編集日時:2018年04月26日(木) 00:56:00履歴
降りしきる雪の中をロイとソフィアは歩く。
雪を踏みしめる音。遠くの方に見えた街灯りに、思わず顔を見合わせる。
前方の物陰から男が3人が飛び出す。
発砲による閃光。
ロイはソフィアに被さるように物陰に隠れたのち、危険を顧みずすぐさま飛び出した。
金の眼、黒い獣毛、鋭い爪、牙。
悲鳴を上げるまもなく、3人分の血が雪を汚す
「……悪いな。俺のせいで危ない目に遭わせて」
「ううん、いいの。わたしがつれていってって、言ったんだもん。それよりもうすぐ街だよ」
「ああ。……ありがとう」
深夜。漆黒のバイクに跨がり、桜の木を見上げるロイ。
もう葉桜となっていた。先日まで咲き誇っていた花びらは、すでに散っている
傷つき、倒れたチアキ。
血で汚れることを気にすることなくすがりつき、泣きじゃくるソフィア
「私を連れて逃げてください、伊東さん」
強い風が吹き抜けると、地面に落ちた桜が一斉に舞う
夜、駆け抜けるバイク。テールランプの赤が尾を引く。
ロイにしがみつくソフィア。
路地裏、追手に囲まれる。空高く咆哮するロイ
二人の旅をするカットが流れる。
・ラーメンを食べる。ロイは大盛りに加えてご飯と餃子。
・夜空。稲穂の揺れる広大な田んぼ。遠景。
・フェリーに乗っている。ソフィアは柵から身を出して何かを指さしている
・フードを深く被り、検問を通り抜けようとする
・ロイの身体を手当するソフィア
・ソフィアを抱きかかえて、月を背景に跳躍するロイ。背景はビル街
・多くの追手が倒れている。炎上している車。人狼の姿、口の周りを血で汚して座り込んでいるロイを強く抱きしめるソフィア
雪原から、レンガ造りの街へ。
窓から漏れる温かい光を横目に、路地裏へ。
目をやり、耳をそばだてて、人の気配を伺いながら
「……大丈夫そうだな」
「お腹すいたね。温かいものを食べようよ」
「そうだな。どこか適当に入ろうか」
再び表通りに出ようとすると、徐行するパトカーが通りかかり、急いで身を隠す二人。
しかし警官は無線で周囲のパトカーに呼びかける。
すぐさま潜伏する路地の近辺に、集まるパトカー
慌てるソフィアを、ロイは抱きかかえて走る。
人狼の血によって強化された脚力で、屋根の上まで跳躍し、
雪の積もる屋根の上を走る。
銃声。
屋根上の進路を遮るのは、"孤児院"からの追手
ソフィアを安全な場所にうずくまらせて、
ロイは逃げ道を切り開く。路地からは警官が銃を撃ち、
進路からはアサルトライフルが連射される
雲間から覗く月を見上げて、正体を現すロイ。
針のように硬い毛、黒曜石の矢尻のような爪。咆哮は彼方まで響き、眼光は標的を確実に捕らえる。
追手からライフルを奪い、跳躍しながらも正確な射撃で追手を撃ち抜く。銃弾に撃ち抜かれても、怯むことなく。
[屋根上の追手を倒しきり、再びロイはソフィアを抱きかかえる。雪の街を飛び越えるようにして、夜へと姿を消す]
路地裏。ロイは元の姿に戻っている
「ソフィア、わ――」
ロイが申し訳なさそうに言いかけたところに、ソフィアは人差し指をあてて止める。ロイは何も言わずに、ソフィアを抱きしめる
雪を踏みしめる音。遠くの方に見えた街灯りに、思わず顔を見合わせる。
♪
風に舞うのは粉雪 張り詰めた夜の中
遠く微かな街灯を 目指して二人は歩く
吐く息さえも凍てつき すべては零下
繋いだ手と手だけがわずかな温もり ♪
風に舞うのは粉雪 張り詰めた夜の中
遠く微かな街灯を 目指して二人は歩く
吐く息さえも凍てつき すべては零下
繋いだ手と手だけがわずかな温もり ♪
前方の物陰から男が3人が飛び出す。
発砲による閃光。
ロイはソフィアに被さるように物陰に隠れたのち、危険を顧みずすぐさま飛び出した。
金の眼、黒い獣毛、鋭い爪、牙。
悲鳴を上げるまもなく、3人分の血が雪を汚す
「……悪いな。俺のせいで危ない目に遭わせて」
「ううん、いいの。わたしがつれていってって、言ったんだもん。それよりもうすぐ街だよ」
「ああ。……ありがとう」
(語り:あの日……ソフィアが「闇を受け入れないで」と言ってくれたおかげで、俺は衝動を制御できるようになった。再び、日常を、大切な人たちを大切に思えるようになった。しかし、だからこそ俺は、一人、姿を消すことを決意した。俺が人狼となったことを知れば、"孤児院"は確実に俺を追ってくる。大切な人たちを巻き込むわけにはいかない)
深夜。漆黒のバイクに跨がり、桜の木を見上げるロイ。
もう葉桜となっていた。先日まで咲き誇っていた花びらは、すでに散っている
♪
想い出すのは花びら 桜の花びら
春から夏へと移ろう 緑の季節
大切な人が守った 大切な日々を
彼女が過ごすことだけを願っている ♪
想い出すのは花びら 桜の花びら
春から夏へと移ろう 緑の季節
大切な人が守った 大切な日々を
彼女が過ごすことだけを願っている ♪
傷つき、倒れたチアキ。
血で汚れることを気にすることなくすがりつき、泣きじゃくるソフィア
♪
もう十分すぎるほど
喪って 悲しんで 苦しんだのだから
花咲ける季節 幸せになってほしいと 願っていたのに♪
もう十分すぎるほど
喪って 悲しんで 苦しんだのだから
花咲ける季節 幸せになってほしいと 願っていたのに♪
「私を連れて逃げてください、伊東さん」
強い風が吹き抜けると、地面に落ちた桜が一斉に舞う
♪
だから俺は 決して手放さない
幸せにするなんて 約束は出来ないけれど ♪
だから俺は 決して手放さない
幸せにするなんて 約束は出来ないけれど ♪
夜、駆け抜けるバイク。テールランプの赤が尾を引く。
ロイにしがみつくソフィア。
♪
だから俺は キミを守るよ
光をくれた キミのことだけは絶対に ♪
だから俺は キミを守るよ
光をくれた キミのことだけは絶対に ♪
路地裏、追手に囲まれる。空高く咆哮するロイ
♪ キミのことだけは 命に代えても ♪
(語り:それから遠く旅をした。"孤児院"の執拗な追跡のみならず、人狼である俺は、人の目から逃れるのに苦労した。宿を得られず野宿をすることもあったし、息をひそめて一晩中やり過ごさなければいけない夜もあった。ソフィアを連れてきて、後悔しなかったかといえば嘘になる。俺たちの目指している『安全に暮らせる場所』は、そもそもソフィアには当たり前のものだったのだから)
二人の旅をするカットが流れる。
・ラーメンを食べる。ロイは大盛りに加えてご飯と餃子。
・夜空。稲穂の揺れる広大な田んぼ。遠景。
・フェリーに乗っている。ソフィアは柵から身を出して何かを指さしている
・フードを深く被り、検問を通り抜けようとする
・ロイの身体を手当するソフィア
・ソフィアを抱きかかえて、月を背景に跳躍するロイ。背景はビル街
・多くの追手が倒れている。炎上している車。人狼の姿、口の周りを血で汚して座り込んでいるロイを強く抱きしめるソフィア
♪
風に舞うのは粉雪 張り詰めた夜の中
追い抜いた桜前線 はるか日々は遠く
吐く息さえも凍てつき すべては零下
それでもキミ(あなた)がいるから 何も寒くはない ♪
風に舞うのは粉雪 張り詰めた夜の中
追い抜いた桜前線 はるか日々は遠く
吐く息さえも凍てつき すべては零下
それでもキミ(あなた)がいるから 何も寒くはない ♪
雪原から、レンガ造りの街へ。
窓から漏れる温かい光を横目に、路地裏へ。
目をやり、耳をそばだてて、人の気配を伺いながら
「……大丈夫そうだな」
「お腹すいたね。温かいものを食べようよ」
「そうだな。どこか適当に入ろうか」
再び表通りに出ようとすると、徐行するパトカーが通りかかり、急いで身を隠す二人。
しかし警官は無線で周囲のパトカーに呼びかける。
すぐさま潜伏する路地の近辺に、集まるパトカー
(語り:人を殺すことにためらいはなくても、警察に追われる身になっても、本当の悪党に成り下がったわけじゃない。ソフィアがそれを許しても、ソフィアを悪党の仲間にするわけにはいかない。追手は迷わず殺せても、善良な警官らを殺すわけにはいかなかった。人狼というバケモノを警察が追い詰めるのは当然のことだ。それが追手の差し金による手配であっても)
♪
だから俺は 決して手を放さない
それさえ欲深いと 痛いほど知ってるけれど
それでも俺は キミの盾になろう
一緒にいてくれた キミのことだけは絶対に
キミのことだけは 命に代えても ♪
だから俺は 決して手を放さない
それさえ欲深いと 痛いほど知ってるけれど
それでも俺は キミの盾になろう
一緒にいてくれた キミのことだけは絶対に
キミのことだけは 命に代えても ♪
慌てるソフィアを、ロイは抱きかかえて走る。
人狼の血によって強化された脚力で、屋根の上まで跳躍し、
雪の積もる屋根の上を走る。
銃声。
屋根上の進路を遮るのは、"孤児院"からの追手
♪
いくらでも闇を纏おう
撃ち抜いて 引き裂いて 噛み砕いてやろう
凍える世界 一筋の光を 守り抜くために♪
いくらでも闇を纏おう
撃ち抜いて 引き裂いて 噛み砕いてやろう
凍える世界 一筋の光を 守り抜くために♪
ソフィアを安全な場所にうずくまらせて、
ロイは逃げ道を切り開く。路地からは警官が銃を撃ち、
進路からはアサルトライフルが連射される
♪
だから俺は 決して手を放さない
それさえ欲深いと 痛いほど知ってるけれど
それでも俺は キミの盾になろう
一緒にいてくれた キミのことだけは絶対に ♪
だから俺は 決して手を放さない
それさえ欲深いと 痛いほど知ってるけれど
それでも俺は キミの盾になろう
一緒にいてくれた キミのことだけは絶対に ♪
雲間から覗く月を見上げて、正体を現すロイ。
針のように硬い毛、黒曜石の矢尻のような爪。咆哮は彼方まで響き、眼光は標的を確実に捕らえる。
追手からライフルを奪い、跳躍しながらも正確な射撃で追手を撃ち抜く。銃弾に撃ち抜かれても、怯むことなく。
♪
俺は 決して手を放さない
悪い狼だと 罵られたって構わない
それでも俺は キミを抱きしめよう ♪
俺は 決して手を放さない
悪い狼だと 罵られたって構わない
それでも俺は キミを抱きしめよう ♪
[屋根上の追手を倒しきり、再びロイはソフィアを抱きかかえる。雪の街を飛び越えるようにして、夜へと姿を消す]
♪
光を教えてくれた キミのことは絶対に
どんなに凍てついた夜を 往くことになろうとも ♪
光を教えてくれた キミのことは絶対に
どんなに凍てついた夜を 往くことになろうとも ♪
路地裏。ロイは元の姿に戻っている
「ソフィア、わ――」
ロイが申し訳なさそうに言いかけたところに、ソフィアは人差し指をあてて止める。ロイは何も言わずに、ソフィアを抱きしめる
♪
だから俺は 決して手を放さない
悪い狼だと 罵られたって構わない
それでも俺は キミを抱きしめよう
光を教えてくれた キミのことは絶対に
どんなに凍てついた夜を 往くことになろうとも ♪
だから俺は 決して手を放さない
悪い狼だと 罵られたって構わない
それでも俺は キミを抱きしめよう
光を教えてくれた キミのことは絶対に
どんなに凍てついた夜を 往くことになろうとも ♪