カメラ、写真に関連した漫画を紹介するWikiです。

著者三山のぼる
掲載誌・連載時期コミックモーニング昭和57年2号〜
単行本モーニングKC全5巻/モーニングKCDX全3巻(共に絶版)
御多分に漏れずこの趣味に入って多くのカメラを使ってきた私ですが、今のところ
「俺にはこれがないとだめなんだ」
とまで思えるカメラと言えばその筆頭はニコンF2です。なぜそのような古いカメラを使うのかと言われるかもしれません。

「カタログか何かで見て『お、かっこいいなこれ』と思ってその憧れを抱き続けてきたマセガキだった」
「月日が経ってニコンの旗艦機はF3になり、F4、5、6になったけど、見た目も手に取った感じも私的にはF2が一番良かった」
「それから日本や世界が誇る数々の写真家を起用したF2の広告を見て、心意気だけは彼らに負けまいと奮起した」

理由はこういったところでしょうか。しかしながら何よりこのカメラをメインとして使っていこうと決意したのは、F2を貸与してくださった師匠のこのお言葉が決め手になっています。

「君、これを手にした以上は真面目に写真の道に邁進しなけりゃだめだよ。現に僕はこれで地元の人たちを取材して回ってジャーナリストとしての実績を築いてきた訳だし、僕の知っている人にもライカが好きでたまらなくてやっとの思いでライカを手に入れて、これで一生かけても傑作を物にしようと頑張り出して、なかなかいい作品を撮っている人だっている。君にとってニコンF2は、彼にとってのライカと同じような存在じゃないのか? だったら安手のクラシックカメラを面白がるより『憧れのカメラを使えるんだから』と思って真剣におやりなさい」

私の師匠は報道畑の出身ですから、花や犬や猫を撮るだけの絵葉書めいた写真は在り来たりだからと仰って評価しません。それにプラスアルファで何らかの自分なりの視点が加わった写真を評価されます。イベント、町並み、人……対象は人の数だけある中で、真摯に写真に打ち込む人々は常に何らかの自分なりの視点を追うものである、と雑誌のフォトコンテストや写真展を見ていても頓にそう思います。これから紹介する「ブリキ細工のトタン屋根」で描かれていた'80年代後半においてはカメラ、特にニコンはプロや真摯に写真を志す人達にとって今以上にステータスシンボルとしての価値はありました。どん底の生活の中、たった一つの財産と呼べるニコンを持って我武者羅に己が写真道を進む写真家の主人公が今の私と重なっただけに、今回はかなり感情移入して読んだ一作です。

主人公は守攻鉄(まもる こうてつ 通称マモル)というカメラマンアシスタントです。謹厳実直を絵に描いたような青年で、持ち前のその性格と、一人前の写真家になりたいという強い意志を持ってバイトを転々としながら(のち肉屋に落ち着きますが)修行するところから、ヌード写真集を出してブレイクしたのをきっかけに一流写真家の仲間入りをしていくという「課長 島耕作」(連載開始は本作の一年後!)を自営業者をモチーフに描いて、作風も島耕作より泥臭いと言うか、後に訪れる格差社会における下層の人をリアリスティックに描いている感じでした。このタイトルの元になっているのが一巻でヒロインのマミが攻鉄に言った、
「マモルと一緒だったら…… 貧しさなんてヘイチャラよ たとえブリキ細工のインテリアだろうと……トタン屋根のお家だろうと……」
という台詞です。そして物語を通じて攻鉄が仕事に打ち込む場面も、マミとの同居生活においても貧しいなりに彼らが更なるステップを目指して貪欲に生きる様が描かれています。現に一話では攻鉄が先生がその筋に騙されてやらざるを得なくなっているエロ関係の仕事をさせられる話が出てきますし、攻鉄が写真家として編集者や読者に認められるようになるまで壁にぶつかって悩む場面も時間をかけて丁寧に書かれています。途中で影山幻蔵や百目喜一というライバル(共にスター写真家で、攻鉄の対極的存在)も登場して、攻鉄が成長するきっかけを作っています。今日まで大人の世界を赤裸々に描く作品が主流のモーニングということもあって、女性のおっぱいやパンツの描かれる頻度も高ければ男女がコトに及ぶ場面もあります。
もちろん今風の萌える感じとは違う劇画タッチのヌードですが、こちらもまた生々しい人の匂いが感じられていいと思うのは私がいよいよ名実共に「おっさん」になった証拠でしょうか? いや、そうとばかりも言えますまい。この頃の青年漫画誌に出てくる女性の裸は、大体が現実の女性を概ね忠実に描き写したような感じで描かれています。
「腰のくびれは今よくあるCGみたいにあんなに目立つもんじゃないし、いくら巨乳でも胴体から横にはみ出すおっぱいは不自然だ」
萌え絵の第一人者で、その中にも描き方に現実味を取り入れている作風で有名なあるイラストレーターが雑誌('97年〜'98年頃の電撃G'sマガジン?)のインタビューでなさっていた発言ですが、萌え絵ってこの二点が目立つようにデフォルメされている描き方に基づいているのではないでしょうか。そう言えばここで取り上げてきた「ネコじゃないモン!」等の同時代のお色気漫画でも、そのように描かれた薄着や裸は少なかった覚えがありますし、今のエロ漫画でよくある、ありえないくらい大きく描かれたおっぱい(それでエロさを表現している訳ですが)って、実は私はそんなに好きではありません。だからこういうリアリティのある絵面に惹かれるのでしょう。

攻鉄のメインカメラは最初はニコンFMとニコマートFTでしたが、本格的に写真家を始めるに至ってからはF3ハイアイポイントになっています。ニコンシステムを当初から使ってきたことを思えば納得の選択です。今でこそ諸事情から複数のカメラシステムを持っているプロカメラマンはザラですが、その頃はとても無理でしたし。その中でリコーフレックスTLS401も稀に登場しているのが謎と言えば言えます。リコーがXRシリーズの前に出していた、高級路線を狙って出したM42マウントの一眼レフです。ペンタックスのレンズも使えるとは言え、もうこの頃ペンタックスもリコーもPKマウントに移行していたのに? アシスタントを始める前から持っていたのではないかという推測はできます。
その他ハッセルブラッド500CM、ペンタックス6×7、ポラロイド1000と今に至るもメジャーなカメラも出ていますし、カメラ史が少しだけ語られる中でザ・コダックとベスト・ポケット・コダックも登場しています。そう言えば三山のぼる氏は日本初の商業写真師、上野彦馬を主人公にした「フォトガラ屋彦馬」も執筆されてましたね。そちらのレビューも好評なので現在探索中です。

実直さと前向きな生き様を武器に生きていく主人公を描いた作品という点では私は好感が持てましたし、男なら逆境の中で挫折しかかっても夢を諦めてはいかんというメッセージ性のある漫画では良作と思いました。KCモーニング版が絶版になった後、新装版が全3巻で発売されましたが現在はそちらも絶版中です。電子書籍ではコミックパークにありましたが、ヤフオクやマケプレの方が若干安いです。モーニング初期の人気作品の証左でしょう。

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