シナリオ：澄みし我、縹渺なりし溟濛に
最終更新：ID:siKjTSQZwA 2020年12月17日(木) 04:37:09履歴
概要 
澄みし我、縹渺なりし溟濛に
（すみしわれ、ひょうびょうなりしめいもうに）
制作：哀咲
セッティング：1800〜1900年代のいずれかの日本。背景に戦争を置く。
リミット：7
人数：一人
プライズ：なし
使用に関して：改変、リプレイ等公開自由。制作者もしくはwikiのURLを明記してください。
（すみしわれ、ひょうびょうなりしめいもうに）
制作：哀咲
セッティング：1800〜1900年代のいずれかの日本。背景に戦争を置く。
リミット：7
人数：一人
プライズ：なし
使用に関して：改変、リプレイ等公開自由。制作者もしくはwikiのURLを明記してください。
シナリオ
＜あらすじ＞
帝国の時代。海を越えた場所で行われる銃撃と突撃の怒号。
その中で、彼は異質にすぎた。
貴方は、そのたった一人の軍医中佐を詰問する立場にある。
＜概要＞
セッティング：1800〜1900年代のいずれかの日本。背景に戦争を置く。
リミット：7
人数：一人
プライズ：なし
＜NPC＞
永室 誠慈（ひむろ せいじ）-軍医中佐。深緑色の襟章を身に着けた、野戦病院長を勤めている男。
【使命】
目の前で花弁のように散る命の数を、ただひたすらに削ること。ただひたすらに救うこと。
貴方の【使命】は目の前の命を掬い、援け、亡くさないことだ。
以下、GM情報
＜レギュレーション＞
人数：一人
HO：8
プライズ：なし
リミット：7
狂気カード：基本ルールブック（p214〜p219）より6枚。
全HO公開は想定していない。
＜シナリオチャート＞
マスターシーン：導入→「永室 誠慈」
��「報告書」→「驚異」→マスターシーン：諦観→「紅蓮の瞳」、「新緑の髪」
��「幸運の塊」→マスターシーン：諦観→「紅蓮の瞳」、「新緑の髪」
「紅蓮の瞳」→「永室 誠慈」再調査1→マスターシーン：下に国栄ども
「新緑の髪」→「永室 誠慈」再調査2→マスターシーン：下に国栄ども
PL HO
【使命】
貴方は目の前の軍医への詰問を上司から命じられた、いわゆる「憲兵」の類である。
（※男性を想定しているが、女性キャラを制作したいなどの要望次第でセッティングを調整する。）
高い賃金の分、為すべきことを為さねば、次の自分がこうなるかもしれない、と何処かの遠い自分が言う。
貴方の【使命】は目の前の男の供述、提出された資料、野戦病院関係者らなどの証言から、真実を探り当てて上司に報告することだ。
【秘密】
ショック：なし
貴方にはかつて出兵した際、野戦病院には世話になった。その経験から軍医を始めとした医療に携わる者へ感謝や、敬意といった感情がある。
これは、いつかの恩を返す為の最後の好機になるかもしれない。
貴方の【本当の使命】は、恩を返すという気持ちに嘘をつかないことである。
貴方にはかつて出兵した際、野戦病院には世話になった。その経験から軍医を始めとした医療に携わる者へ感謝や、敬意といった感情がある。
これは、いつかの恩を返す為の最後の好機になるかもしれない。
貴方の【本当の使命】は、恩を返すという気持ちに嘘をつかないことである。
＜導入＞
マスターシーンによる導入。
高い位置につけられた鉄柵付きの窓から僅かな光が入り込む。お粗末にも綺麗とは言えない部屋に男と貴方はいる。
最低限用意されたベッド、椅子、机と、調書用の万年筆と墨。報告書の数々。
男が特別に「何かをした」わけではない。ただ、この男の周辺が余りにも恵まれすぎていることに、
上層部は諜報員の可能性を危惧し、勤務先であった大陸に設置された野戦病院から彼を召還した。
短くはない月日の為に伸びたのだろう髪を、乱雑に散髪した形跡の残る襟足のもとに、深緑の章を身に着けていて、
確かにこの男が衛生部の人間であることを知らせていた。暇だったのだろうか、少しこけた頬を撫でるように三つ編みなぞを垂らしている。
黒いはずの髪は、時折光に照らされて襟章を写し取ったような緑に、眼鏡の硝子越し、その目がほんの一瞬紅のように見えた。
HO「永室 誠慈」、「報告書」、「幸運の塊」を公開。
以降、メインフェイズとしてシナリオを進める。
HO「驚異」もしくは「幸運の塊」の【秘密】が公開された時点で、マスターシーンを挟む。
マスターシーン：諦観
彼は何かを諦めているように思える。それが自分のこれからであるのか、他のことであるかは定かではない。
聞き出せたら…。だが、聞き出すためのかけらが足りていないように思う。
彼になんと声をかけたらよいのだろう。
暗くなってきた。人気が遠くなっていく。卓上に置かれたランプにマッチで火を灯した。
ほんのりと温かい明かりに照らされた、彼の瞳はもはや、紅蓮のごとき赤だった。その瞳にばかりに驚いてはいられない。
短く乱雑にされていた髪は、夕闇の中、ランプに火を灯す一瞬で木々に宿る鮮やかな緑に染まった腰にまで届きそうな長髪となっている。
彼は何も気にするどころか、長く散らばった髪を鷲掴んだと思えば、
慣れた手つきで分厚い束をきっちりと一本の三つ編みに仕上げ、重たいそれをぶらりと垂らした。
HO「紅蓮の瞳」、「新緑の髪」を公開。
HO「永室 誠慈」再調査1もしくは2の【秘密】が公開された時点で、マスターシーンを挟み、クライマックスに移る。
マスターシーン：下に国栄ども
人であることをやめた、生命の塊は奔流する。幸運の塊などという何重にも我慢を重ねた革を脱ぎ捨てて、神威を纏い、今や爆発せんと。
下に国栄ども、人栄ども、彼のような存在は在ることを忘れていたのか、それとも消してしまったのか。
いくつ歳を重ねても、争うことを止めない国など、栄えるなとすら思っていたかもしれない。
彼のものの、苦労や心、想いや願い、それらをはっきりと知る術はついぞなかった。
だが、彼は、「永室 誠慈」という人間はいま、想いの疲弊のあまり、歩みを止めた。
それを理解できないほど愚かではない―――。
＜シナリオ内HO＞
・永室 誠慈 （初期公開）
この部屋に収容されている軍医中佐。大陸に設置された野戦病院での実務的な頂点である野戦病院長を務めていた。
現在はこのように本国召還の為、院長職は他の者に委任されている。
【居所】を探る必要なく戦闘を仕掛けられる。【感情】取得可能。
もしもRPが必要であれば、何処か諦観した、否定的で受動的な態度を取る。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【使命】
目の前で花弁のように散る命の数を、ただひたすらに削ること。ただひたすらに救うこと。
貴方の【使命】は目の前の命を掬い、援け、亡くさないことだ。
【秘密】
ショック：なし
貴方は、人にとっては「幸運が塊となって歩いている」ようなものだろう。それを自覚しているし、
あくまでそれを幸運のうちに収めようという努力、もとい、加減はしているつもりだったが遂に、
異質として召還という悪夢のような理由での帰国となってしまった。
詰問や尋問程度に臆する理由はなくても、自分の使命は果たせぬものとなり、
自らの懐のうちではなくなった病院は、すぐに終わるだろうと予知している。
<戦争>で恐怖判定。
貴方は、人にとっては「幸運が塊となって歩いている」ようなものだろう。それを自覚しているし、
あくまでそれを幸運のうちに収めようという努力、もとい、加減はしているつもりだったが遂に、
異質として召還という悪夢のような理由での帰国となってしまった。
詰問や尋問程度に臆する理由はなくても、自分の使命は果たせぬものとなり、
自らの懐のうちではなくなった病院は、すぐに終わるだろうと予知している。
<戦争>で恐怖判定。
・報告書 （初期公開）
永室中佐とその周囲関係と、不審点をまとめた資料。持ち出し禁止であるため、プライズに加算しない。
【秘密】
ショック：【秘密】取得時。
永室中佐が院長を務めている野戦病院周辺では「過去一度も」戦闘が発生しておらず、
院内の患者も他戦闘地域から輸送されてきた重傷者ばかりだ。勿論命に係わる傷もあっただろう――に、
死者は他野戦病院と比較して脅威とも言える数値、「一割〜二割」である。
また、退院し戦線に復帰した兵が功績を上げたり、奇跡の生還といった事例を度々引き起こしている。
HO「驚異」を公開。
永室中佐が院長を務めている野戦病院周辺では「過去一度も」戦闘が発生しておらず、
院内の患者も他戦闘地域から輸送されてきた重傷者ばかりだ。勿論命に係わる傷もあっただろう――に、
死者は他野戦病院と比較して脅威とも言える数値、「一割〜二割」である。
また、退院し戦線に復帰した兵が功績を上げたり、奇跡の生還といった事例を度々引き起こしている。
HO「驚異」を公開。
・幸運の塊 （初期公開）
目の前の男は、本人が理解しているかはともかく、彼の世話となる下級兵たちのとって「幸運」である。
まるで激戦地から当然と生きて帰ってくる戦艦のように、そのもの自体が幸運。
【秘密】
ショック：なし
戦艦ならその身が削れても人だけは殺さないように、彼の呼ぶ「幸運」も、物資や兵器が被害を被るが人的被害はゼロ、もしくは軽傷。
まるで不運なものを「人ではないもの」に向けさせているようにも感じる。
ただ、彼自身から何かこの「幸運」に関して聞き出せるとすれば、「そんなもの、ありはしない」という何処か諦めたような声色の言葉だ。
戦艦ならその身が削れても人だけは殺さないように、彼の呼ぶ「幸運」も、物資や兵器が被害を被るが人的被害はゼロ、もしくは軽傷。
まるで不運なものを「人ではないもの」に向けさせているようにも感じる。
ただ、彼自身から何かこの「幸運」に関して聞き出せるとすれば、「そんなもの、ありはしない」という何処か諦めたような声色の言葉だ。
・驚異
その数値は、軍の運営上発生する「疲弊」「物資不足」「士気低下」、ありとあらゆるパラメーターを無視したかのような夢物語のようだ。
【秘密】
ショック：なし
最新の報告書を確認した。それは「彼が本国召還の為に病院を不在にした後」の日付だ。
嘘だと思いたい。
野戦病院の一部区画が戦闘に巻き込まれ、焼失したのだという。
人的被害は、その区画に配置されていた衛生兵、看護兵、補給員、そして収容されていた怪我人、病人全てだ。
<死>で恐怖判定。
最新の報告書を確認した。それは「彼が本国召還の為に病院を不在にした後」の日付だ。
嘘だと思いたい。
野戦病院の一部区画が戦闘に巻き込まれ、焼失したのだという。
人的被害は、その区画に配置されていた衛生兵、看護兵、補給員、そして収容されていた怪我人、病人全てだ。
<死>で恐怖判定。
・紅蓮の瞳
その目は焼き尽くす炎にも見えるし、人々を照らす日にも見える。
【秘密】
ショック：なし
それは、日本人が持つ色ではない。もし外来の血が混じる者だとしても、こんな紅蓮は人の色ではない。
あまりにも眩い赤で、血の色とも思えないのだ。
それを隠す素振りもなく、ただ男はそこにある。
この【秘密】が公開されたとき、HO「永室 誠慈」を再度調査（1）可能にする。
それは、日本人が持つ色ではない。もし外来の血が混じる者だとしても、こんな紅蓮は人の色ではない。
あまりにも眩い赤で、血の色とも思えないのだ。
それを隠す素振りもなく、ただ男はそこにある。
この【秘密】が公開されたとき、HO「永室 誠慈」を再度調査（1）可能にする。
・深緑の髪
若葉のような鮮やかな緑。襟元の緑なぞ軽く塗り替えていく。まるでそこに命が宿っているかのようだ。
【秘密】
ショック：【秘密】取得時。
鮮やかな緑は、何処か輝いているようにすら見えた。いや―――輝いている。
ぼんやりと、苔が日差しを吸って夜に吐き出したかのように僅かな煌めきだ。でも、たしかに温かみのある輝き。
持ち主の呼吸に合わせて上下する身体、その形に沿って持ち上がっては落ちる髪。
そこから、ひらひらと何かが落ちていく。手が動いて、その物体を摘まんだ。桃色の縁取りをした花弁。産毛の感触。
気が付けば、目ははっきりとその幻想を脳に伝えるだろう。彼を中心に花が生まれ、
何処から入ったのかもわからない小動物が駆け回り、日も落ちたというのに窓の向こうから鳥のさえずりが聞こえる。
これは、いったいなんだ？
この【秘密】が公開されたとき、HO「永室 誠慈」を再度調査（2）可能にする。
鮮やかな緑は、何処か輝いているようにすら見えた。いや―――輝いている。
ぼんやりと、苔が日差しを吸って夜に吐き出したかのように僅かな煌めきだ。でも、たしかに温かみのある輝き。
持ち主の呼吸に合わせて上下する身体、その形に沿って持ち上がっては落ちる髪。
そこから、ひらひらと何かが落ちていく。手が動いて、その物体を摘まんだ。桃色の縁取りをした花弁。産毛の感触。
気が付けば、目ははっきりとその幻想を脳に伝えるだろう。彼を中心に花が生まれ、
何処から入ったのかもわからない小動物が駆け回り、日も落ちたというのに窓の向こうから鳥のさえずりが聞こえる。
これは、いったいなんだ？
この【秘密】が公開されたとき、HO「永室 誠慈」を再度調査（2）可能にする。
・「永室 誠慈」再調査1
幸福の塊。それはもはや証明されつつある。だが、彼を取り巻く「諦観」の気配とあまりにも激しい生命の奔流は何か。
分からない。彼が人間であること、一人の日本人という事実すら不可思議な話になってしまった。
彼は軍医中佐なんてものではない。もっと、ひたすらに原初に近いものだ。
我々が解明し続けてきた神秘のうちにいたものだ。【感情】取得可能。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【使命】
目の前で花弁のように散る命の数を、ただひたすらに削ること。ただひたすらに救うこと。
貴方の【使命】は目の前の命を掬い、援け、亡くさないことだ。
【秘密】
ショック：なし
「永室 誠慈」という名前は、ここ数十年使っている名前だ。だが、そろそろ改める必要がある。
しばらく何処かの山にでも潜んで、世紀が流れるのを待つべきか。
ああ、大地に染みる血、なんと冷たいことか。ああ、言に載せられずに消えた心、なんと薄暗い。
私は世の平安を、泰平を、ひとの幸福のさまを見守るという原理で、この星から吐き出されたもの―――。
どうして、人が争い、血を血で洗う、大地を抉るような破壊を観測しなければならないのか。
戦うことは、決して過ちなどではなく、生命全てが持ちうる。故に、私は止めることができない。
すべての生命に通じていようが、いまいが、誇りをもって生き残るための戦いを止める術は、母なる星は教えてはくれなかった。
<第六感>で恐怖判定。
「永室 誠慈」という名前は、ここ数十年使っている名前だ。だが、そろそろ改める必要がある。
しばらく何処かの山にでも潜んで、世紀が流れるのを待つべきか。
ああ、大地に染みる血、なんと冷たいことか。ああ、言に載せられずに消えた心、なんと薄暗い。
私は世の平安を、泰平を、ひとの幸福のさまを見守るという原理で、この星から吐き出されたもの―――。
どうして、人が争い、血を血で洗う、大地を抉るような破壊を観測しなければならないのか。
戦うことは、決して過ちなどではなく、生命全てが持ちうる。故に、私は止めることができない。
すべての生命に通じていようが、いまいが、誇りをもって生き残るための戦いを止める術は、母なる星は教えてはくれなかった。
<第六感>で恐怖判定。
・「永室 誠慈」再調査2
幸福の塊。それはもはや証明されつつある。だが、彼を取り巻く「諦観」の気配とあまりにも激しい生命の奔流は何か。
分からない。彼が人間であること、一人の日本人という事実すら不可思議な話になってしまった。
彼は軍医中佐なんてものではない。もっと、ひたすらに原初に近いものだ。
我々が解明し続けてきた神秘のうちにいたものだ。【感情】取得可能。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【使命】
目の前で花弁のように散る命の数を、ただひたすらに削ること。ただひたすらに救うこと。
貴方の【使命】は目の前の命を掬い、援け、亡くさないことだ。
【秘密】
ショック：なし
神獣。聖獣。守護獣。私を差す言葉はいくつもある。だが、この国で言えば「鳳凰」というあまりにも豪奢なものが正しい。
わたしは、ひとの安寧を願い、空を飛んでいた神秘。
「飛んでいた」のだ。ひとは神秘を殺すものだと学んだのはいつ頃だったか。それでも私は、人を見守るのだ。
そう在れと、そう在るべきと生まれたが故に。何も悪いわけじゃない。誰が悪いわけではない。
ただ、自身が望めば、目の前に伏した人間を救えるのに、医術が追い付いていないというひとの理由で救えない。
私は人よりも生命としては強靭で、生命に干渉出来得るのに、「死」を目の前にする時代。
目の前に転がった死際の子を救えずして何が聖獣か。何が幸福か。何が安寧か。
<混沌>で恐怖判定。
神獣。聖獣。守護獣。私を差す言葉はいくつもある。だが、この国で言えば「鳳凰」というあまりにも豪奢なものが正しい。
わたしは、ひとの安寧を願い、空を飛んでいた神秘。
「飛んでいた」のだ。ひとは神秘を殺すものだと学んだのはいつ頃だったか。それでも私は、人を見守るのだ。
そう在れと、そう在るべきと生まれたが故に。何も悪いわけじゃない。誰が悪いわけではない。
ただ、自身が望めば、目の前に伏した人間を救えるのに、医術が追い付いていないというひとの理由で救えない。
私は人よりも生命としては強靭で、生命に干渉出来得るのに、「死」を目の前にする時代。
目の前に転がった死際の子を救えずして何が聖獣か。何が幸福か。何が安寧か。
<混沌>で恐怖判定。
＜クライマックス＞
既定のサイクルが終了、もしくは該当マスターシーンの発生後、クライマックスに移行する。
まずは目の前の暴走状態に近い、「生命の奔流」を収めること。そのあとに然るべき判断を行うことが求められる。
エネミー：永室 誠慈【生命の奔流】
属性：生物/神（恐怖判定を行わなくてよい） 脅威度：10 生命力：125
好奇心：医学
特技：愛、情景、医学、天文学、混沌、霊魂
基本攻撃：混沌 アビリティ：危険感知（情景）
特殊アビリティ：衝動
一人で無策に戦うのは消耗戦の一途となるだろう。だが、特殊アビリティとして「衝動」というものがある。これを利用して弱体化を図る。
特殊アビリティ（サポートアビリティとして扱う）：衝動
【生命の奔流】状態に陥っても、その性質、由来は「ひとの安寧を見守るもの」として刻まれている。それは変わらない。
PCが特殊アビリティの利用を宣言した際、暴力分野か情動分野のどちらかを選択し、
使用特技をランダムで決定する。判定に成功すると特殊アビリティが発動する。累積不可。
また、PCが「永室 誠慈」に対して【感情】を取得していた場合、
その【感情】によって自動的にこのアビリティは発動される。この場合、同じ方向性の発動であれば累積してもよい。
（例：プラス【感情】で発動済み、情動分野での発動を重ねられる。両方発動時には-2d6）
暴力分野/マイナス感情での発動：【生命の奔流】の心をさらに破壊する。
【生命の奔流】が基本攻撃を行った際に、ランダムに特技を選出する。
決定された技能で判定し、失敗すると【生命の奔流】は生命力に-2d6のダメージを受ける。
情動分野/プラス感情での発動：【生命の奔流】の狂気を落ち着かせるように努める。
毎ラウンドごとに【生命の奔流】は生命力に-1d6のダメージを受ける。
戦闘終了条件
・【生命の奔流】の生命力を1/3（40点以下）まで減らす。（本人をどういう形であれ大人しくさせる。）
・逃走
【生命の奔流】の生命力を1/3以下にして戦闘を終了した場合、
PCは「永室 誠慈」という男を如何にするかという判断を行うことができる。
逃走した場合は、恐らく職務放棄として扱われ、最前線にでも送られてしまうだろう。
＜エンディング＞
「永室 誠慈」という男をどうするか。
曖昧な線引きであるが、考えられるのは、以下の通りだ。
・永室 誠慈という医者を助ける。
・【生命の奔流】というモノを助ける。
・永室 誠慈はスパイであったなどと報告をする。
どれを選んでも貴方が上手く折り合いをつければ、仮初の【使命】は達成できる。だが【本当の使命】の達成のためには、上二種から選択するべきだろう。
もし、上記二種の判別が難しければ、RPの内容から分岐させてもよい。
・「医者」を助ける
これは、あくまでも人間として彼を扱うということだ。彼の本質的な苦悩は手に負えたものではない。
手に負えないと分かっていて踏み込むのは、あまりに無策で礼を失するだろう。
だから、あくまでも貴方は医者を助けた。上への報告は彼はスパイの類ではないと記せば済む。
いつの間にか、黒髪黒目の標準的な、草臥れた男の様相に戻った彼は、
諦観に染め上がった目で何もない天井を見上げていた。遠くの空を恋しく思うように。
・【生命の奔流】というモノを助ける
難しい話だろう。人間とそうでない神秘のモノ。
考える物事、感じる物事、願う物事、生きる意味、存在の意味、全てが違うモノ。
それでも彼の「ひとを救いたい」という願いは本物であり、人の世界を超越しないように努め、隠れ、合わせ、
それでも多くを救おうとした結果―――「幸運の塊」という成果があったのだ。
全てを救えるのに救えない、測りかねる葛藤を抱えながら成し遂げたそれは、人にとってはまさに幸運なこと。
せめて、もしも名を変えて密かに暮らしたいと思うならその手伝いを。
また戦地に戻り幸運を為すのならまたこのようなことが起こらないように手引きするのもよい。
休ませたいのなら、名を与えればいい。かの幸運を思うのなら、彼の立場を守るものとなれ。
・否定的な報告を上司にあげる。
これで、意味の分からない存在は軍事裁判にかけられ、厳しい処罰に処される。もう顔を合わせることはないだろう。
もし処罰を受けて生きていたとしても、それは知らない人間だ。貴方が不運なことに激戦区に送られることになった？ それは―――。
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