カメラ、写真に関連した漫画を紹介するWikiです。

著者小池一夫(原作) 柳澤一明(作画)
掲載誌・連載時期ヤングジャンプ '94年〜?
単行本ヤングジャンプコミックス→キングシリーズ(全6巻→全3巻)

 「明るい暗箱」(荒川龍彦 朝日ソノラマ 絶版中)を読む機会を得ました。ニコンIからFの発売に至るまでの、カメラメーカー日本光学(ニコンの旧社名)の興りを記した伝記です。元は帝国海軍のお抱えで光学兵器を作っていた日本光学でしたが、戦争が終わってからカメラを主力製品と定め、戦後の貧困の中で苦心惨憺の末にニコンを完成させ、やがて
「おい、こりゃ凄くシャープなレンズだぞ! 一体どこのレンズだ?」
 と今日まで定評を得ているニッコールレンズで世界的ジャーナリストを感銘させ、冬の朝鮮戦争(零下30度の中でカメラが凍って動かなくなる中でニコンSだけは快適に作動した)を皮切りに北極探検や宇宙飛行の記録にまで活躍して、「世界のニコン」の名声を確立させた礎はより良い製品を作っていこうとモデルチェンジの中で弛まざる進化とそれをめざす技術者の努力があったことが伺える書です。ニコンFの登場以来プレスカメラの主流はスピードグラフィックからニコンに変わったことはライカの帰還でも少し触れましたが、その後もニコンの一眼レフは丁寧、そして堅牢な構造が報道関係者に好評を持って迎えられ、中級機でもFM2によって1/4000秒、1/125秒より上でストロボに同調する高速シャッターに先鞭を付けて一瞬のシャッターチャンスを争う彼らには尚一層の支持を得ておりました(それが旗艦機に採用されるのはF4を待たなければなりませんでしたが)。特に速いストロボシンクロ速度で昼間でも「時の人」を鮮明に写し取れることを歓迎したのは今回紹介する「盗撮影手パパラッチ」の中心となる写真週刊誌のカメラマンであった訳で……。

 主人公はフリーカメラマン保阪春介。元は篠木義紀の助手でしたが、夜の公園を廻って、そこをラブホ代わりに使っているカップルを盗撮して売り込み、一日20万円を荒稼ぎしている同業者の山林真に撮影に誘われたことがキッカケでパパラッチを志して修行するというのが大筋です。兄の秋夫に堂々と、
「オレパパラッチになる」
 と宣言したのですから当然秋夫が怒らない訳がなく、
「俺はお前を大学へやるために中卒でバイトしてやった。親父の形見のライカでつまらん写真を撮るな!」
 と鉄拳と共に説教します。ところが山林の撮った写真に政治家とその筋の人が現金を受け渡している現場が写っていたことから話がややこしくなり、闇の世界にも通じていた秋夫の店(バー)にその筋の関係者がやって来てドンパチ騒動が巻き起こり、この一件から秋夫にパパラッチになることを認めてもらえた春介は盗撮を極めていくことになります。その度に胡散臭い人たちに狙われることになり、盗撮と同時に彼らとの駆け引きが主なストーリーラインになっています。秋夫の情婦だったマリーも巻き込んで。
 プライバシー、今風に言えば「個人情報」に立ち入る職業写真家な訳ですから当然諍いは絶えない訳で、命を狙われる可能性もあります。冒頭での一枚の写真から始まったドンパチは正にそれを象徴していたと言えましょう。その直後に語られた秋夫とマリーの過去についても。
私は小池一夫氏原作の漫画と言えば他に「BROTHERS」しか読んだことがないのですが、
「この人の定番はセックス&バイオレンスだ」
 と言われている通り毎回そちら方面のハードな展開もあります。その筋に目を付けられた春介を守るために秋夫は国会議事堂まで押しかけていきますし、春介が写真週刊誌に作品を出すようになってからライバルになる東京太郎も写真のためには手段を選ばなければ裏社会の人たちを使って春介を陥れようとしますし、終盤で登場する世界的パパラッチのロン・キャレラも必要とあれば人を殺すと堂々と言ってのける食わせ者でした。そうして当然女性の裸も描かれていればコトに及ぶ場面もある訳で、まして作画は「山猫の夏」(船戸与一 講談社文庫)のコミカライズも手掛けられた方ですからハードな場面の描写は濃厚です。これでまさか東京都の横槍は入らないと思うンですけどね。

 カメラは春介は最初ライカIIIgを使っていました。口の悪い人に言わせれば、
「M3が出た後も前のバルナックタイプの方が良かったとゴネる客のためにお情けで出した、ニコンで言えばF-601Mみたいなカメラだ」
 ですが、血統は血統ですから使い勝手は悪くありません。視野枠が入っているのでフレーミングがしやすいと言う方もいます。ただ定番で登場するレンズがヘクトール135mmF4.5のはずだったのに外付けファインダーを使っていないのが気になりました。ストロボ(メッツ32CT3?)も外光オートがあるとは言え、先まで光が回るのかということも。
 本格的にパパラッチを始めてからのメインはニコンF4(他の同業者も大体そうです)で、サブにニコン35Tiを使ってます。ニコンの旗艦機というだけでなくて、モータードライブの作動音が静かな点が買われたのでしょう。この点やかましいキヤノンは不利と言えば不利でした。その辺りを改善して、リアルのパパラッチに多く愛用されたEOS-1Nはまだ出ていなかったですから。その他はヤシカマット124G、マミヤRZ67、ニコンミニ600が登場しています。

 集英社版が絶版になった後で小池書院から全6巻で再版され、現在では全3巻に版を変えて販売されています。上記の通りセックス&バイオレンスの世界なだけに万人に勧められるという訳には参りませんが、息詰まるハードな命の駆け引きは見応えありです。

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