忘却からの帰還〜Atomic Age - ブックレット
民間防衛ブックレット

ブックレット

ウクライナ

ウクライナ戦略コミュニケーションセンターは、2022年2月以降、ロシアによる侵略を受ける前夜から、侵略進行中に、民間防衛ハンドブック及び追加コンテンツを作成・改訂を続けている。


英国
英国では、内務省が民間防衛ブックレットを発行している。

最初に発行されたブックレットは、詳細に核爆弾の効果を解説していた。
1950年代後半のブックレット。まだまだ、牧歌的な核戦争を想定していた時代だが、逆に水爆の被害を誠実に書いていたりする。 フォールアウトシェルターとして地下室を使うという記載もある。
1960年代に入ると、フォールアウトシェルターの自作についての記述が登場する。また、ブックレットとともに、非常時放送用の動画が作成されるようになった。
1970年代半ば〜1980年代前半のブックレット:
1980年代に英国内務省によるProtect and Surviveの改訂版の発行の動きがあったが、実現しなかった。

内務省とは別に地方自治体による民間防衛ブックレットもあった。
一方、地方自治体の中には、中央政府の進める民間防衛政策の非現実性に対抗し、非核都市宣言をしたところもある。サウスヨークシャーやカークリーズなどの自治体は、そのことを住民に説明する住民向けブックレットを制作している。
有志によりProtect and Surviveに対する抗議するブックレットも複数制作された。

このような反民間防衛や反核の動き、特にCND(Campaign for Nuclear Disarmament)の活動に対して、英国政府は対抗措置をとっている。このとき、 英国政府と関連があると見られる団体The Coalition for Peace through Securityなどがブックレットを幾つか制作している。
それらから20年ほど後に、英国内務省は民間防衛ブックレットを制作し、全戸配布した。しかし、誰の印象にも残らなかった。

米国

連邦政府発行ブックレットや、一般の民間防衛読本など多数あるが、まずは...
連邦民間防衛局が原子力委員会と共同で実施したOperation Doorstepの概説も制作された
ネバダ実験場周辺住民向けブックレット そして現在のネバダ実験場(ネバダ国立安全サイト)
民間防衛マニュアル

2017年8月に、北朝鮮の核実験・ミサイル実験に対応して、グアム政府はファクトシート()を発行している。


ドイツ
その他

スイスでは国民に受け入れられず、忘れ去られた1969年のブックレットだが、21世紀なっても、日本で生きながらえていた。

スウェーデンでは1943〜1991年まで、改訂を繰り返しつつ、民間防衛ブックレットが発行・配布された。 その後、2018年に、新たな民間防衛ブックレットが発行・配布され、広報動画も公開された。 一方で、スウェーデンはホロコーストについてのブックレットも中高生を持つ家庭に無償配布している。
ほとんど情報がオンラインにないが、フランスも1960年代に、民間防衛ブックレットを発行している。
ノルウェーも1970年代に民間防衛ブックレットを発行している。 また、1948〜1995年にシェルターの規格も定めている。
オランダは1961年に4冊組の民間防衛ブックレットを国民に配布している。
デンマークは"Om at overleve"(生存のために)(1983)など、数冊の民間防衛ブックレットを発行している。1962年にはスウェーデンにならって、民間防衛ブックレットの作成配布を行っている。

スペインでは1960年代と1980年代に内務省民間防衛局が民間防衛ブックレットを発行している。
カナダは民間防衛ブックレットで、特に知られているのは... その他、カナダ政府や各州政府は、多数のブックレットを制作している
バルト方面では...

ソビエト連邦およびその後のロシア連邦でも..

2013年1月、インドのジャンムー・カシミール州警察が、現地新聞にNBC攻撃対策ガイドを掲載した。警察側は他意はないとしてものの、不安を煽ることから、州政府が沈静化を図るメッセージを出した。 この地域は核戦争の危険性があると認識されており、1999年7月には、核武装したインドとパキスタンは核戦争の危機にあったようである。

韓国政府は現在も、NBC攻撃対策として民間防衛ガイドを公表している。そのガイドブックの核戦争対策部分は、1960年代とあまり違わない:

中国でも対核兵器防御についての本が発行されている。かなり初期のものとしては...
  • 警铁: "居民防御原子武器常识", 1957 (31ページ) (国会図書館)

"Protect and Survive"と同じころに出版されたのが...
  • 刘云波: "原子武器防护知识", 原子能出版社, 1979 (Google Books)
これの第3章「核兵器の防御」の訳が、以下の本にある。 内容は、当時の米英と同様で、特にオリジナリティのある記述は見られない。

この他、中国では中央政府や地方政府が民間防衛ブックレットを作成している。


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日本語版PDFリンク


英国

Protect and Survive (1980)
防護と生存

Domestic Nuclear Shelters (1981)
家庭用核シェルター

Civil Defence Why We Need It (1981)
民間防衛、なぜ必要か

UKWMO (1974)
英国警報観測機関

Home Defence and the Farmer (1958)
国土防衛と農場主

The Hydrogen Bomb (1957)
水素爆弾

The H-Bomb (1958)
水爆

Manual of Basic Training:
Atomic warfare(1950)
核戦争

Advising the Householder
on Protection
against Nuclear Attack (1963)
世帯主のための核攻撃に
対する防護の助言

Survival!(1951)
生存!

Keeping the peace (1987)
平和維持
ドイツ

Jeder Hat Eine Chance (1960)
誰にもチャンスはある

Schutz gegen radioaktive
Niederschläge
in Haus und Betrieb (1962)
家庭と職場の放射性降下物防護

Zivilschutzfibel (1964)
民間防衛入門
スウェーデン

Om Kriget Kommer (1952)
戦争が起きたら

Om Kiget Kommer (1961)
戦争が起きたら

Om Kriget Kommer (1983)
戦争が起きたら

Om Kriget Kommer (1987)
戦争が起きたら

Om Kriget Kommer (1989)
戦争が起きたら

Om Krissen eller Kriget Kommer (2018)
危機や戦争が起きたら
米国

If an A-bomb Falls (1950)
原爆が落ちたら

Survival Under Atomic Attack (1950)
核攻撃を生き延びる

Ten for Survival (1957-1961)
生存のための十か条
カナダ

11 Steps to Survival (1961)
生存への11ステップ

11 Steps to Survival (1969)
生存への11ステップ

Fallout on the Farm (1961)
農場への放射性降下物

What Is Civil Defence?
民間防衛とは何か