忘却からの帰還〜Atomic Age - Operation DoorstepとOperation Cue
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Operation DoorstepとOperation Cue


Operation Doorstepは、1953年に行われた核実験Operation Upshot-Knotholeの11回の核爆発(最大61kt)のうち、1953年3月17日のAnnie(16kt)の際に行われた民間防衛実験である。実験には、2軒の木造家屋(爆心から1100m地点と2300m地点)、8つの家庭用シェルター、50台の自動車が使われ、家屋には家具調度・家電機器などが置かれ、多くのマネキンが配置された。住宅は熱線の効果を最小にして、爆風にどこまで対抗できるか評価できるようになっていた

このOperation Doorstepを民間防衛向けに概説した動画が"Operation Doorstep"(機密解除#0800033の前半)である。


続いて、1955年に、同じく住宅などへの影響を実験する、民間防衛実験Operation Cueが、核実験Operation Teapotの14回の核爆発(最大43kt)のうち、1955年5月5日のApple2(29kt)の際に実施された。
一般住宅、小規模変電所、ラジオ局中継塔などが建設され、爆風の効果が評価された。この"街"は"Survival Town"と呼ばれた。


このOperation Cueを民間防衛向けに概説した動画が"Operation Cue"(機密解除#0800033の後半)である。既に水爆の時代に入っていたため、小規模な原爆実験とメガトン級核兵器の換算の説明が冒頭に置かれている。

なお、この映画には別編集バージョンが存在する。

同じOperation Cueなどの映像を使って、全般的な民間防衛映画"Let's Face It"(機密解除#0800055)である。


また、実験が行われた1955年のニュース映画にも、"Survival Town"が登場している。

House in the Middle

"The House in the Middle"は連邦民間防衛局と全米掃除・塗装・修理事務局( National Clean Up-Paint Up-Fix Up Bureau)が、1954年に制作した民間防衛映画である。この全米掃除・塗装・修理事務局の実体は、全米塗料協会( National Paint, Varnish and Lacquer Association)であり、映画自体もペンキ拡販を意図していると思われる。

ただし、この作品は核実験映像を使用したドラマなどと異なり、実際にネバダ核実験場で撮影されている。核爆発の熱線と爆風の中で撮影されているので、軍の設備を使っているのは明らか。実験を行った場所も、これまでの核実験結果なしには選定できない。ペンキの広告としては、非常に贅沢なつくりと言える。

撮影は、Operation Doorstepのときに行われたと思われる。ただし、挿入された核爆発の映像は、Operation Doorstepを含むOperation Upshot-Knotholeではなく、1952年のOperation Tumbler-Snapperのものを使っているようである。


なお、このHouse in the Middle (1954)は、モノクロの民間防衛局動画House in the Middle (1953)をもとにしている。