カメラ、写真に関連した漫画を紹介するWikiです。

著者矢野健太郎
掲載誌・連載時期週刊ヤングジャンプ'83年(?)〜
単行本ヤングジャンプコミックス1〜13巻 SPコミックス1〜10巻 共に絶版中)

'80年代前半、私のような者に対する「おたく」という呼称もまだなかった時代。本放送当時視聴率が振るわず打ち切りになった「機動戦士ガンダム」が再放送で人気を呼び、「ヤング〜」と呼ばれる青年向けの漫画誌が創刊されて、それまで子供の領分だった漫画やアニメがもう少し年齢の高い層にも広がりつつあるという流れができてきました。「月刊OUT」の姉妹誌として「アニパロコミックス」が創刊されて(ゆうきまさみ氏が当誌で連載された「アッセンブル・インサート」は私のお気に入りの一冊です)、コミックマーケットでそれまでのメインストリームだった学校の漫研のオリジナル作品に混じって漫画やアニメの二次創作が目立って頒布されるようになってきたのもこの頃です。漫画やアニメが子供の物だけでなくなってきた時代の幕開けと言えましょう。
基本リア充(という言葉も当時はありませんでしたが)でありながら「うる星やつら」以来高橋留美子氏の漫画に親しんでいた父は時折ヤングジャンプやビッグコミックスピリッツを買って来ており、子供の私も半ばいけない物を見るような気持ちでコソコソと読んでいた覚えがあります。まだ劣情を催す年という訳でもなく、露出度の高い女の子やバイオレンスな展開が描かれている機会が少年誌より多かったことまでは格別意識していなかったにせよ、子供が読んだら叱られそうな漫画雑誌だったことは直感的に感じていたのでしょう。と言っても内容をきちんと理解しながら読んでいたのは谷岡ヤスジ氏のシンプルな絵とアグレッシブな表現で子供にもガツンと見せて、そして笑わせた「ド忠犬ハジ公」だけで、それ以外の作品を読んで理解するには私はまだ年が足りなかったです。況や恋の実体験もない身で、大人になりたての男女の恋愛模様を描いた漫画をや。そもそも「うる星やつら」でヒロインのラムが言っていた、
「土曜の夜は子供を作るっちゃー!」(1巻)
という台詞にも、そこでどういう過程を踏むのか分からずピンと来なかったのですもの。
思えば携帯もなければインターネット(この頃のパソコン自体、ゲームボーイにも遠く及ばない代物でしたが)もない時代、愛し合う男と女は直に会って一緒に過ごす時間を少しでも多く持ちたいと望むところから始まったんですね。その分「アレ」は言うに及ばず、デートしても喧嘩しても男と女はいつだって顔を合わせて、ストレートに感情を通わせていたのではないえしょうか。男として、女として、そして何より「今ここにいる確かな自分」として。そうした彼氏と彼女の関係が確かに存在した。そんな時代のラブストーリーが今回紹介する「ネコじゃないモン!」であります。

軸になるのは大阪から家出同然に都会へ出てきて専門学校に入ったヒロインの宮本尚子と、同級生で後に写真家になる横川修一の恋模様で、プレイボーイの飯塚、尚子の女友達の五月(通称メイ)、修一に想いを寄せる春菜等も絡めて話は進んでいきます。色恋沙汰には不器用な尚子と修一がお友達から始まって、その後すれ違いを起こしながらも夜を共に過ごす関係になるまでを青年漫画ならではの演出で丁寧に描いてある、そこが妙味です。そういうテーマを読者にダイレクトに伝えている要素が尚子の「強さ」でありましょう。壁にぶつかって友人やバイト先の社員に愚痴をこぼしても、毎回最後には吹っ切れて自分としての再スタートを切ってますもの。女性の持つ精神的な強さはもちろん、暴走族集団を一人であっさりブチのめしてしまう身体的な強さも特筆に値します。最後には濡れ衣を着せられて周囲から干され、半ばヤケになる場面もありましたが、結局修一と旅行に行っていつもの尚子に戻ってますし(実はその間に、ラストに向けての思いがけないイベントが進行しているのですが)。修一も修一で尚子と付き合う中、最初は初夜でコトに及べないほどだったのが写真家の勝江美亜(ある出来事から尚子とは顔見知りになって、その後修一の恋愛相談にも何回か乗っている)に弟子入りしてアシスタントを務める中で尚子に相応しい彼氏として成長していってます。
その間に交わされる、学校やデートでの二人の交流は上っ面だけではない、はっきりと今の自分の感情をダイレクトに交し合うものでした。時代が時代だけにインターネットも携帯電話もなく、まして尚子には当初固定電話もありませんでした。さもあらば尚子も修一も言いたい事は面と向かってはっきり言ってますし、他の登場人物と自分は尚子の彼氏として、修一の彼女としてどうすればいいのかを話し合う時もそうです。そうして彼氏と彼女としての絆を持つ。そういうラブコメは今読むと却って新鮮とは言えますまいか。
些細なことで喧嘩して何回もすれ違い、再会を果たした時に修一は尚子を抱きしめて叫びます。
「そうあっさり思い出にされてたまるか! いまおまえは俺の腕の中にいるんだ、思い出なんかじゃない! 現実だ!!ちがうか!?」
そして二人はキスを交わし、隣人に恨まれつつその日の夜を共に過ごして仲直り。そうして相手の顔を見て話すのは何にもまして効果的なコミュニケーションですよね?余談ながら、それより前に迎えた初夜で修一に弄ばれる尚子の心理を丁寧に描いてあるのもいいと思いました。情事は愛があってのコトですもの(持論)。
それと初期の頃特に目立ってますが、アニパロ的要素もふんだんに盛り込まれてますね。修一がアニメキャラの物真似をやってみせたり、修一達が飲み会の帰り道で「さすらいキッド」(「銀河旋風ブライガー」ED)を歌ってたり、尚子のバイト先の広告会社が「字音広告(ジオン公国?)」だったりと。

カメラは美亜の登場以降、彼女と修一の商売道具として登場します。ヤンジャン版では4巻、SP版では3巻ですね。二人ともペンタックスMEスーパーとMXを使ってます。それと美亜が試し撮りにポラロイドSX-70を使ってました。美亜の場合街中で「これは!」と思った道行く人を撮る事も多いようなので軽快なペンタックスは打ってつけですね。修一も美亜とレンズが共用できるということで同じカメラにしたのでしょう。もちろん当時一眼レフカメラは安い買い物とは言えなかった訳で、金策に困ったというようなこともその後書いてあります。当時の大卒初任給が10万そこそこの時代、標準レンズ付き8万円弱は薄給の駆け出し社会人にはつらい買い物だったでしょう。クレジットがまだ普及しておらず、「カメラ月販」というカメラが欲しい人相手にローンを組むという金融業もありましたし。

矢野氏自ら「唯一のヒット作」と仰られるほど人気は高かったようで、アニメにこそならなかったものの「谷山浩子のオールナイトニッポン」で折に触れては取り上げられ、彼女のプロデュースによるイメージレコードは発売されてます(今回使用した表紙画像は、そのレコードのジャケットにも使われたイラストです)。ヤンジャン版1巻の折り返しは矢野氏と谷山浩子氏が一緒に写ってる写真でしたし、その後度々アニパロネタ以外にも谷山浩子氏に関するネタが登場し、「谷家真裕子(たにや まゆこ)」の名前で本人が登場する話もあります。

本作は上記の通りヤングジャンプ版が絶版になった後、リイド社から再版されていて今ではそちらの方が有料WebコミックでいくつかのWebショップで読めるようになってます。楽天イーブックジャパンが一冊420円で、4200円で全巻まとめ買いもできます。オークションをチェックすれば全巻セットが結構安く出品されているので、そちらを当たるのも手です。ラブコメとしてはしっかりした良作なので、安心してお勧めできます。


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