夢を司る竜、オニロドラコーン。普段は幼い少女のような姿をしている。
常に眠るかうとうとしており、完全に起きている所を見た者はそうそう居ない。
様々な次元・世界をふらふらと渡り歩いていたが、寝心地が良い世界であるという理由で、ドラルヘイムに居着いている。
身体能力はとても低く、腕力は人間の子供並み。蘇生能力どころか、肉体再生能力も無い。
銃弾や魔法を弾く堅牢な鱗も無ければ、炎のブレスも吐けない。
スタミナも無く、少し走っただけですぐに息切れを起こす。
……と、肉体的にはか弱い人間の子供のそれでしかなく、他の竜種には到底及ばない。
ネフェリィルは常に『夢竜眼封じ』と呼ばれるアイマスクをつけている。(このアイマスクは、本人の感情に合わせて『表情』や『文字』など、様々なものを映し出す)
その理由は、ネフェリィルの持つ『オニロドラコーンの瞳』にある。
睡眠を必要とする生物はネフェリィルの意志に関係なく、その瞳を見た瞬間に強烈な眠気に襲われて眠り込んでしまうのだ。
録画した映像や写真などで間接的に見た者も、同じように眠り込んでしまう。
瞳を見さえしなければ何の問題も無いのだが、もし目にしてしまった場合はどのような手段を用いても深い眠りに誘われる。
そんな力を封じ込める為に、ネフェリィルは特殊なアイマスクをつけているのである。
またネフェリィル本人の意志でこの力を行使した場合、本来睡眠を必要としないような存在でも『あり得ないはずの睡眠』に陥ってしまう為、非生物だからと言って油断は出来ない。
非常に危険な能力である。
普段の性格は温厚。気まぐれでマイペースだが、他人を気遣う確かな優しさを持っている。また、眠いと底なしに無気力になる悪い癖もある。
夢の世界では少し性格が異なり、様々なことに積極的になる。そんな彼女はSでもありMでもある、リバーシブル、ハイブリッドとも呼べるタイプであり、夢の世界の奥底では誰にも見られず色々といけないことをやっているらしい。
しかしあくまで夢の中での話であり、現実世界の彼女はそういったことには興味を示さない。現実のネフェリィルと夢のネフェリィル。両者は別の人格であり、もっと言えば別存在である。〈※1〉
■昼寝
なんと0.22秒で眠ることができる。
■夢幻竜術《オニロ・マギア》
オニロドラコーン特有の術。『夢』と『幻』に関する非常に多くの力を保有している。
強力な術が揃っているが、行使する力が強力であればあるほど、使っている最中に本体が深い眠りに落ち、結果として外からの攻撃に対して無防備になってしまうのが玉に瑕である。
(深い眠りに落ちている間は何をしても起きないらしい)
・幻影作成
精緻な幻影を見せることができる。
サイズの制限はなく、豆粒だろうが巨大なドラゴンだろうが自由自在に作り出すことができる。
勿論幻なので、作り出したドラゴンに食べられようが火を吐かれようが物理的ダメージはない。
しかし、あまりにリアルな為に精神的なダメージは負うかもしれない。
・夢踏み
他者の夢に入り込み、夢を自在に操ることができる。夢を通じて精神に干渉することも可能。
起きていようが寝ていようが問題なく使える。
・夢誘い
オニロドラコーンの持つ、最も恐ろしい能力の一つ。起きている状態でなければ発動できない。
現実に居る相手を自らの創り出した夢の世界へと引きずり込むことができる。夢の世界へは、基本的に招かれた者しか干渉することが出来ない(例外も存在する)
対象は、ネフェリィルが自分の能力で眠らせた者、若しくは現在眠っているということをネフェリィルが知っている者。
効果範囲は半径20km。対象の取捨選択可能。引き込める数に制限なし。
ドラルヘイムにやって来た勇者達の中で、ネフェリィルの眠りを意図的に邪魔した侵入者に対して使うことがある。
ネフェリィルにひと目で気に入られでもしない限りは基本的に、勇者達は夢の世界に入ったことに気づかないまま『夢の中のドラルヘイム』を攻略させられることとなる。
(ひと目で気に入られた際は彼女の奥底にある秘密の夢の世界〈※2〉へお持ち帰りされることがある)
『夢の中のドラルヘイム』は、実際の攻略に比べれば格段に難易度が低い為、ある程度の強さがあれば攻略は十分に可能。
ただし、この世界で命を落とした者は、ネフェリィルが許可しない限り二度と覚めることのない深い眠りにつくことになる。
ドラルヘイムでは何をしても起きない勇者達が転がっていることがあるが、それはこの能力の犠牲になったということである。
更に、ネフェリィルは夢の世界の中に999階からなる悪夢の塔を用意している。
先述の『夢の中のドラルヘイム』でエリスを討ち取った後に、ネフェリィルに気に入られればこちらへ招待されることがある。
ネフェリィルが用意した『塔のぼりゲーム』をクリアすることが出来れば、侵入してきた勇者だろうがちゃんと解放してくれる。
塔の中には宝箱が配置されており、中から夢の世界でのみ使える武具などが入っている為、これらを使って攻略していくこととなる。
またネフェリィルが創り出した町や住人なども塔の中に用意されている。
このゲームに挑んでいる最中は死んでも町の宿屋で復活することができる為、時間さえかければ攻略は可能。
だが、殆どの勇者達は出てきた時には正気を失っているという。
それもその筈。ギミック、モンスター、町に至るまで彼らの健常な精神を削っていく〈※3〉演出や仕掛けが盛りだくさんなのである。
引き込まれた夢の世界に共通していることだが、あらゆる現象はネフェリィルの意志に従っている。
故に、夢の中に彼女が現れた際、本体を狙ってどうこうする、というのは実質不可能である。
(放った弾丸が花弁となって散る、取り出した伝説の剣がキャンディーになってしまう、杖から出した炎が砂糖になってしまう……など。)
この能力のデメリットとしては、
・眠っている現実世界のネフェリィル本体は完全に無防備であるということ
・ネフェリィルが夢の世界に入っている間は、新たに対象を夢の中へ引き込めないということ
が挙げられる。
・夢封じ
自らの夢の世界に対象を閉じ込めてしまう能力。
現実に存在する身体ごと夢の世界に閉じ込めてしまうという点が夢誘いと異なる。
主に、ネフェリィルが気に入った者に対して使用する。
夢の世界に閉じ込められてしまった場合、特別な力〈※4〉を持っていない限りは脱出不可能。
・夢現結界
オニロドラコーンの持つ、最も恐ろしい能力の一つ。起きている状態でなければ使えない。
現実世界を自分の夢で書き換えることができる。例えば、起きてしまった事実を、夢に変えてしまったり。
効果範囲は(暴走〈※5〉していなければ)ネフェリィル自身から半径20m。
この力の応用で様々な道具やお菓子など夢から様々なものを取り出すことができるが、一度寝てしまうと全て消えてしまう。
つまりどれだけ長くても2時間程度が限度〈※6〉である。更に言うと数秒で消える可能性がある。
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※1 普段のネフェリィルは比較的大人しい、温厚な性格。夢の奥底のネフェリィルは他者を弄ぶ残忍な性格。夢の中のネフェリィルには、エフアルティスという別の名がある。禍々しい翼と尻尾を持った、黒髪の少女の姿をした竜である。元々は別々の、二匹の夢だったらしいが詳細は不明。
※2 お気に入りほど奥に連れて行かれるらしい。奥に行けば行くほどやばいとか。未成年は見ちゃだめな世界。
※3 一階層ごとに正気度ががりがり削れていく。度胸試ししよう。
※4 通常の汎用移動魔法などではお話にならない。そこらのモブ勇者は諦めるしかないだろう。
※5 極稀に、眠れない状態が続くと夢の力が暴走することがあるらしい。
※6 2時間寝てないのは彼(女)にとってはかなりの寝不足、というレベル。
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