カメラ、写真に関連した漫画を紹介するWikiです。


著者桐木憲一
掲載誌・連載時期週刊漫画ゴラク'10.07〜連載中
単行本日本文芸社 ニチブンコミックス1巻

 石黒正数氏は東京都大田区下丸子(キヤノンのお膝元!)を舞台にした日常コメディ漫画「それでも町は廻っている」1巻あとがきでこう述べておられました。
「外に出ると八百屋のオジサンは僕ににこやかに挨拶をし、商店街を行き交う人は気軽に挨拶を交わし、コンビニの店員は世間話をしてくる。子供が転んで泣けばジイサンが慰めに出てきてくれる。コミュニケーション不良と言われている東京が怖かった僕だったが、こんな人情の感じられる下町が大好きになった」
 私は数年前にコミケに行って以降東京に行く機会は絶えてないのですが、高層ビルの立ち並ぶ町ばかりが東京の顔ではない。「こちら葛飾区亀有公園前派出所」で描かれ、「ブラタモリ」で放送されている通り昔のままに受け継がれている史跡や観光名所もあれば人同士の交流が絶えず行われて成り立っている町も東京には存在しているというのは上記の作品に触れて感じられるところです。「こち亀」63巻の冒頭に収録されている「わが町・上野の巻」はその意味で個人的にも好きなエピソードです。子供の頃、埼玉在住の親類を訪ねてその延長で東京見物に連れて行ってもらえば行き先は決まって浅草方面で、浅草寺門前を歩いていて
「僕の思っていた東京と随分違う風景があるもんだなあ」
と思っていたこともあるのでその影響でありましょう。
 今回紹介する「東京シャッターガール」は、「ミナミの帝王」を筆頭にハードな作風の漫画を看板としている「週刊漫画ゴラク」の中で落ち着いた絵柄とストーリーで今話題を呼んでいる漫画の一つであり、ちょうど上で触れたような東京の、特に地方在住者にとっては知る機会の少ない観光スポットを知るためのガイドにもなっている作品であります。他の作品とは全く違う作風であったことも反響は大きかったようで、私自身今も「ミナミの帝王」のために読んでいるのですが、新連載の時は、
「あれ、俺ビッグコミック何とかを読んでた訳じゃないよな?」
 と思ったほどです。桐木憲一氏がジャンプで「地上最速青春卓球少年ぷーやん」なるスポ根ギャグ漫画を描かれていたのは後で知ったことでしたが。

 ヒロインは女子高生で写真部員の夢路歩(ゆめじ あゆみ)。彼女が東京の様々な場所を撮り歩いて、モノローグで解説するというのが雛形になっています。学校行事やバイトが絡んで来る回もたまにありますが。ただ歩き回って写真を撮るだけでなく、作者が取材中実際に遭遇した、
「あれ?」
 と思わされる出来事をヒントに描かれた話もあれば、
「俺もこんな写真を撮ってみたい」
 と思うようなカットもあって、そこも含めて毎回興味深く読めます。各話とも丁寧に描いてあれば解説も見所をきちんと押さえていて、主に紹介される昔からの観光スポットは、私のような地方在住者にとっては却って新鮮なのではないでしょうか?
 4話「田端文士村」の解説をちょっと引用してみましょう。


芥川(龍之介)が居住していたのをきっかけに多くの作家・詩人・芸術家が田端に集い この地から数々の名作が生み出されることになる
 (中略)
芥川に惹かれて後に転居してくる小説家・室生犀星や 詩人・萩原朔太郎らと芥川の交友関係は深かった 萩原朔太郎は1925(大正14)年 39歳の時に田端に転居 萩原の転居を喜んだ芥川は室生犀星宛に
「何だか田端がにぎやかになったようで甚だ愉快だ」
と書き送っている
雑誌に掲載された萩原の詩を読んで感激した芥川が朝早く寝巻きのままで朔太郎を尋ねたというエピソードもある


 リコーGRDやGX100を首にタモリが東京を歩き回る「ブラタモリ」よろしく、読んでいるうちに東京の名所を歩と一緒に歩いているようです。テキストもさることながら作画もその場所の特徴をしっかり捉えて描いてありますもの。一話辺り6ページ(本編5ページ+解説1ページ。時々更に地図付きの観光案内2ページが付きます)とすぐ読めるのもいいですね。

 歩のカメラは基本はキエフIII型(1955-1959)です。第二次世界大戦の後、ソヴィエト連邦が旧東ドイツはドレスデンにあったカールツァイスの工作機器と技術者をキエフに持っていって作らせたコンタックスIIIのデッドコピーであることは有名です。やがて'70年も後半になると工作精度もロシアンクオリティになっていくのですが、この頃のモデルなら精度はまず大丈夫と思われます。
 レンジファインダーでカバーしきれない望遠やマクロが必要な時、歩は部室にあったというミノルタSRT101を持ち出してました。部員でデジタルとフィルムのユーザーは半々という件もあり、レンズ(サードパーティ製?)や暗室共々大事に受け継がれてきたのでしょう。
 彼女以外では写真部員の美佳子がキヤノンIXY 30S、登場頻度の多い同級生の玉城がニコンFアイレベル、卒業する元部長はパナソニックルミックスG1、歩の父親はキヤノンEOS 5Dを使っていました。
 16話以降で一コマ目に本編には出ないフィルムカメラが登場するようになり、ライカIIIb、ローライフレックス(3.5?)、ニコンF2フォトミック(初期型のアナログメーター付き)、ベッサR3A、ローライ35といった定番の中にUrライカ(ライカの試作機。レプリカが少数販売されたことがありますが、実際には写せない上に高いです)やフォカIIという甚くマニアックなカメラも混じっています。こちらもどんなカメラが出るか調べる楽しみがありますね。

 単行本が出て、アキバBlogでも紹介されて以来人気を呼んだようで現在では軒並み品薄のようです。Web書店では在庫は復活しているようなので当面はそちらの方が確実と思われます。写真展も開催されましたし、ショートフィルムの企画も持ち上がっています。この先もどんな展開が待っているか楽しみですね。

 附記:このレビューを書く事についてTwitterで触れた際、トキワ荘通り協働プロジェクト様からリツイートをいただきました。どうしたことかと思っていたら、桐木氏が現在同プロジェクトの管轄の紫雲荘に住まわれていて、その関係だったと思われます。
「レビュー書くけど遅れます、申し訳ない」
 という呟きだったのですが、拙レビューは作品をきちんと紹介できていますでしょうか?

 附記の附記:その後桐木氏からこのレビューに丁寧なお礼をいただきました。今後ともどのようなカメラと観光スポットが登場するか楽しみにしております。

関連リンク:富士フィルム「しゃしんのカタチ」インタビュー
公募グループ写真展『東京シャッターガール』(2012.10.23〜11.4)

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