カメラ、写真に関連した漫画を紹介するWikiです。

著者木村直巳(作画) 西ゆうじ(原作)
掲載誌・連載時期週刊漫画サンデー平成16年1月6+13日号〜6月1日号(不定期)
単行本実業之日本社マンサンコミックス 全1巻

またしても個人的な話で恐縮ですが、「銀塩少年」について書いた頃から私の写真環境はガラリと変わり、フィルムの使用頻度がいつしかデジタルを逆転してしまっていました。そういう人も今日日少ないでしょうけども。主力はニコンF2ですが、いつも持ち歩いているのはオリンパスOM-1です。どのようにして入手したかは今となっては忘れました。覚えているのはある時ちょっとまとまった金があって、安くなったフィルムカメラを買おうと思ったのがきっかけだったことです。キヤノンF-1にしようか、一時持ってたペンタックスMXを買い直そうかといろいろ考えた挙句に選んだのがOM-1でした。ライカMくらいのコンパクトさと、硬めの鉛筆で描かれた絵のような独特のレンズの写りが選択の決め手でしたね。実際持って走り回っても疲れないですし、作動音も静かでスナップには最適です。OMが語られる時にはとかく小型軽量ばかりがクローズアップされがちですが、
「一眼レフの最大のメリットは膨大なシステムを背景にあらゆる撮影に対応し得ることであり、そのメリットを活かすためにはカメラ本体は小型軽量でなければならない」
というコンセプトがあり、カメラとして基本的な点も決して犠牲にしていないところも着目するべきでありましょう。
大きくて見やすいファインダー、手持ちでスローシャッターを使う時も安心できる少ないミラーショック、スムースな巻き上げの操作感。高級機というのはこうした点に気を遣って作られているものです。小型軽量にまとめながらも基本的なところで決して手を抜かない。これは当時のカメラ産業においてはさぞ革命的だったことでしょう。事実その後一斉に他メーカーも各社なりのやり方で一眼レフの小型軽量化を断行したのですから。
プロジェクトリーダーを務めた米谷美久氏(故人)はこうした革命のために随分社内で苦労なさったそうで、社内外での衝突はしょっちゅうでそれを収めるために随分奔走なさったことは有名です。一度E-500の発表イベントでオリンパスの計らいで本人様と同席をさせていただき、お言葉を交わしたことがありましたが、新しくカメラを開発なさる度に衝突が絶えなかったことに話が及ぶと、
「たとえコンセプトを分かってもらえなくても、私は信念を持ってカメラを開発してきたんだ。ペンではより多くの人に写真に親しんでもらうためのカメラを作り、OMでは小さくまとめながらも、基本のスペックは犠牲にしてない一眼レフにするっていうね」
というような意気を感じる方でした。そう、カメラが世に出るまでに熾烈な「書かれざるドラマ」が存在した訳で、カメラはまた同じような「書かれざるドラマ」を記録して、伝えるためのツールとしても活躍の場がある訳であり……。

今回紹介する「ビッグショット」はスポーツ新聞「サンデースポーツ」の契約社員として働いている神谷悠介と安東奈津の行く先で巻き起こるドラマを描いています。1話から人気タレントの結婚についてのスキャンダルの行方を巡る話で、ネタを取るために貪欲に立ち回る二人の姿が描かれており、悠介の名カメラマンぶりが披露されます。後の方で
「ハングリーじゃないとおざなりの写真しか撮れなくなる」
とまで言って正社員就任の誘いを断ってるくらいですもの。「ライカの帰還」の勝平のような精神を感じます。
全11回のエピソードの中で悠介がファインダー越しに捉える人たちはいずれも人知れぬ苦悩を抱えており、撮影や取材を通して彼らはどのように苦悩を吹っ切ったのか、というのが描かれています。1話のタレントとその本命の相手は障害を越えて結婚できるのか。姿を消したと思っていたら温泉宿で働いていたスポーツ選手の挫折と再起、悠介が幼稚園児の娘と行った遠足で再会した男の今、離婚問題が持ち上がった芸能人夫婦の子供の苦悩、ほら吹きと社内で揶揄われ続けてきた万年係長の息子への思い……新聞記者として、カメラマンとして悠介と奈津はどのように彼らを捉えていったのでしょうか。その中で悠介の父親(妻はサンデースポーツ取締役の娘だが失踪中)としての顔も折に触れて描かれ、なかなか人間味のある人になっているのも本作の魅力です。

カメラは用途によってマチマチで、その分様々なカメラが登場する機会があります。この頃既にデジタル一眼で撮ったデータをノートパソコンで本社に送信するという取材方法はできていたようで、そのための機材としてキヤノンEOS D60が登場してます。他に仕事用として登場するのがキヤノンEOS-1(N?)、マミヤM645で、悠介がいつも持ち歩いているカメラとしてライカM3が出てます。これは私物でしょう。あとは昔悠介が使っていたというオリンパスペンEES-2、写ルンです、アイキャッチだけですがミノックスBが出てます。原作の西ゆうじ氏はクラシックカメラに詳しい方で、そちらがテーマの本も出されているだけに描写はいずれも丁寧ですね。マミヤM645は前面以外にも向かって左に垂直に押し込むシャッターボタンがあるとか、写ルンですの非球面レンズは2〜5mまでならライカを凌ぐ画質だとかましたり。これだけでも読んでみる価値はあります。

本作が入手できるか調べてみましたが……絶版中でした。イーブックジャパンやYahoo!コミックストアには配信されており、Amazonでもあれば高くはありません。「ライカの帰還」を楽しめた方なら面白く読んでいただけると思われます。

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