穏やかな安定と平和。どこまでも勝手に発展を続ける科学、文化、文明。しかし、何時頃からか、人々の脳裏に大きな疑問が浮かぶようになった。『俺達は生きているのだろうか。それとも生かされているのだろうか。』そしてそんな煩悶は、出生率の大きな低下による人口の激減、文化の衰退をきっかけに急激に大きなうねりとなって顕在化し、人々の心に疑心暗鬼を生んだ。(中略)程なく、人類社会全体が大きく二つの派閥に分かれる事となった。バルドルシステムに依存して生を全うしたい人間と、たとえ非合理で矛盾に溢れる世界でも、自身の生を得たいと思う人間とに。そこから先のおよそ百年間。人類に語り続けられるべき歴史の声は、ほぼ沈黙の時を迎える。(中略)ただ一つ言える事は、栄華を誇った人類の社会は急速に後退し、超文明の要であった『バルドルシステム』は、深い闇の中に沈黙し、今や、誰にもその存在の有無さえ掴めなくなってしまった事だけだ。
ナレーション/『BALDRHEAD 〜武装金融外伝〜』LAST EPISODE BLOODY GUY
「それがバルドルシステム。…まさに神の手による監理と安寧、秩序を保証する物でした。…だが、やがて、人は知ったのです。絶対の保証は怠惰を生み、活力を失わせる。それが人の種としての生命力を奪う結果となる事を」
ネメス・バルザック/『装甲姫バルフィス』ミナコ編6回戦
『HEAD』『FIST』においては、上記の通り、バルドルシステムによる管理が長期化する中、出生率の大幅な低下による人口の激減と文化の衰退が契機とされる。
「・・・(フェイがテロに巻き込まれた)当時*1はまだバルドルシステムの医療とか何とかの確立がなってない時期でさ、あたしを生き長らえさせるのには金(キャッシュ)が必要だったんだ」
フェイ・マリニナ/『BALDR BULLET』2章「鉄の処女」
「(レナが娘を殺されたのは)時期的*2にバルドルの司法システムが不安定な時だったんだ。・・・あったろ?凶悪犯のロボトミー処置云々とか少年犯罪が取り沙汰された時期がよ。ちょうどあの時期だったんだ」
ステファン・ベルナンデス/『BALDR BULLET』5章「開戦の狼煙」
一方、『BULLET』においては、上記の通り、バルドルシステムによる管理が確立してから20年と経過していないにも関わらず、バルドルシステムによって与えられる幸福が一部の人間にとって受け入れ難いものであったためとされる。
両者が同一の時系列だとすれば、現実シリーズの歴史は以下のようになると考えられる。
- バルドルシステムによる管理社会が成立する。バルドルシステムによって与えられる幸福が一部の人間にとって受け入れ難いものであったことから、バルディストと反バルディストの戦いが起こる(『BULLET』時代)。
- 両者の戦いがバルディストの勝利に終わる。バルドルシステムの恩恵を受けて、人類は繁栄を極める(黄金の時代)。
- 出生率の大幅な低下による人口の激減と文化の衰退を契機として、再びバルディストと反バルディストの戦いが起こる(混沌の時代)。
- 両者の戦いが反バルディストの勝利に終わり、バルドルシステムは機能を停止。人類は衰退の一途を辿る(『HEAD』時代)。
つまり、『BULLET』は「黄金の時代」以前ということになる。