主に哀咲のTRPG(CoC)用wiki。ほぼ身内様向け。「そこのレディ、ティータイムの御供にクトゥルフ神話は如何かな」

概要

製作:哀咲
プレイ時間:シナリオ時間:テキストオンセの場合
1人:6時間〜(場合によっては8時間ほどまでかかる)
2人:6時間ほど
3人:4、5時間ほど
傾向:探索中心。クローズド。
使用に関して:改変、リプレイ等公開自由。制作者もしくはwikiのURLを明記してください。

シナリオ名:そらいろねずみのやらずあめ

シナリオ



<あらすじ>
見知らぬ場所に立っていた。灰色に染まった空、降り注ぐ雨粒。その先の世界、優しい色。
そこに住まう彼女は、何を抱えているのだろうか。


<キャラシについて>
制限はない。
基本的な探索技能があれば生還できるだろう。


<舞台>
???


<推奨人数>
〜四人ほど
(雰囲気を壊さない程度の人数)


<NPC>
とある女性(林沢 茅弦:はやしさわ ちづる)


<その他事項>
後半に行くにつれてSANチェックが増えるため、時間管理などが少々手間。
また「呪文」を覚えさせないと実質攻略できないため、KPは誘導時、意識すること。



<温い雨の向こう>
気が付くと、探索者は見知らぬ場所に立っていた。灰色に染まった空、降り注ぐ雨粒。
髪を濡らし、頬を伝い、服に染みていくその雨は体の温みを奪っていくどころか、優しく温めてくれる。
辺りを見回せば、空と同じような色合いしか持たない、何もないと表現すべき、整地された場が広がる。
あるのは、目の前の大きな門ぐらいのものだった。
門は目にも鮮やかな空の色を宿していて、繊細な彫刻が芸術が解らぬ身だとしても惹きつけてくる。
それは硝子のようであり、様式も素材にも心当たるものはないだろう。
惹きつけられた探索者はふらりと雨に濡れたまま、その門をくぐっていく。

体を叩いていた雨粒が消える。ぽたりぽたりと濡れた自分から滴り落ちる滴が、足元の名も知らぬ花の葉を揺らしている。
空はからりと晴れて、初夏のような青空を保っていた。何もなかった場は様々な色彩に満たされて、明るくも優しい雰囲気を作り出している。
振り返ると、門は変わりなく存在している。だが、先ほどまでいた灰色の世界は見えず、鮮やかな色彩が地平線までも埋め尽くしていた。(0/1)
もし門を再びくぐるのなら、灰色の世界に戻ることができるが、戻っても何もなく、また門に惹かれるだけである。


<静かな屋敷>
呆然と色彩の世界に立ち尽くす探索者に声をかける存在がいる。柔らかで落ち着いたソプラノに顔を向ければ、
白いロングドレスを身に纏った清純な女性の姿が見えるだろう。
瞳はまるで琥珀を嵌めたような色をしていて、整った顔立ちを包むように栗色の長い髪が風に揺蕩う。
「まあ。外は雨でしたでしょう?こちらにどうぞ」
まるで自宅に招くような物言いをする。彼女の後に続けば、やがて靴裏が草ではないものを捉えた音を鳴らす。
瞬きをするうちに色彩は掻き消え、落ち着いた茶の空間が広がっているだろう。
明らかな室内で、品の良い調度品がどこか位の高い場所であると囁く。(1/1d3)
フローリングをこつこつと歩いていくが、隙間から草花が顔を覗かせ、時折太い枝までもが壁を突き抜けるようにはびこっている。
彼女はそれを気にすることなく歩いていく。
やがて広い空間に出る。思うに客間ではないだろうか。
「どうぞこちらにお座りになって」
彼女はそう言ってソファを勧める。戸棚に手を伸ばしてタオルも出してくれるだろう。
ソファに座り、タオルも受け取ると彼女はシックなミニテーブルに近付いていく。
そこにはティーセットが用意してあって、手順よく紅茶を用意し始める。この間に少し部屋を見回るぐらいならばできるだろう。

周囲に<目星>:どこか欧州風の雰囲気の作りだ。大きな窓の他、暖炉や先ほどの戸棚が並ぶが、そのような家具からも草花がひょっこり顔を見せていることに気付く。
窓に<目星>:窓の向こうは門をくぐる前の灰色の空だった。雨がしとしととガラスに打ち付ける。
女性に<目星>:非常に恵まれた容姿であることは一目瞭然である。そして、左薬指に指輪が嵌められている。
暖炉に<目星>:今は火は付けられていない。灰のなかにかなりの量の紙きれのようなものが混じっているため、紙などをよく燃やすのではないだろうかと思う。
周囲に<聞き耳>:とても静かで、彼女と自分たちの他に誰かいるとは思えない。

しばらくすると紅茶を淹れ終わり、探索者一人一人にお茶を出してくれる。それから穏やかに笑う。
「どこから来られたのかは存じませんから、帰り路などは教えられません。
もしかしたら、うちの書斎に何か地図なんかがあるかもしれませんね。どうぞご自由になさってください」
と、自由行動の許可を与えられる。
彼女からどういった部屋があるかなどは先に情報が与えられ、どこになにがあるか程度は把握できる。
また、彼女はイベントが発生しない限りは客間に留まっているので、会話も可能である。だが彼女は重要なことは一切話さない。

以下、探索箇所
一階
・客間(お茶を淹れてもらっている間に済むが、もし探索せず待っていてもここで可能、その場合は上記参照)
・書斎
・物置
・リビング


〇書斎
木製の扉を開くと、一面に広がるように本棚が連なっている。中央に書斎机がある。
大きな窓の向こうには、黄色い薔薇園が広がっている。

机:ペンと便箋が置いてあり、使った形跡がある。傍らには本が積まれている。
<目星>:途中で書くのを止め、くしゃくしゃにしてしまったものらしい便箋を引き出しの奥から見つける。
<図書館>:積まれたいくつかの本を斜め読みできる。
様々な宗教の人間の死後に関するものがあり、どれもやがて転生か復活などしているか、別の世界で生きているという解釈のものばかりである。

便箋:柔らかな女性らしい字であるが、途中で書くのを止めている。
―――――――――――――――――――――――――――――――
こちらは生憎の雨が続いています。そちらはやはり、いつでもきれいな青空なのでしょうか。
言いたいことは山ほどありますが、手紙では伝えきれないようで、いつも書くことに迷います。

ですので、できるだけ素直になろうと思って、書いています。
寂しいです。独りは嫌です。貴方の気持ちわかった気がします。
私もそちらに行きたいのですが、どうにも許してくれないようでした。
私がそちらに行けないのなら、貴方をこちらにお迎えすればいいのだと語りかけます。
確かにそうなんでしょう。そう思ったんです。だから、きっと出会えた時、貴方に私を
―――――――――――――――――――――――――――――――

本:斜め読みなど読むという宣言をされた場合
―――――――――――――――――――――――――――――――
主な内容は生死に関する価値観についてだ。
死後、裁判を受け無罪なら天国へ、有罪なら地獄へとありふれたものから、
一民族の自然信仰の「死後は別の世界に渡り、変わらずに生活を続ける」
といったものまで書かれているが、本の共通項としては
「復活」もしくは「別世界での生」だろう。
―――――――――――――――――――――――――――――――


本棚:大量に書籍が入っているが、整えられているおかげで、本を引き出すのには苦労はないだろう。
<目星>:エジプトの信仰・宗教関連が多い気がする。そのうちの一冊を手にするだろう。
<図書館>:本棚をくまなく見て、本とは違う冊子を見つける。

本:古代エジプト文明における、神格や宗教の考え方に関する本。
内容は詳しい者が見てもそうだな、と思うものである。とある頁に四つ折りの紙が挟まっている。

紙:頁に挟まっていた四つ折りの紙。
トートとの接触
トートの助力
と言った呪文が書かれているが、若干掠れているためしっかりと読み取ることはできない。

頁:紙の挟まっていた頁。どうやらエジプトの、トキの頭をした神、トートについての章である。
月の神ともされること、その知識で人を助けることがあるということなど、ベターなことが書かれている。


冊子:平凡なノートであったが、紙が挟んであるなどしてかなり分厚くなってしまっている。
挟まっていた大量の紙は、どうやらカルテのようだった。
英語か何かだろうか、アルファベットで書かれているせいで、ぱっと見では頭に入ってこない。
一見して理解できるのは、このカルテの情報源は20代の女性であるようだということだろう。

カルテに<英語>:英語ではないことが理解でき、英語に比較的近いイメージの言語だろうということを察する。
カルテに<ドイツ語>:カルテを読み解くことができるが、このカルテの限り、病状は芳しくなかったのだろう。
カルテに名前がないかと問われた場合:「Chizuru Hayashisawa」と書かれている。
便箋を読んでいる探索者がカルテを見た場合の<目星>:便箋の字とは違う字である。

また、冊子には女性の字でぱらぱらと何か書き留めてある。
―――――――――――――――――――――――――――
分かったこと
 呪文
 使うもの

分からないこと
 リスク
 呪文を使った後どうなるのか
 使って成功したとして、ここからどうやって出るのか
 神様のこと
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
できること
 飲食
 散歩(家周囲目測10m付近のみ)
 趣味類
 あの子を呼ぶこと

できないこと
 門をくぐること
 家から一定距離以上離れること
 あの子を呼んで、空を飛ぶこと
 あの子に外に連れ出してもらうこと
― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―
ここにあるもの
 生活必要品
 欲しいと思った知識

ないもの
 彼
―――――――――――――――――――――――――――

→書斎の窓から見える薔薇園に行きたいという探索者がいるかもしれない。
薔薇園の前に門を作り、鍵がかかっていると伝え、何の鍵を持ってきても鍵穴と不一致であると伝えるなどして踏み込めないようにする。
迷走している場合はここに女性を配置し、「今から菜園の手入れをするから室内に戻って?」とお願いするなどして誘導する。



〇物置
整理も掃除も行き届いている物置。そのため物を探すのには困らない。
大きなミシンや、使わなくなったのだろうカーペットやカーテンといったものも多く置かれている。

周囲に<目星>:古ぼけたノートを見つける。

ノート:だいぶ古ぼけたノート。筆跡を辿ることも難しい。
かろうじて見える文字は、日本語ではなく、アルファベットのようだ。ちぎれたような部分もある。
<英語>:拾える単語を追っても、英語ではないだろうと考える。
<ドイツ語>:どうやらドイツ語で書かれたものらしいが、内容を特定できるほどの単語量は拾えない。だが日記のような書かれ方だ。


〇リビング
広く、明るく整えられた空間。家具、調度品はどれも品が良いものばかりだ。
奥にキッチンも見える。テレビなどはないが、ソファなどが設えられ、居心地はいいだろう。

周囲に<目星>:庭へ繋がるガラス戸がある。ガラス戸の向こうは、家庭菜園だろうか様々な植物が畝に植わり、実を実らせている。
→家庭菜園へ出ることはできる。特に何もない。
キッチンに<目星>:一通りの器具と、少し特殊な器具まで揃っているようだ。
食器棚にたくさんの食器があるが、二つで一つセットの夫婦茶碗なども見える。一人暮らしにしてはそもそも量が多い。
ソファに<目星>:ソファに置かれた小さめの熊の縫いぐるみの首に、何かが巻かれている。
よく見るとそれが、アンクレットであると気づく。繊細な細工が施されている。
家具類に<目星>:チェストに鍵が仕舞われているのを見つけた。→女性の部屋の鍵。次項以降、追加探索箇所。



<滞る道筋>
上記の探索場所の探索を全て終えると、どこにいても女性がやってきて声をかけてくる。
「お探しのものはどうでしょう、ありました?」
カルテの内容を知っているものは、どうしても目の前の女性がそんな重い病状にいたとは思えず、背筋が少し凍る。(0/1)
「私は少し庭に出ていますので、何かあったらお呼びくださいな」と、姿を消す。
家庭菜園以上の庭園に出ていくと彼女と遭遇するが、それ以外では次イベントまで彼女と会うことはない。

以下、追加探索場所
二階
・女性の部屋(鍵がかかっている)
・空き部屋?(鍵がかかっている)

一階
・客間(追加情報有。前項次に探索した場合でも情報・アイテムは出る)


〇客間
先ほどまでいた場所。

暖炉に<目星>:大量の灰のなかから、鍵を見つけ出す。→隠し部屋の鍵。
暖炉に<図書館>:大量の灰のなかから、紙きれを拾い集めることができる。

紙切れ:暖炉で燃やされただろう紙の破片。
途切れ途切れにはなってしまうが、どうやら一枚に組み合わせることができるようだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


死   者 文字  「 活」    文で  。
  させたい   完全    が必要 あり   では    場合、
  も完   なく  、   物に って
完全   に  を吹   と青  に  その に     吹き込むと
体が     やがて      戻す。
  さ   は、      と   と  識し   た
ひ  混  する
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
読み取れるのはこの程度である。


〇女性の部屋
二階の奥にある女性の部屋らしき場所。鍵がかかっている。リビングで手に入る鍵、もしくは<鍵開け>で開く。
落ち着いた雰囲気の漂う部屋には、ベッド、クローゼット、姿見、コルクボードなどが置いてある。

コルクボート:部屋に入ればどうしてもそれが目に入る。花の写真や、人が写った写真が貼ってあるが、
人の写真のほとんどは焼けたような穴があり、ほとんど人の顔が見れない。(0/1)


周囲に<目星>:片付けられていて行動を阻害するものはない。だが、カーペットの端が一つ膨らんでいることに気づいた。捲ると四つ折りのメモが出てくる。
ベッドに<目星>:枕の下に日記があることに気付く。
クローゼットに<目星>:女性が着ていた服と同じようなロングワンピばかりが並んでいる。
姿見に<目星>:裏面に何か付着している。


メモ:カーペットの下に隠されていたもの。難解な文字列のあとに説明文がある。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
復活

誤解されやすいが、この「復活」は復活した死者を灰に戻すための呪文である。
「復活」された死者に向け、呪文と内の力を消費することで効力を発揮する。
完全な死体を「復活」により青白い灰にし、そこからまた「復活」させることで、
魂までも完全に復活させることができる。つまりその呪文を反転させれば、
灰に戻すことができるということである。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
呪文、「復活(反転)」を会得することができる。(1/1d3+1 神話+1%)


日記:女性のベッドの枕下から出てきたもの。しっかりとした日記帳である。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
今日も失敗してしまった。いつもの場所に仕舞っておく。
灰に戻そうにも私じゃ勝てない。

今日も失敗した。嫌になる。でもあの人に会うためよ。

また失敗した。何度目だろう。神様は大丈夫合っているというけれど。

どうしよう、どうしよう、本当に失敗ばかりで。
あの人が待っていてくれてたら本当に申し訳ない。

今日も失敗した。もうどうしたらいいんだろう。力も全然残ってない。
神様がたまに来る人を使えばいいと言う。
…? 代わりにやってもらうって?

考えた。代わりにやってもらったら、あの人は私を見てくれないんじゃないかな。
そう思ったら怖い……怖い。また見てもらいたいのに。

来客が何を思ったのか彼を「復活」させようとしてきた。
慌ててあの子を呼んで、殺してしまった。

…殺してしまった人も治してあげられなかった。
やっぱり、私は、私もそうじゃ、力が足りないのね。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(1/1d3)
日記に<目星>などをすることで、糊付けされた頁のなかに小さな鍵が隠してあることに気付ける。
→空き部屋の鍵


姿見に付着していたもの:指などで擦り取ると青白い灰であることがわかる。


〇空き部屋
鍵がかかっている。女性の部屋から出てくる日記に隠してある鍵で解錠、もしくは<鍵開け>。
埃が積もっている部屋で、ドア付近の積もり具合からすると、時折開ける程度なのだろう。薄暗いが、ドア横にスイッチがあり、電気をつけられる。
奥に一つだけドアがある。ドアは鍵穴の他、鎖と南京錠でも塞がれている。

鍵穴などドアに<目星>:鍵穴の方はこの部屋の鍵で解錠できそうだ。


〇隠し部屋
空き部屋内のドアを解錠することで入ることができる。
鍵穴→空き部屋の鍵
南京錠→暖炉から出てくる隠し部屋の鍵
もしくはそれぞれ<鍵開け-20>で解錠可能。

解錠前、侵入前に<聞き耳>:何かが引き摺るような音がする。



<愛情>
隠し部屋に入ると、空き部屋と電気は共通なのか明るい部屋が出迎える。埃臭いその部屋は案外広い。
だが目に入るのはまず、大きなベッドだろう。ぱっと見でキングサイズのものだとわかる。
それを中心に、なにかの黒い物体がちらほらといた。
影のような、スライム染みたそれはおそらく目だろう器官をこちらに向けてきた。そろった目に感情というものはない。
恐らく彼女の「失敗作」であろうそれらは、ずるずると重そうに体を引きずりながら迫って来る。(1d2/1d6+1 神話+2%)

「何をやっているの!」
と背後から切羽詰まった女性の声も聞こえてくるだろう。
侵入したことを言い訳する暇もなく彼女は何か言葉を口にし始めるが、どうも自分たちの見つけた「呪文」とは違うようだ。
ただ、その呪文が紡がれていく毎に、背筋に嫌な汗が流れていく。(0/1)
前には失敗作。失敗作たちはじわじわと距離を詰めてくる。

探索者にどう行動するか宣言してもらう。状況打破としては、

・「復活(反転)」を唱える。
・戦闘状態に入り、女性を取り押さえるなりして呪文を止める。

どちらかが選択されるだろう。
戦闘状態に入った場合、距離を詰めた「失敗作」×3が攻撃を仕掛けてくるだろう。
戦闘で打ち倒すには相当の攻撃力が必要である。

「失敗作」×3
HP20相当 DEX6 DBなし
こぶし 50%で殴りかかる。回避はできない。

女性(茅弦)
HP12相当 DEX13 DBなし SAN 0
STR10 POW13
「狩り立てる恐怖」の召喚を試みたあと(成否問わずに)、ナイフ(25%)で応戦しようとする。
回避 50%
ナイフを取り出した後の1d3ターンは人に刃物を向けるという恐怖で震えて攻撃はできない。
交渉系技能や精神分析、説得などのRPは通用しない。

戦闘で女性を殺害しても生還はできる。
殺害された場合でも彼女は灰になり、死亡する。


「復活(反転)」を唱える場合、訳も分からぬままMP3とSAN1d10を消費して呪文を発動させることになる。
協力でMP提出はできないが、呪文を会得している全員に使用チャンスがある。MP対抗は今回は必要ない。

呪文を発動させると、「失敗作」たちも、「女性」もゆっくりと青白い灰に戻っていく。
「あ、いや、いやよ…っ、あなた、あなたに、永遠を求められたのに…っ!
永遠にこのままでって、病気なんかいらないんだって、たすけて、たすけて、貴方様、助けてちょうだい、
いや、いやよ、独りは嫌なの、貴方の腕の中で眠りたいの、もう一度愛してるって、愛して、愛してる、
もっと、もっと一緒、に……居たかった、だけ、なのに、だから、だからあぁぁぁアアアアァァァ――――――ッ!!!!」
と、ベッドへと必死に左手を伸ばしながら、女性の叫びと涙が散っていく。灰は無常なほど音もたてずに床に溜まって、かつての「彼女」を現すだろう。
ことりと音がして、探索者は「彼女」だった灰のなかに目を凝らす。
光るものを見れば、それは指輪である。
シンプルなデザイン、青い宝石。少しだけ、くすんでしまっている。長い年月を数えるように。(1/1d6)


ベッドに近づくと、そこには遺体らしきものが寝かされている。所々が青白い灰に浸食されているが、不思議なことにまだ形もあるし、色味も悪くなっていなかった。
左薬指には彼女と同じ指輪が嵌められている。
三十代ほどの「彼」は、腹に何かに貫かれたかのような穴を抱え込み、眠っている。死因はそれだろう。(0/1)
重ねられた彼の手の下に虫食いの目立つ小さな紙がある。

紙:随分と古く、茶色く変色している。日記の切れ端のようだ。「置いていかないでくれ」ただそれだけ読み上げられる。
(もし女性の部屋で「復活(反転)」を取り損ね、突入した場合はここで<幸運>などで、取得でもいいだろう)


日記だっただろうそれを取り、見ると、轟音が響き、天井が崩れてくる。
逃げ出す前に、探索者の意識はぷつんと途切れてしまう。



<雨の日>
ざあざあ。聞きなれた雨音にはっと意識が浮上する。適当な店の軒下で雨宿りだろうか。
そんな風にして探索者は立っている。日付や時間を確認しても、あの世界に行く前の記憶と一致するだろう。
もしかして、夢だったのか。そう思いながら灰色の空を見上げた。


・指輪を拾う、回収、「彼」の元へ届けようとした場合
右手に冷たい感触を感じて、握っていたそれを体の前でそっと開いた。
掌にころんと転がったそれ、は。シンプルな揃いの指輪―――結婚指輪だ。瞬きをしているうちにその指輪はさらりと灰になって、雨に溶けていく。
夢じゃなかったんだ。
そう思った途端、
『もう一度愛してるって、愛して、愛してる、もっと、もっと一緒、に……居たかった』
彼女の声が頭の中に響いた。
どうしようもできないことは分かっているが、それでも悲しさ、虚しさが心に刺さるようなすっとした痛みが胸に宿る。
その痛みを噛みしめている間に、雲は切れ、雨は上がり、からりとした青い空がいっぱいに広がっていく。
『愛してる』『置いていかないで』『一緒に居たかった』
数々の言葉をどう受け止めるかは……。
太陽が眩しい、雨の上がった街を歩く。
水たまりがぴちゃんと音を鳴らした。慣れた雑踏に身を交ぜる。
跳ねる滴がきらきらと光った。宝石のように。



<ED分岐に関して>
各END報酬について記載する。

・「復活(反転)」を使用し、女性(茅弦)の指輪を拾って生還する →True END
・「復活(反転)」を使用し、生還する →Nomal END
・女性(茅弦)を、「復活(反転)」ではなく、戦闘によって殺害する。 →Bad END


TE 「哀惜」
生還:1d10
二人の指輪:1d3+2
灰になる:1d6


NE 「昔日」
生還:1d10
灰になる:1d6


BE 「灰塵」
生還:1d10
女性の殺害:SANチェック1/1d6



<その他>
「神様」というのはニャルラトホテプの化身、トートのことである。
トートの助力により「復活」などの呪文を会得したかつて「復活」させられた彼女は、死んだ夫を復活させようとしていた。
死んだ夫は、かつて病気によって亡くなった妻を「復活」させ、共に生きようとしていたが、ニャルラトホテプによって殺害されてしまい、
妻は創造された空間に閉じ込められ、夫を「復活」させようと努力していた。
失敗は復活させられた身であるということと、夫の遺体が「完全体」ではないからである。
もしも「復活」を習得している探索者がおり、「復活」させたとしても、彼は完全体ではないので、復活させることはできない。

また彼女が使用しようとした呪文は「狩り立てる恐怖の召喚、従属」である。対応が遅れた場合は召喚成功してしまうという流れもいいだろう。
ちなみに彼女は「失敗作」のことを、自分と夫の子のようなものと認識しているので、自分以外が灰に戻すことを良しとしない。
探索者が本筋から外れて、NPCの敵対心を酷く煽れない場合は「子供を護る」という意識で向かわせるとよいかもしれない。

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