193 名前:1、 Mail:sage 投稿日:2018/05/29(火) 18:20:49 ID:t.ObDo0E0
死の恐怖で手が震える。快感と疲労で目が霞む。
——すまねぇ、おやっさん。
——すまねぇ、みんな。
——俺はもう、ここまでみてぇだ。
絶望的な気分のまま、心の中で何度も謝りながら、俺はセイスの穴に自らの逸物を突き入れた。
——ズプッ!!
「ぅおっ!!」
「ひゃん!?」
ペニスに快感が伝わり、俺とセイスの口から嬌声が漏れた。
今にも射精しそうな快感に歯を食いしばりながら、しかし俺は違和感を覚えていた。
セイスの膣穴の感触は強烈だ。こんな所にペニスを突っ込んでしまったら、俺はたった一突きで達して死ぬまで射精し続けるはずだった。
だがセイスの穴は、そこまで絶望的な物ではなかった。
先ほどよりも遥かにキツく、気を抜いたら今すぐにでも漏らしそうなほどのその感触は、気持ちいいとは言ってもさっきまでの死ぬほどの快感ではない。
改めて結合部を確認して——俺は、ハッとした。
「ひゃ❤ ぃや、海、斗ぉ❤
っ、ふぅん・・・そこ、ちが・・・❤」
目が霞んで、意識が朦朧としていたからだろう。
なんと俺のペニスは、間違ってセイスのアナルに入ってしまっていた。
そして、同時に気づく。
セイスのアナルは、既に誰かに長時間解されたかのように緩みきっていたのだ。
——そうか、おやっさん!
俺は全てを理解した。
名器すぎて秘所をまともに責めることができない淫魔。
そうなると、手を出せる場所は自ずと限られてくる。
恐らくおやっさんは挿入で死ぬほどの快感を与えられながらも、最後まで必死に逆転のために戦っていたのだろう。
その成果が、セイスの身体に残ったこのダメージだ!
それに気づくと、俺は途端に自分が恥ずかしくなった。
・・・なに、諦めてやがったんだよ。
あの親父だって、最後の最期までコイツに一矢報いようとしてたんだぞ。
おやっさんが命と引き換えにくれたこのラストチャンス、モノにできない奴は男じゃねーだろうが!!
「うらァあああああああああ!!!!」
アナルは女にとっても強烈な性感帯だ。
腸壁越しに膣を刺激することで、間接的に子宮やポルチオを責めることだってできる。
そう。さっきまでは強烈な名器に守られ、責めることができなかった女の一番の弱点を——!
「ひゃん❤ んぁあ❤
いや、ダメ❤ ダメダメダメダメ❤ そんなトコだめぇっ❤
変態変態変態変態! 海斗のヘンタイ〜〜っ❤」
セイスのアナルがギリギリと俺の逸物を締め上げてくる。
膣ほどじゃないにしても、上級淫魔のアナルは男にとっては十分な凶器だ。
下手な名器より遥かに凄まじい感触に、あっという間に精液がこみ上げてくる。
——っ、ダメだ、ここで射精したら。
今射精してペニスがフニャったら、もう腸壁越しにセイスの膣を責める威力はなくなる。
そうなったら、俺は今度こそもうお終いだ。
——、クソ、どうにかしてセイスにトドメを刺さねーと。
何かねーか、コイツが一番悦びそうな責め。
っ、そう、だ——!
「——ぜ」
「ふぇ?」
セイスの背に覆いかぶさり、俺は耳元で囁いた。
「最高だ。愛してるぜ、セイスっ!!」
「っ❤ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ❤❤❤❤」
セイスが耳まで真っ赤に染まった。
甘く、柔らかいセイスの全身が、プルプルと小刻みに震え始める。
っ、よし、効果テキメンだ!
「ぁ・・・ぃぁ、だめ❤
そんな、そんなこと、言われたら、あ、だめ❤」
「好きだ! 好きだセイス、大好きだ! 愛してるぜ、セイスぅっ!!」
「あ❤ はふぅん❤
ダメ、セイス、イッちゃう。幸せすぎてイッちゃう❤
あっ❤ いやあああああだめえええええええええええ❤❤❤❤
いっくぅううううううううううううう❤❤❤❤」
既にかなりのダメージが溜まっていたからだろうか。
愛を囁きながら全力で腰を振ってやると、すぐにセイスのアナルが小刻みに収縮し、秘裂からは勢いよく汁が吹き出した。
その凶悪な媚薬が俺の玉や会陰にまで跳ね飛び、股間に強烈な疼きを叩き込んでくる。
っ、ダメだ、俺も、もう出る——!!
「うああああああああああっっっ!!!!」
体力を根こそぎ搾り取られるような射精が襲いかかってきた。
身体を支えきれず、セイスの背に覆いかぶさるように二人で絨毯の上に崩れ落ちる。
——も、もう、動けねぇ。
そのまま1分ほど、俺たちはピクリともせずに息を整えた。
〜〜〜〜〜
194 名前:1、 Mail:sage 投稿日:2018/05/29(火) 18:25:33 ID:t.ObDo0E0
「はぁ・・・はぁ・・・はにゃぁ❤
気持ち、よかった〜〜〜〜❤」
満足気な声が聞こえた頃、俺もようやく絶頂の余韻が覚めてきた。
——消滅が近いのだろう。
顔を上げると、セイスの身体はもう向こう側が透けるくらい透明になり始めていた。
「・・・ね、海斗」
その半透明の唇で、セイスが不安そうに尋ねてくる。
「さっきのアレ、本当?」
「あん?」
——アレ、っつーと、やっぱさっきのアレのことだろうな。
自分の歯の浮くようなセリフを思い返して、俺はでっかく溜息を零した。
「・・・バーカ、嘘に決まってんだろが」
俺とコイツは初対面だし、それ以前に敵同士。
オマケにコイツはおやっさんの仇。惚れる余地なんざありゃしねぇ。
それに、ほら、やっぱ男としては——
「あのなぁ。好きだの運命だのってのは、ガチならそんな簡単に言えるもんじゃねーんだよ。
本気で惚れてる相手に言うなら一世一代だろ? そのセリフ。
スキスキ平気で言えるってこたぁ、そりゃつまりそんなに好きじゃねーってことなんだよ」
「・・・、ふ〜ん。海斗、好きな人いるんだ?」
「? はぁ? いるわけねぇだろそんなやつ。
ま、彼女はいつでも募集中だけどな。——人間限定だけどよ」
皮肉を込めて言ってやる。
それは、最期に少しでもコイツの顔を曇らせてやりたいという卑しい感情もあったかもしれない。
だがセイスは顔を曇らせるどころか、一転。
何故か夢が叶ったような、晴れやかな笑みを浮かべると、
「——な〜んだ、ざ〜んねん。
・・・でもね、海斗。これは本当だよ?
セイスは、嘘でも良かったの。嬉しかったの。好きだって、言ってくれて——。
海斗は、やっぱりセイスが思ってた通りの人だった。
ありがと、海斗。会えて良かったよ❤」
そう言って、俺の頬に口付けてきた。
まだ動けない俺には、どうすることもできない。
全身、未だかつてないくらいにボロボロだ・・・。
だからセイスがどんな意図でその言葉を言ったのか、最後まで俺にはわからなかった。
ただ、この強すぎた淫魔が消えるのを見届けたのと同時に。
緊張が途切れた俺の意識も、フッと落ちるようにブラックアウトした——。
〜〜〜〜〜
195 名前:1、 Mail:sage 投稿日:2018/05/29(火) 18:33:44 ID:t.ObDo0E0
目が覚めた時、俺は退魔連の病室のベッドの上にいた。
敵陣のど真ん中でぶっ倒れちまったはずだが、幸運にも俺は他の淫魔には襲われずに済んだらしい。
——身体の感覚は、まだ殆ど戻っちゃいなかった。
そりゃそうだ。強壮剤を飲んだ上での淫魔二連戦。
それも片方は上級淫魔、これまでで最強の強敵だったんだ。これだけ無茶して堪えなかったら人間じゃない。
・・・、二連戦?
「ああ・・・、そっか。はは。そう、だよな・・・」
そこまで考えて、俺はようやく思い出した。
・・・、そっか。
おやっさん、確か逝っちまったんだよな。
・・・、ったく、偉そうなこと言ってたクセによ。
情けねーったらありゃしねえ。
まだ、俺が明日香の野郎をぶちのめす所も見せてねーってのによ。
先輩のクセに、俺より先にヤられてちゃ世話ねーだろっての。
・・・、・・・・・・クソ。
〜〜〜〜〜
「——海斗、起きてる?」
そうして、起きてからどれくらいの時間が経ったのだろう。
いつの間にか、明日香が病室に入ってきたみたいだった。
「ああ」と適当に返事をすると、明日香はベッドの隣の丸椅子に腰掛け、俺の手や足を撫でながら感覚があるかどうかを聞いてきた。
「・・・なぁ、明日香」
ちゃんと感覚があることを伝えてから、俺は聞き返した。
セイスにズタボロにぶっ壊されたせいか、明日香に触れられてももう情けなく股間が反応するようなことはなかった。
ようやく、本当の完全復活と言ってもいいらしい。——俺だけは。
「——おやっさん、これからどうなるんだ?」
一縷の望みを託すように尋ねてみる。
だが案の定、というべきか。明日香は、何かを察したように苦い表情をするだけだった。
そして、
「・・・、あんな状態の死体、表に出せるわけないでしょ?
世間的には行方不明扱いで、退魔連の中でこっそり埋葬よ」
バッサリと断ち切るように、そう答えた。
——、やっぱ、そうだよな。
おやっさんはもういない。分かっていたことだった。
男退魔士は、淫魔に負ければ簡単に命を落とすのだ。そして淫魔やその犠牲者が世間に知られてないということは、退魔士の最期はつまりそういう物なのだ、ということ。
なら——、俺もいつかは。いや、本当にもうすぐ近いうちに、同じ最期を迎えるんじゃないのか?
実際、今回は本当にあと一歩で俺もそうなるところだったのだ。
年々増え続けているという淫魔の出現。これから、あのセイスよりもっと強力な淫魔と戦うことになったとしたら——。
その時、俺はきっと——、
「・・・、なぁ、明日香。俺——」
「たいへんだよ! お兄さん、明日香お姉ちゃん!」
言いかけた俺の言葉は、病室に駆け込んできた甲高い声に遮られた。
見ると、美緒と連絡係の女退魔士がタブレットを片手に明日香の方に駆け寄ってくる。
何事かと思っているうちに連絡係はタブレットを操作し、画面を明日香に見せていた。
そして表情を凍らせる明日香に、連絡係は冷静を装ったような声で、静かに告げた。
「五十鈴(いすず)三姉妹が淫魔化しました」
——その言葉の意味を、俺は少しの間理解することができなかった。
ただ、俺の頭には。何故か、あの三つ子ちゃんたちの声と笑顔が過ぎっていた——。
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