、米国は恐るべき被害をこうむっている。4000万人程度が死亡し、人口5万人以上の都市が粉砕されている。サンフランシスコのマーケットストリート、シカゴのミシガンブルバード、ニューヨークの五番街は破片の中を通る道路でしかない。しかし、そのように破壊されても、米国は反撃する。敵の空挺部隊は一掃される。米国の空挺部隊が米国の都市を奪還する。米国は原爆戦争に勝利する。






コメントをかく