鈴木輝昭と、千原英喜の合唱作品を掘り下げるWiki。

混声合唱のための「レクイエム

曲データ

編成SATB
演奏時間ca.21'30"
難易度中級〜上級
入祭唱ca.4'30"
哀歌・慟哭ca.5'00"
相聞ca.4'30"
挽歌ca.3'20"
コラールca.4'10"

初演データ

第1稿全曲
初演日1996年1月17日2005年1月17日
初演演奏会阪神淡路大震災犠牲者追悼式典追悼と復興によせる祈りのコンサート
初演会場兵庫県公館神戸新聞松方ホール
初演指揮松原千振松原千振
初演合唱神戸中央合唱団神戸中央合唱団

備考

第1稿は混声合唱のための「LAMENTO[悲歌]」として現在の第2,5曲だった。
「LAMENTO」の演奏会用ヴァージョンとして、ハープ付の版も存在する。

作品について

テキストは、人麻呂と古代歌謡、ミサ典礼文による

「哀歌・慟哭」には古事記で須勢理毘売が詠った「汝が泣かさまく 朝雨の 霧に立たむぞ」の歌が使われている。

弦楽のためのシンフォニア第2番 「カントゥス スピリタリス」に「Requiem」の曲がありメロディは「入祭唱」と同じものが使われている。
また「千原英喜歌曲集」の「石見相聞歌」は「相聞」、「吉備津采女挽歌」は「入祭唱」のメロディである。

OCMによる解説

歌詞

入祭唱
楽浪の志賀津の子らが罷り道の川瀬の道を見れば寂しも

Requiem aeternam dona eis, Domine:
et lux perpetua luceat eis.
Te decet hymnus, Deus, in Sion:
et tibi reddetur votum in Jerusalem.
Exaudi orationem meam,
ad te omnis caro veniet.
Requiem aeternam dona eis, Domine:
et lux perpetua luceat eis.
哀歌・慟哭
群鳥の 我が群れ往なば 引け鳥の
我が引け往なば 泣かじとは 汝は云うとも
汝が泣かさまく 朝雨の 霧にぞ立たむ
相聞
笹の葉はみ山もさやにさやげども我は妹思ふ別れ来ぬれば

な思ひと君は言へども逢はむ時いつと知りてか我が恋ひずあらむ

石見のや高角山の木の間より我が振る袖を妹見つらむか

Sicut cervus desiderat ad fontes aquarum:
ita desiderat, anima mea ad te, Deus.

夏草の思い萎えて偲ふらむ妹が門見む靡けこの山
挽歌
(鴨山の)岩根しまける我をかも知らにと妹が待ちつつあるらむ

(直の逢ひは)逢ひかつましじ(石川に)雲立ち渡れ見つつ偲はむ

今日今日と我が待つ君は(石川の)貝[峡]に交りてありといわずやも
コラール
Exaudi orationem meam.

御魂みに きねきこう きゆらならば 天地に
きゆらがす さゆらがす きねきこう きゆらならば

Exaudi orationem meam.

楽譜・音源

阪神大震災10年目の追悼として2005年1月神戸中央合唱団による委嘱初演。テキストは日本の古代歌謡を主にラテン語のミサ典礼文がわずかに用いられており、作曲者の想い描いた日本的レクイエムです。人間の深い悲しみに秘めた神秘的な情感を、一音一音に注がれたその響きは、ふたたび命を灯すような温かみを感じます。「この曲がわたしたちと、わたしたちを取り巻く森羅万象の交感の中に響く、魂の賛歌となることを願っている。」──千原英喜。
立ち読み可

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