カメラ、写真に関連した漫画を紹介するWikiです。

著者高梨みどり
掲載誌・連載時期スーパージャンプH6.19号〜H7.4号
単行本全1巻

 社会に出るとなると学校教育と建前だけでは越えていけない「現実」が立ちはだかってくるもので、前に進むためにはいかに他より抜きん出るかって強かさも必要になってきます。世の中決して善人ばかりではない訳で、そんな時優しいだけでは人は生きていけますまい。「天才バカボン」にしてからが、バカボンのパパは毎回子供のような振る舞いをしては周囲に呆れられるばかりでなくて、他人を陥れて結果その報復で酷い目に遭わされることも間々あり(それでも当のバカボンのパパはオチで「これでいいのだ」と結果を笑顔で受け入れてアッケラカンとしている訳ですが)、レギュラーキャラの本官さんも下着泥棒に及ぶこともあれば、万引き犯の姉(町内随一の美人!)を弟の犯行に託けて我が物にしようとした一幕もありました。
「見なさい、人は善人であったり悪人であったりもするものなんだ。狡い大人がいるなんて君たちには信じられないだろうけど世間じゃ普通にある話。大人になったらそれくらいでメゲないくらい強く生きなきゃね」
 ギャグ漫画家が、作品を通して読者である子供に伝えたかったメッセージはこういうことではなかったでしょうか? 善か悪かを簡単に割り切れない「人」の狡さ、愚かさ、強かさを分かりやすく、面白く描いて読者に伝えるのが漫画の持つ力であるのはそれが政治家を茶化す手法の定番である一事を見ても明らかです。そんな壁を前にしても怯むことなく壁を越えるために悩み、苦しみ、一筋の光明を見出せば前向きに強く生き抜く人の何と美しいこと。中島みゆきの「ファイト!」に歌われているが如く! そんな一人の女性写真家の生き様を描いた物語が今回紹介する「ぽうとれいと」です。

 ヒロインの名前は片桐ひかる。写真家志望の女性スタジオマンで、かねてより憧れていたポートレート写真家小田鏡子に弟子入りを志すものの実際に会った小田鏡子はプライドと権威の化物で、権謀術策にも長けた女性であった。それでも彼女の写真に惚れこんでいたひかるは必死に雇ってくださいと頼み込み、鏡子から出された課題をクリアして弟子入りさせてもらうことになる。そして不慮の事故からアパートを引き払って身一つで始めることになり、幾多の試練を乗り越えて写真展で評価されていくひかるの未来は……? というのが大筋です。
 「アメリカなんて大きらい!」でもそうでしたが、この作者の漫画のヒロインは強いですね。貧乏になって財産はカメラと食費を切り詰めて費用を捻出して買うフィルムだけ(その間ひかるは内緒で鏡子のチーフアシスタントの浅見のマンションに泊めてもらうことになりますが)になっても我武者羅に一人前の写真家になろうと努め、その間に鏡子のライバルの金井英心がチーフアシスタントの須藤を手先に使ってひかるに挑戦状を叩きつけ、そこから何かと不利な条件の中で写真勝負をすることになります。そう、英心や須藤がひかるを負かすためにあらゆる工作をしてくるのですが、そんな中でも精一杯できることをやって傑作を勝ち取ろうとする根性は凄いです。しかも毎度普通に撮っていたのでは思いつかないような独自のテクニックを駆使して。小田鏡子の写真に触れていく中でどうしたらこんな感じの写真が撮れるのか少なからず勉強していたのでしょうね。
 この漫画を描くに当たって高梨氏は本職の写真家先生にも取材されていて、しかもスタジオやカメラやその他の細々した機材も丁寧に描かれていたことからその辺りのアイデアも取り入れられたのでしょう。二重露出や特殊効果のために使うフィルターワークに関する記述が見られる漫画もちょっとありません。ましてエド・ヴァン・デル・エルスケンという、私の尊敬するスナップ写真の大家の名前が登場したのも吃驚でした。

 もちろんカメラはこちらを読んでくださっている方なら「おお!」と思えるような機種が多数登場します。ひかるのカメラはキヤノンEOS-1、鏡子はスタジオではハッセルブラッド500EL/Mで外ではライカM6黒、須藤はハッセルブラッド500C/M、それと扉ページでニコンF4、ライカM2-R(軍用から派生したレア物!)、キヤノンEOS10、ライカM6白、ハッセルブラッド500C/Mが登場しています。実際この辺りのカメラを仕事で使われているプロは多く(連載当時はまだフィルムが主流でした)、ベストな選択と言えましょう。

 こちらは本は絶版ですが、イーブックジャパンで落として読めます。鬼ばかりの渡る世間を乗り越えていく女性の強い生き様を見たい方は是非お読みください。

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