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エロだけでいいんだよ! って人は◆04まで読み飛ばし推奨

※3行あらすじ
P×芳乃 和姦
芳乃トヨタマヒメ説
芳乃、孕む→見るなよ、絶対見るなよ→見る→(

(以下本文)

◆01

「そなたー、お疲れでありましてー?」

初夏の九州・大隅。青い海と白い砂の狭間で、かしましく戯れるアイドル達を眺めていると、
後ろから間延びした声をかけられた。声は、潮風と同じくらいほのかに温かかった。

「芳乃も、遊んできていいんだぞ。せっかくの自由時間だ。
 アイドルになってしまったから、海で遊ぶなんてそうそう出来ないし」

僕は、CGプロダクションのプロデューサーの一人だ。
今は、夏に自分の担当アイドル達を売り込むため、海でのグラビア撮影に大隅半島まで来ている。

撮影の仕事はもう終わっていた。
今はアイドル達を慰労するためにとっておいた、一足早い海遊びの時間だ。

僕は仕事で体力を使い果たしたため、はしゃぐアイドル達をパラソルの陰で眺めている。
アイドルが溺れた時のため、一応は水着姿で縄付き浮き輪を持っているが、それだけだ。
今日は海水に触れてもいない。

「海で遊ぶ、というのが、わたくしには馴染みのないことでしてー。
 特に波打ち際は、辛いことも思い出しますのでー」

僕の担当アイドルのひとり――は、不思議な格好をしていた。
グラビアで使った淡色の水着の上に、なぜか白装束を羽織っていた。

「え、もしかして芳乃、海は……」
「そなたが心配されることは、ございませんよー。お邪魔でなければ、隣に座ってもー?」

“波打ち際は、辛いことも思い出しますのでー”なんて意味深な言い方で、
僕は芳乃の過去について妙な考えをしてしまった。
それを知ってか知らずか、芳乃は僕の隣で砂浜に座った。

芳乃は、僕が初めてスカウトし、担当としたアイドルだ。
あちらからアイドルになると声をかけてきたのを、スカウトと言ってよければの話だが。

「そなたは、海で遊ばないのですかー」
「僕は引率だから。修学旅行の時のセンセイって、たぶんこんな気分だったんだろうな」

プロデューサーの仕事は、信じられないほどハードだ。
今の僕は、ユニットを組める程度の人数を担当アイドルとして抱えているけれど、
僕が一人前のプロデューサー面をできるのも、最初の担当が芳乃だったからだと思う。

「では、わたくしもご一緒させていただきたくー」

芳乃は、弱音も愚痴も吐かずしっかりと仕事をこなす。それだけでもすごいのに、
僕が落ち込んでいる時は励ましてくれた。焦っている時は落ち着かせてくれた。

率直に言って、僕は依田芳乃という少女に、仕事のパートナー以上の感情を抱いていた。

◆02

「やはりお疲れのようですねー」

芳乃の声で、僕はふっと我に返った。

「あー、ごめんな。ぼうっとしてて。アイドルに心配かけちゃったよ」
「それだけ、わたくし達の仕事に尽くしてくださっていることは、分かっているのでしてー。
 これは、そなたに報いるところがなければ、いけませんねー」

芳乃は、初夏の日差しのような、いつまでも浴びていたい微笑を浮かべる。
そんな芳乃の表情に、僕は内心がどきりと波打つ。

「それでは、こういった趣向はいかがでしょうかー」

芳乃は、細い素足を砂浜に真っすぐ伸ばして、自分の太腿を手のひらでぺしぺしと叩いた。

「膝枕?」
「不束かでありますが、そなたがお嫌でなければー」

嫌だなんてとんでもない。芳乃に膝枕をしてもらえるなんて、僕だったらすぐに飛びつく。
芳乃の売れっぷりを考えたら、数十万人以上は僕と同じリアクションをするだろう。

「してもらいたいけど。仕事サボってるように見えるのがなぁ」

でも、芳乃の膝を借りることを、僕はためらった。
ただでさえ、僕は芳乃に甘え気味だというのに、こんな調子では、
程なくアイドルとプロデューサーの関係では済まないことに及んでしまう。

「そなたは休息を必要としておりますー。
 “休息を摂って、心身を満足たらしめることも仕事のうち”とは、
 普段からそなたがわたくし達に仰っていることでございますよー」

芳乃は、僕の内心をお見通しのようだった。
プロデューサーという立場を盾にした僕の言い訳を、あっさりと引き剥がした。

「それじゃ、芳乃のお言葉に甘えさせてもらおうかな」
「素直が一番でしてー。さぁさぁ、どうぞー」

僕が砂浜に体を横たえて、頭を芳乃の膝に委ねると、芳乃は僕の顔を手で撫でてくれた。
なぜか目頭が熱くなった。リラックスし過ぎで、涙腺まで緩んでしまったのか。

芳乃の声が聞こえる。何か歌を口ずさんでいるようだ。
子守唄か。僕の、知らない歌。

芳乃に包み込まれた優しい闇に、僕はいつの間にか沈んでいた。


◆03

薄暗く平坦な地面を、僕は歩いていた。
壁は無い。天井も無い。木や屋根のように光を遮るものも無いのに、
夜明け前か夕暮れ時ぐらいの明るさしかない。
上下左右四方八方を見回しても光源が分からない。

歩いている地べたは、気まぐれに凸凹が刻まれた以外は、見渡す限り平坦。
視界がもっとはっきりしていたら、地平線が見えただろう。

僕はそんなところを歩いているような気がした。
歩いている気分はするのだけど、地べたを踏みしめている感覚が非常に希薄だ。
重力の弱い月面を歩けたら、これと似たような体感になるんだろうか。

歩いても歩いても、相変わらず平坦で変化のない景色が続く。
けれど、それを殺風景とは感じなかった。
何か、とても優しげなもので、この空間は満たされていた。



しばらくすると、木々がたくさん連なっているのが見えた。
真っ直ぐとした幹から、細かい枝が狭い扇型に広がり、
丸い葉っぱを飾りのように行儀よくぶら下げている。

木々の間を進んでいくと、三角屋根――切妻造、といったか――の建物が見えた。
近づいてみると、その建物は木造の平屋であることが分かった。

さらに残り数十歩、という距離まで来ると、壁だと思っていた一角に、白い垂れ幕がかかっていた。
壁には他に、窓らしきものがいくつか見えるが、
細いブラインドのようなものがかかっていて、中は窺えない。

その時、白い垂れ幕が建物の内側から、ゆっくりとたくし上げられた。
垂れ幕が上がり切らないうちに、隙間から人影が外から出てきた。

『そなたを、お待ちしておりましたー』

人影は芳乃だった。
出会った時の頃の、白と浅葱色の地に桜を散らした綿抜袢纏を羽織っていた。

『わたくし、依田の芳乃でしてー』

非現実的だった風景に、芳乃というすっかり馴染んだ要素が入り込むと、
とてもちぐはぐに感じられて、僕は自分が夢の中にいる、と実感した。

『そなたは、わたくしと祝言を挙げ、契りを交わすのでございますよー』

だから、芳乃の言葉が頭に入ると同時に、僕は首を縦に振っていた。
芳乃の言葉が僕の望みであっても、全然疑問に思わなかった。


◆04

芳乃がいた。僕がいた。
辛うじて見つめ合える程度の明かりがあった。
感触の心許ない地面があった。その間を満たす空気があった。

他には何も無かった。



芳乃を、背中側から腕を回して抱く。
芳乃の肩は細くて、体格の良くない僕でも、包み込めてしまいそうだ。
茶味がかった黒髪は、漆器のように、わずかな光をあまさず照り返していて、
その垂らしているのに顔を埋めると、黒糖に似た甘い懐かしさが鼻を迎えた。

『それは……そなたでも、恥ずかしいのでしてー……』

物事に動じない芳乃が、はにかむ様を見せてくれたことで、
芳乃にとても深いところまで許されている気がした。思わず頬が緩んだ。

『それに、こんなに近くにいるのに、そなたの顔が見られないのは、寂しいのでー』

芳乃は、細い肩に相応の首を捻って、僕に視線を送ってきた。
見返りの姿勢。くりくりと丸く大きな目が、流し目になっている。
僕は芳乃に回した腕を緩めて、芳乃を横抱きにした。

『目を閉じても焼き付いて離れないほど、そなたの姿を、わたくしの瞳に映して欲しいのですー』

芳乃の瞳に映った自分の顔は、わずかにふらふらと揺らいでいた。

『されば、たとえ離れることがあっても――』

その先を言わせたら、腕の中の芳乃が、泡か漣となって消えてしまう気がした。
僕はくちびるで芳乃の言葉を遮った。

芳乃のくちびるは不思議なもので、交わしている間だけ、こちらの渇望が強くなる。
最初はくちびる同士を重ねるだけだったのが、くちびるを挟み、舌先を隙間から差し入れ、
おそるおそる歯列に触れて、やがて舌をこすり絡ませる。

舌をざわつかせる唾液の味。時々しくじって、漏れてしまう水音。
肌で感じる芳乃の吐息。粘膜を合わせているだけで、現実感が濃くなっていく。
芳乃の体温が混ざる。芳乃の一瞬の身動ぎに、触覚を支配される。

不意に、芳乃が僕の舌へ甘咬みを仕掛けてくる。頬をすぼめて、吸い付かれる。
芳乃の反撃が頭に響く。唾液どころか、脳髄を飲まれている錯覚がする。
僕は反射的に、芳乃を抱く腕の力を強くした。がちん、と歯がこすれて、鈍い衝撃を交わした。

『此処は、そなたとわたくしのみ、逸る道理は、ありませんねー』

芳乃の顔は、いつも僕に向けてくれていた微笑に、
ほんの少し媚びと照れが混じっていた。


◆05

『そなたは、甘えん坊ですねー』

芳乃の体は、後ろから抱きしめた時は、華奢だと思ったのに、
僕が正面から芳乃の胸を貸してもらうと、さっきと逆に僕を包み込んでくれている感じがする。
僕の手で覆えてしまう乳房の膨らみも、近くに寄れば、母性の萌芽は醸し出している。

『あ、んんっ……そなたに、甘えられるのは、心地良いものですよー』

芳乃の言葉に勢いづけられて、俺は乳房の先端にくちびるで触れた。
でも、赤ん坊のようにちゅうちゅうと吸うのは、まだ気恥ずかしくて、
キスの時のように、くちびるで挟んだり、舌先で弄んだりした。

『ん、ふ、ふふっ、そなたは、心地良いと思し召しですかー?』

芳乃の乳首は、乳房の膨らみに半分溶け込んだ控えめな印象だったが、僕は飽かずにそこを味わう。
慎重に歯を添えて、皮一枚ほど歯を食い込ませると、芳乃が息を呑む。
膨らみの内側に走る、芳乃の筋がわずかに動く。感覚を研ぎ澄ませば、芳乃の心拍に届きそうだ。

『そなたが、満足するまで、いつまでもー』

目立たなかった乳首に、血と熱が溜まってきて、少しずつ弾力が出てくる。
乳房の曲線から、徐々に突起が目立ってくる。芳乃が漏らす吐息の変化を、髪で感じ取る。
突起を舌先で押し込もうとすると、僕の舌を押し返してくる。
僕の唾液以外の味が、ほんの少しだけ味蕾を掠める。

気を良くした僕が、くちびるで乳首を思いっきり咥えてやると、
芳乃には強い刺激だったか、細い肩がかくんと吊り上がった。

『んぁっ、はぁ……まこと、ややこのようですねー』

芳乃は、手で僕の頭を撫でてきた。いたずらっこを宥めるようなニュアンスだろう。
でも僕にとっては、芳乃に褒めてもらっている気分がして、また乳房を味わうのに没頭した。

『ん、んんっ、ふ、う、んーっ』

芳乃が肩をもぞつかせる。
その瞬間は、頭を撫でてくれる手が妙な途切れ方をするから、見なくても分かる。
首と髪で味わった芳乃の匂いが、白い肌を薄く取り巻く。芳乃の溜息を、耳が拾う。
芳乃の台詞が途切れがちになって、代わりに単語を成さない声が垂れ落ちてくる。

『あっ……そなた、は、んっ』

キスと胸で、口と舌をぶっ通しに使っていて、少し目先を変えたくなった僕は、黙って乳首を解放した。

『ふ、ふふ……満足、されたのですかー?』

芳乃の乳首は、僕が口に含んでいた方と含んでいなかった方では、えらい違いだった。
僕が含んでいたほうが、それはひどい有様で、乳房から小指の爪ぐらい伸びていて、
僕がベタベタと唾液を塗りつけていため、無残にふやけてしまっている。


◆06

僕は、口に含んでいなかった方の乳首を、十分にかまってやれなくて不公平だと思った。
なので、ふぅふぅと息をついている芳乃の乳房を下から手で覆い、

『んくっ! ふ、ううー、そ、そなたっ』

指を使って、両方の乳首を軽く小突いてやった。
芳乃の上体が一際大きく振られて、長い髪がパラパラと舞い、肌に張り付く。

もう一度。

『は――んっ、うぁっ、んんー』

今度は芳乃の肌から少し顔を離している。
匂いは遠ざかってしまったが、代わりに肩が釣り上がるように動いたり、
鎖骨や首筋が肌から浮き沈みしたり、肋骨周りの肌の下が動揺する様子がよく見えた。
さらには、芳乃が眉根を寄せて、くちびるを閉じて、刺激に耐えているのさえも。

こんなに隙を見せてくれた芳乃は、初めてだった。

『あ、んあっ、あっあっ、んっ、んーっ』

本格的に調子に乗った僕は、子供がおもちゃで遊ぶように、芳乃の乳房を弄んだ。
芳乃が体をよじり、呻き、熱い吐息を垂らす。芳乃の反応に拍車をかけられ、僕の手にも力が入る。
芳乃の肌が、薄暗い中でも分かるほど赤く染まる。玉の汗が、ちらちらと線を引いて流れていく。

『そ、そなた――わたくし、もうっ』

さらに芳乃を蹂躙していると、芳乃が唐突に僕の両手を掴んで抑えてきた。
芳乃は何か言いたげにくちびるを開くも、不安定な呼吸になっていて、喋り出すのに時間がかかった。

『わ、わたくしー……そなたに、偽りを申してしまいましたー……。
 そなたに、気の済むまで、と、申しましたが、わたくし、堪えることが、できませんのでー……』

僕の手を掴む芳乃の掌が、汗でべったりと濡れていて、滑り落ちた。

『手戯を、終いとして、そなたと契りたく存じますー……』

僕の内心は、ほんの少しだけ揺れた。
芳乃が乱れる様を暴きたい。芳乃の中に挿入したい。
両方を同時に堪能させてくれるほど、芳乃は生易しくない。

本当に、どうしようか。

『わたくしはー、そなたとのややこが欲しゅうございますー』

今の僕らを繋ぐ縁は、あまりに心許ない。
もっと心身を強く結ぶ、確たる絆が欲しい。

芳乃の提案は、僕の内心を見透かしていた。

◆07

芳乃は、白くすらりとした脚を入江のように開いて、僕を待っていた。
女陰は指先ほどに開いて、淡い粘膜がてらてらと光り、そこから潤みが太腿まで広がっている。
芳乃の有様を目の当たりにして、僕のモノは既に暴発寸前だ。

『さぁー、そなた、わたくしと、契りませー』

こんな状態だというのに、芳乃はいくらか普段の雰囲気を取り戻していた。
それで、これから行為に及ぶ少女はあの芳乃なんだ、という思いが強くなった。

僕のモノは、自分が知る最大サイズよりもさらに一回り大きくなっていて、
ちょっと信じられない勢い。体を傾けて、慎重に芳乃の入り口にあてがう。
芳乃の中は、先が触れるだけで痺れるほど熱い。そこに芳乃が悩ましげな吐息を聞かせる。僕は煽られる。

『案ずるには……及びませんよー。これが、わたくしの、望み、でしてー』

僕は手足を踏ん張って芳乃を抱き留め、中にモノを進めていく。
中はひたすらに熱く、きつい。めいいっぱいの力で握りしめられているようで、痛さ半分、快さ半分。
入れる側の僕がこれでは、芳乃はもっと苦しいだろう。

『あ、うっ、ふ、ふーっ、まだ、もっと、奥、でして――』

まだ、と言われて、僕は臍下丹田に力を入れ、なんとか射精を堪える。
芳乃は涙目になっていた。僕が顔を見ているのに気づくと、
芳乃は手と足を僕の背中に回して、僕の肩にしがみついた。
泣き顔を見てはいけない、ということか。

『そなたー、わたくしの、良き人にー……』

初めて芳乃と身を交わした。初めて芳乃の咽びを聞いた。
芳乃の四肢が痛みで軋り、中のモノがぎりぎりと追い詰められる。
楔のごとく食い込んでしまっていて、芳乃の痛みを思うと、身動ぎもできない。

『さて、まだ、これからですよー……』

芳乃の囁きが、耳のすぐ近くから、僕の頭に流れ込む。

『わたくしに、そなたの子種を、くださいましー』

その台詞で、枷を外されて、僕は芳乃の締め付けに挑みかかった。
行ったり来たりの度に、芳乃の息遣いがぐらつく。

『あ――そなた、其処、にー』

縮こまっていた芳乃の背が、弓なりに反発した。
“其処”と言われても、僕のモノは、熱と圧力に塗り潰されて余裕が無い。
ただ、芳乃の望む通りに、という意識が辛うじて残って、僕は記憶だけで“其処”を狙った。

『あ、うぁ、ふー、う、ああっ、んっ、んんー』

芳乃の声が、苦しげなまま一段高くなる。
芳乃が体をわずかに捻る。それが最後の一押しとなって、僕は芳乃の中で果てた。
どっと力が抜けて、僕は芳乃と絡み合いながら、横倒しになった。

◆08

それから僕は、いつ果てるとも知れない明晰夢の中で、芳乃とのセックスに溺れた。
疲れも空腹もない。他に誰も来ないし、何もない。
芳乃の中に子種を撃ち込むか、その余韻でだらだらと身を寄せ合うか。
余韻が晴れたら、また芳乃の体を撫でる。その繰り返し。

『ふふ、そなた、楽しいのですかー?』

回数を重ねるうちに、芳乃の体も行為に馴染んでいった。
肉付きは相変わらず華奢なまま。しかし、反応が変わった。
芳乃から痛みを堪える表情が薄れ、中は締め付けに緩急が出てきた。

『そなたの子種……いくら頂戴しても、足りない気がしてしまうのですー』

それに応じて、僕も芳乃の体の具合を覚えてきた。
どこをどう触れたら、芳乃がどう感じるのか。
こんなことは、プロデューサーとアイドルの間柄では、知る由もなかった。



今、芳乃には、両肘両膝を地につかせて、四つん這いでお尻を向けさせていた。
勿論、一糸纏わぬ姿だ。

『あまり焦らしては、泣いてしまいますよー』

台詞とは裏腹に、芳乃の声音は浮ついていた。
泣くどころか、まだ触っていない女陰から涎が光っている。

『ややこを産むどころか、まだ身籠ってもいないのに、ホトが焼けてしまうようで、たまりませんねー』

女陰が焼けるなんて、縁起どころか洒落にもならないことを口走る芳乃。
妙なことを言われては堪らない。僕は芳乃の突き出されたお尻を両手でがっちりと掴む。

『あー、それでしたらー、あの時にわたくしから声をかけたのも、考えものでしたかー』

芳乃も最初は痛みに乱されていっぱいいっぱいだったのに、
いつしかこの通り、僕を挑発するようになった。
ずっと同じことしかやってないようで、変わることもあるもんだ。

僕は、芳乃の中に狙いを付けた。それだけで、芳乃のお尻に軽い緊張が走った。
僕の動きは、見えてなくてもお見通しってことか。

『は、うっ、うー、やはりー、入る瞬間は、格別の心地でしてー』

僕がモノを捩じ入れると、芳乃の中はさわさわと粘膜の襞を擦りつけてくる。
モノを迎え入れた感触が、芳乃の下肢から背中の筋、肩甲骨、そして頭へ波及する。
芳乃の背中の肌で、無造作に散らばった長い髪が、首を振られるのに引きずられて乱れる。
いつもこうだ。終わる度に梳いて整えても、また始めるとすぐにこうなる。

◆09

『んー、んんー、あー、それ、惜しいですねー』

芳乃は四つん這いのまま、猫が前足を出して伸びをするように、
上体を伏せながら、僕に向けたお尻を突き上げる。
後ろから攻められてるのに、どこ吹く風で催促してくる。

その余裕を奪うために、手を変え品を変えて相手しなければならない。

『んふっ、ふうー、イタズラ、ですかー?』

足の付根をパンパンぶつけ合って、芳乃と一進一退の攻防をしながら、
僕は芳乃のお尻に添えてた手をつつと滑らせる。
肌ごしの骨盤を撫で、背骨の凹みに溜まった汗を、指で塗り広げる。

『あぁ、はぁー、そなたも、好きですねー』

芳乃は、一点を集中して可愛がられるより、まんべんなく相手してもらう方が好みらしい。
結局最後は、奥の子宮に子種を叩きつけるわけだが、それまでは外堀を埋めていく。

僕は手をついて体重を支えながら、上体を前傾させる。両肩がきつくなるまで、顔を前に出す。

『ふぅー、ふううー、そなたの息遣い、わたくしにも感じられますよー』

芳乃の肩甲骨の間は、特に皮膚が薄く、舌をざらつかせると、肌の内側の蠢きまで味わえる気がする。

『ひ、ひゃあっ、ああっ、そなたー、わたくしを舐めても、おいしくはありませんよー?』

重心が下がったので、腰使いは大人しめに。
肌と肌の合わさる音は、出るか出ないか。ゆるゆるとした抽送。

『はふっ、うー、そこはくすぐったいのですー』

僕は上体を戻し、今度は芳乃の脇腹を撫でてやる。
僕は指で撫でている方なのに、こっちにこそばゆさが伝染してくる。
しばらく繋がりっぱなしだと、そういう風に、芳乃と感覚が混線してくる。

そんな気配がしたら、そろそろクライマックスへの上り坂。

『はぁうっ! うっ、ぐ……うー、そなたー、いきなりは、そのー』

モノを行き来するだけだった芳乃の中の奥に、腰を押し出してぐんと突き入れる。
亀頭どころか、陰嚢や会陰まで、ぐわんと揺さぶられる。

『舌を、噛んで、しまうじゃないですかー……』

芳乃はまだまだ余裕だ。口を開ける。意味を成す音声を紡げる。
もうじき、そんなことはできなくなる。

◆10

『く、くあっ、あうっ、ふーっ、ううううっ』

芳乃の中の、どこを目指せばいいのか。子宮の、より近く。
僕は芳乃の腰を抱え直す。もう、探さなくてもいい。ズレなければ、逃さない。

芳乃は歯をくいしばって、奥底に食らう衝撃を耐えている。
でもそれは、衝撃だけではなく、頭の中枢まで入り込む悦楽混じり。
歯を合わせる顎の戒めが覚束なくなる。嬌声が溢れて、僕まで届く。

子宮が近いとか、その距離感を告げるのは、芳乃の反応と、時々飛び散ってくるわずかな感覚。
僕のモノは、それを探すが、なかなか捉えられない。逆に、芳乃は追い詰められるにつれて、
中の襞もヒステリックな痙攣を仕掛けてきたり、お尻をがくつかせて不意の反撃に出てくる。

『あっ、ふあぁー、わたくしっ、はっ、はぁ、あっ』

攻防が進むと、芳乃は両腕から音を上げる。肘が沈み、肩が落ちる。
地に伏そうとする上体に抗うよう、長い髪を波打たせながら、芳乃は首をもたげる。

『ふぁあっ! う、ふぉあっ! う、ううーっ』

でも、次に屈するのはその首だ。
肚裏から差し込まれる快楽と、近づいてくる予感に、
芳乃は喉も、顎も溶蝕されていって、ついに喘ぎが噴出する。

芳乃は、喘ぎ声を聞かれたくないらしい。
声を殺して殺して、どうしても止められない段階になると、
地に崩れた両腕に顔を埋めて、溢れてくる声を無理矢理潰す。
僕は、それが芳乃の盛り上がりっぷりを、むしろ雄弁に語っているようで、俄然勢いづく。

『んぐ、ううっ、ふうぅうーっ!』

押す。引く。撫でる。つつく。粉々になって地に散らばる芳乃の嬌声。
肌と肌がぶつかる音に、女陰からの涎が混ざって、響きが湿る。

近づく限界に合わせて、腰がエスカレートする。叩く。突き立てる。体に衝き動かされる。
芳乃の、この先の子宮に、刻む――のか、逆に自分のモノが、芳乃に引っ張られ持って行かれてるのか。

どっちだって良かった。同じようなものだ。

そこに思いが辿り着いて、僕は我慢しきれずに果てた。
手足の力が抜ける。余韻が濃い霧となって取り巻いてくる。芳乃に腕を回しながら、その霧に没する。
この気怠さが薄れて、また醒めるまで、二人で絡み合ったまま。

◆11

幾日、幾月、もしかしたら、幾年経ったのか。
芳乃と睦み合う夢は、まだ続いている。

『そなたー。前のように、激しくしてはいけないのでしてー』

横たわる芳乃に手を伸ばす。芳乃の膨らんできた下腹部を撫でる。

『お腹のややこに、障ってしまいますからー』

そういえば、ここでも妊娠って十月十日なんだろうか。

芳乃のお腹が目立ち始めてからは、ひたすら続けていたセックスも回数が落ち着いた。
ここは時間も空間も現実感が無いくせに、芳乃だけは妙にリアルな存在感を持っていて、
それは妊娠が明らかになったあとでも同じだった。

『ややこを撫でるの、お好きですかー? そなたも、すっかり父御ですねー』

芳乃は、あどけなさを残す顔のまま。肩や首は肉付きの薄いまま。
でも、慎ましかった乳房は、乳腺のせいで張ってきて、乳首も色素が沈着してくすんでいく。

芳乃の脚は、すらりと直線的な細さのまま。お尻のボリュームは控えめなまま。
でも、くびれていたウエストは、今やぼってりと張り出し、白い肌に妊娠線の赤い罅(ひび)が透けている。

芳乃が望んだことで、自分も望んだことで、後ろめたさは無いんだけど、
愛おしさの中に、どこか罪悪感めいた感情が混じっている。これが既成事実ってやつかな。

そうした芳乃の変化を見守っていたある時、芳乃は僕にあり得ない言葉を告げてきた。

『ややこを産みます時、わたくしは本来の姿に戻るのでありますー。
 その姿を、そなたは絶対に見ないでいただきたく存じましてー』



僕は建物を出て、芳乃と再会した入り口近くに座り、代わり映えしない木々を眺めていた。
僕のすぐ後ろには、やはり再会した時と同じ、白い垂れ幕が下ろされている。臨月の芳乃はその向こう側だ。

芳乃が近くに感じられないと、この場所が、身を置くのに心許ないということを、
僕は痛感していた。何かしなければ、自分の存在も分からなくなる。でも、芳乃に近づく以外のことは――?

たった一人、何も喋らず、手足さえ動かさずにいると、この何もない空間に侵食されていく気さえした。

気が狂っていく予感が恐ろしくて、僕は建物の方向へ振り向いてしまった。
何の変哲も無い白い布が、目の前を覆っている。こんなもの、手を動かせば外せる。

でも、僕の手はそれに触れただけで、そこから手を動かせなくなった。
白い布が――体温を欠いた素っ気ない手触りのくせに、撫でても弾力で押し返してこないくせに、
情事にしっとりと絡みつく露もないくせに――懐かしい芳乃の肌を思い起こさせる。

僕の知っていた芳乃の姿は、本来の姿ではなく、それを隠すためのヴェールに過ぎなかったんだと。

僕は、芳乃に対して、初めて憤りを覚えた。
芳乃が感じられない今、この憤りだけが現実だった。

憤りが手に憑いて、白い布を力任せに払い除けた。



『ああ、そなたは、やはり……覗いて、しまうのですねー』

◆12

「そなたー、そなたー」

何かが顔に触れていた。何かが耳をくすぐった。

「そーなーたーっ」
「うぉっ、いっ、痛っ、な、なん何だっ!?」

べちんべちんべちんと、ビンタだか掌底だかという衝撃を頬に食らって、僕は目を開けた。
上体を起こすと、淡色の水着の上に白装束を羽織った芳乃が見えた。

「実は足が痺れてしまいましてー、起きていただこうと思っていたのですがー」
「あ、あーっ、ごめん! うっかり寝ちゃったみたいで……」

芳乃が手でさすっている太腿の肌には、僕の髪の跡が残ってしまっていた。
お腹は出っ張ってなどいない。

「どうしたのですかー。わたくしの顔に、何かー?」
「い、いや、何でもない、よ」
「相当お疲れだったようですねー」

芳乃は、僕の目線を少し気にしているようだったが、僕は芳乃の姿を見つめていた。
見つめている内に、起き抜けに食らった鈍い攻撃の残響が引いていった。
芳乃との契りが夢だった、と僕は認めざるを得なかった。
夢と分かっていたのに、それを夢と切り捨てると、心臓の下がキリキリと痛んだ。

「泣いておられるのですかー」
「……起きたばっかりだから、だよ」
「よほど、寝覚めの悪い夢を見られたのでー」

僕は、芳乃に頭を預けた時と同じくらい緩んだ涙腺を誤魔化すため、
ぎゅっと力を入れて目を瞑った。目蓋が、溜まっていた涙を押し潰した。



「波打ち際は、辛いことも思い出しますねー。例えば、良き人との別れ、でしょうかー」


(おわり)

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