ラブライブ!派生キャラ チュン(・8・)チュンのまとめwikiです。

 私が小学生の頃の話だ。何年生だったかはもう覚えていない。
 私の家のすぐ近くの庭にチュン(・8・)チュンが住んでいた。ひどく内気だった私は、人間よりもむしろチュン(・8・)チュンと過ごす時間の方が長かった。チュン(・8・)チュンはいろいろなことを教えてくれた。森の中での虫の見つけ方、暑い夏の過ごし方、いじめっ子から身を守る方法…。今の私を作った価値観のいくつかはチュン(・8・)チュンに教えられたといっても過言ではない。私を虐めていたガキ大将たちが野球に興じている間、私はチュン(・8・)チュンと遊んで過ごしていた。
 私は仕事の最中や酒を飲んだ時などに「今までに過ごした中で一番楽しかった時間は何か?」と考えるときがある。その時に出す結論はいつも同じだ。あの時にチュン(・8・)チュンと過ごした時間だ。

 しかしそんな幸せな時間も長くは続かなかった。ガキ大将がチュン(・8・)チュンが住んでいることに気づいたのだ。
 ある日駄菓子屋から家に帰る途中、私はガキ大将に絡まれた。チュン(・8・)チュンのいるところを教えろというのだ。
 私は勇気を振り絞って「嫌だ」と答えた。ガキ大将のそれに対する答えは腹への強烈な一発だった。私は駄菓子屋で飲んだラムネをすべて吐き出してしまった。ガキ大将と言っても所詮は子供だ。手加減など知らなかった。私は彼にモデルガンで顔を撃たれたことがある。弾が目に当たっていたらと今でもゾッとする。
 私はすっかり怯えてしまった。答えなければ本当に殺されると思った。
 私はガキ大将の言うとおりにチュン(・8・)チュンの居場所を教えた。私は裏切ったのだ。いじめられっ子の辛い毎日の中での唯一の居場所であったチュン(・8・)チュンを。

そのあとどうやって家に帰ったか覚えていない。覚えているのは、自分の大切な居場所が壊されること、そしてその引導を渡したのがほかならぬ私自身ということだった。

 チュン(・8・)チュンがどうなったのか、もう察しが付くだろう。
 翌朝、恐る恐るチュン(・8・)チュンの巣に立ち寄った私が見たのは、考えられるだけの虐待を受けたチュン(・8・)チュンの死体だった。耳はそぎ落とされ、手足は引きちぎられていた。誰かがライターを持っていたのだろうか。右半身は焼けただれていた。
 私は涙が止まらなかった。声の出る限り叫んだ。チュン(・8・)チュンを殺したのは私だ。誰かに言って欲しかった「お前が悪い」と。

 私はその後裁かれることもなく生きてきた。
 人並みの高校・大学に進学し、人並みの会社に就職し、人並みの生活を送るようになった。
 最近中年と呼ばれる年齢になって思うようになった。あの時チュン(・8・)チュンの居場所を頑として答えなかったらどうなっただろうか。今よりももっと骨のある人間になっていただろうか。
 しかし、いずれにせよナンセンスな問いだ。もう一本ビールを開けて、ねることにしよう。

終わり

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