Book Wiki Portal - ハリセファロブス・ジンジバリス〜人を短期間で狂い死にさせる寄生虫
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ハリセファロブス・ジンジバリス〜脳が虫だらけで精神錯乱になる致死率100%の寄生虫
※旧マイクロネーマ・デレトリックス

ハリセファロブス・ジンジバリス(Halicephalobus gingivalis)は、人間に致命的な髄膜脳炎をもたらす
ハリセファロブス感染症の原因となる、Panagrolaimida科ハリセファロブス属の線虫である。
 1954年のポーランドで初めて発見された。北米での感染例が多いが日本も含め世界中に分布している。
通常土中、特に腐食土に生息しており、馬への感染報告が多い(65例以上報告)人畜共通感染症である。
2014年のデンマークでは牛への感染報告がある。
 人体への感染は、1975年にカナダで死亡した少年(5)が最初とされている。
この少年は肥料散布機に巻き込まれ、大ケガをした際の治療中に発症し死亡した。

この事例を含め人体への感染が確認されたのは…
【1】1975年 カナダ 男性(5) 死亡
【2】1979年 アメリカ 男性(47) 死亡
【3】1981年 アメリカ 男性(54) 死亡
【4】2010年 アメリカ 女性(39) 死亡
【5】2013年 アメリカ 女性(65) 死亡
【6/7/8】2013年 イギリス 男性(39) 男性(42) 男性(67) 死亡 ※39歳男性からの生体腎移植による多重感染
【9】2014年 オーストラリア 女性(74) 死亡
【10】2015年 ドイツ 男性(49) 死亡
の10例があり、いずれも死後の解剖で線虫への感染が判明している。

 最初の人体感染判明時は新種として“マイクロネーマ・デレトリックス(Micronema deletrix)”と命名されたが、
その後既知の線虫、“ハリセファロブス・ジンジバリス”と同一種であると判明し統一された。
 感染者は発熱・四肢の痛痒や後頭部のこわばり・起立困難・意識混濁等を訴え、
精神錯乱を起こして発症から10〜20日前後で死亡する。
遺体を解剖すると遺体の脳や脊髄、腎臓、口腔および鼻腔、
リンパ節、肺などに無数の線虫が蔓延しているのを発見できる。
病状の進行が非常に早く、また脳髄膜炎で医師は通常線虫感染を疑わないことから、
感染が判明する前に死亡してしまうので過去の症例で駆虫薬の投与は行われていない。
(感染した馬へ投与されたことはあるが、駆虫薬が脳に到達できない為効果が無かった)
結果感染者の生存例は無く、今のところ致死率100%である。
現時点において、感染が判明した人間の生存例が無い、世界でほとんど唯一の感染症と思われる。
 感染経路は解明されていないが、土壌や堆肥・馬糞から、
創傷部位を経由して感染する可能性が指摘されている。
また、寄生された馬からヒトへ感染する可能性も考えられる。
 2013年のイギリスでは、腎臓移植のドナーから移植を受けた2人の男性への感染という
ヒトからヒトへの感染が初めて起きている。
 日本での人体感染例は無いが、馬からは6例の報告があり存在が確認されている。
(1981年:東京 2000年・2003年:石川 2006年:茨城 2018年:北海道)。
 2010年以降、感染の報告が各地で頻発していることが不気味である。

◎ハリセファロブス・ジンジバリスの画像