カメラ、写真に関連した漫画を紹介するWikiです。

著者川崎ぶら(原作)/秋重学(作画)
掲載誌・連載期間ビッグコミックスピリッツ21 '95.5.18〜'96.11.24
単行本河出書房新社九龍コミックス/キュンコミックス

「お前の話はひたすらに独善的でつまらん」
 とお叱りをいただきながら某誌でハガキ職人をしていた頃、ネタを書きつつ思っていたのは何と言っても
「独創的なネタで読者をアッと言わせた投稿者が勝つ」
 ことでした。そこで軽くドラマ仕立ての投稿を作ってみたこともありますし、ストレートにネタをかまさず敢えて捻りを入れて投稿してみたこともあります。今となってはそこまで考える気力もなく、素直に感じたことをこうして文章でお伝えするのが精一杯なのですが。
 写真また然り。フォトコンテストに入選するような人は自分なりの構図で、アングルで、露出で自分なりの表現方法で撮っている訳ですし、名だたる写真家の方もそうです。誰の真似でもない、ああだこうだと頭を使って、足も使って追い求めたその先にある独自の作風の上に構築された写真が(かく言う君はこれだけの文を書けながら、それを本領の写真で発揮できないのは一体どうしてなんだといつも叱られているのが私です)。
 そうしてテーマを考えて、自分ならではの被写体を追い求める写真家の姿を漫画で描くということでは「ライカの帰還」と相通じるものがある訳ですが、こちらの主人公はプロフェッショナルという枠を越えてアマチュアらしく奔放に、しかし少し前の女流写真家のごとくクールに被写体をフィルムに定着する一人の女子高生。それが今回取り上げる「ニナライカ」です。

 ヒロインの名前は木村仁奈。ノンプロなれど一廉の写真家として後世に名前を残した祖父の遺品のライカIIIf(しかもセルフタイマーがあって、フラッシュを発光させるタイミングを調節するための数字が赤い「レッドシンクロ」と呼ばれているごく後期のタイプ。バルナックライカの到達点と高い評価を得ています)を駆使して写真を撮っています。女友達の下着姿やヌード、普段クールな先生の思いがけない表情、先輩のポートレート、壁の落書き、ライブハウスで知り合ったバンドの女性ボーカリスト……女性写真家とお互いの写真を撮り合うセッションもありました。
 学校の生徒からの依頼で撮ることも多いだけに仁奈の腕は確かです。人には祖父の威光抜きでセミプロと言われてますし、ある人(ネタバレにつき秘密)の依頼で写真を撮るに当たって、
「俺が納得いかない写真だったら、俺とお前でペアヌードを撮る」
 という賭けを呑んで、見事勝ちを収めるほど(実はその前に友人の永瀬と予行演習もして、それ以外にもプラスアルファでちょっとした仕込みも入れているのですが)。写真展を開催した折も変わった展示方法で出してます。そうして毎回仁奈が工夫を凝らして撮ったり、あちこちに撮影に行ったり、写真展を開いたりする間に仁奈の良き理解者の竹中先生、仁奈の写真に興味を抱いている同級生の田中、古くからの知り合いの森山春人、大阪で知り合った写真家の平沼雅美らを絡めて物語は進行していきます。その中で発揮される仁奈のオリジナリティは見ていて面白いですね。ちょうどこの頃作品を発表していた駆け出し写真家の女の子が撮りそうな写真とアイデアに溢れてます。
 カメラの描写も、ことフィルムカメラを描いた漫画ではトップクラスと思われるほど丁寧です。仁奈は普段はエルマー5cmF3.5を常用しているのですが、状況や目的に合わせてエルマー9cmF4やズマロン3.5cmF3.5も使っていて、しかもそれとセットで使う外付けファインダー共々しっかり描かれてます。ええ、資料と照らし合わせてもちゃんとファインダーの形状は使用レンズに合わせてありました。構造が簡単であるが故に故障しにくいことを、誤って落としても張り革が剥がれただけでカメラは無事だったという一エピソードで描いたり(※真似しないでください。関係者も私も何かあったら責任取れませんので)ライカのシャッター音もありがちな、
「コトン」
「パチッ」
 ではなく、
「ちゃき」
 と表現されているのも面白いですね。田中のリコーXR-8スーパー、春人のシーガル4A、コンタックスTVS(サンパックのストロボと、それを使うためのブラケットも登場してましたね)も同じく描写は丁寧です。惜しむらくは雅美のカメラが外付けワインダー付きの一眼レフということは分かるのですけど、もう一つはっきり分からないことです。ですがそれもくだくだ申しますまい。

 独創的な写真を撮るとはこういうことだという見本なだけに、写真表現を志す方には読んでいただきたいと思うのですが、残念ながらこれも絶版です。オークションでは700円〜+送料が相場で、一番安上がりなのはAmazonで出品されている九龍版ですね。これなら1円+送料のもあれば、送料込みでも500円そこそこで買えます。

('11/09/11追記)Jコミで九龍版、キュンコミックス版の両方が公開されました。後者には第1話と最終話の原作シナリオが収録されているということなので併せてご覧ください。

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