ラブライブ!派生キャラ チュン(・8・)チュンのまとめwikiです。

 人間悩みは尽きないものだ。
 音ノ木坂に洋菓子店を出店して5年がたつ。常連客の口コミや熱心な宣伝の結果、去年になってようやく開店資金を回収できたところだった。ところが、ここにきて思いもよらない悩みが新たに生まれた。チュン(・8・)チュンだ。
 ここにいる皆さんはご存知の通り、チュン(・8・)チュンはチーズケーキやマカロンといった洋菓子を好む。そして私の店はやつらの好みそのものの味らしい。まさにやつらにとっては楽園なのだ。
 チュン(・8・)チュンは大抵深夜、人間が寝静まった後に裏口から侵入し、商品に片っ端から嘴を立てていく。そして、同時に大量も糞も残していくのだ。普通の鳥類の糞は白いものだが、チュン(・8・)チュンの糞は人間や犬と同じように茶色いので、視覚的な嫌悪感も強い。また、匂いも強烈なのだ。この前などはいつも以上に商品を食い荒らされ、いつも以上の糞を残されたせいで開店に間に合わず、結局臨時休業としたこともあった。
 私は頭を抱えた。ようやく軌道に乗った商売だったが、このままではうわさが広がり、店は立ち行かなくなってしまう。悩みに悩んだ脱サラから有名洋菓子店での厳しい修行を経てようやく軌道に乗り始めた自分の店を、この鳥もどきのせいで潰せというのか。まっぴらごめんだ。 
 私は最近チュン(・8・)チュンの捕獲を試みている。下品に聞こえるかもしれないが、一度徹底的に痛めつけないと気が済まないのだ。結果命を奪うことになっても構わない。こちらだって命を懸けて店を開いているのだ。
 まずはいつも奴らが侵入する裏口に罠を仕掛けてみた。ゴキブリホイホイにネズミ取りといったお馴染みの品々だ。しかし奴らは意外と知能が高いらしく、こうした罠に引っかかることはなかった。
 はてどうしたものかと思い悩んでいた時、ふと一つの考えが浮かんだ。そうだ、奴らに好きなものを与えてやろう。
 その日の夕方、私は裏口にガラス瓶を置いた。中にはチーズケーキが入っている。チーズケーキを手に入れるためには瓶の底まで下りなければならない。しかし降りたら最後、外には出られない。これがスズメやハトなら飛んで逃げることもできるが、幸いチュン(・8・)チュンはほとんど飛べない鳥だそうだ。あとは次の日の朝を待つのみだ。私は久しぶりに鼻歌を歌いながら店を後にした。

次の日の朝、私は期待と不安半々で店に赴いた。果たしてチュン(・8・)チュンはかかっているだろうか?
 いた!ガラス瓶から必死に脱出しようと羽をバタバタと振っている。しかし、わずかに浮く程度のものだ。さしずめホバリングといったところか?
 チュン(・8・)チュンは私に気が付くと、一瞬羽ばたくのをやめたかと思うと、今度はより激しく羽ばたき始めた。罠の主が現れたのを察したのだろうか。
 私は瓶を摘み上げた。そして、段ボールを持ってくると、瓶をまっ逆さまにした。
 いきなり天地が逆転したチュン(・8・)チュンは頭から地面に激突することになった。「ビィィッ!」という悲鳴を上げ、のたうち回っている。そのあと私はそいつをむんずとつかんで持ち上げた。そして強く握る。まるで蛇が獲物に巻き付いて締め上げるように。
 よく見るとこのチュン(・8・)チュンは雛のようだ。大人と違い、白い産毛で覆われている。親は罠に気づいたが、子供は引っかかってしまったということか。
 さて、こいつをどうするか。今までの恨みとばかりに酷く責めぬいて殺すのもいい。それとも近所の野良猫の餌にでもするか。しかし、どれもありきたりでつまらない。それに、チュン(・8・)チュンはこいつだけではない。こいつを殺したところでまた別の奴が現れるだけだ。
 ふと指に鋭い痛みを感じて我に返った。締め付けられたチュン(・8・)チュンの雛が私の指を突いているのだ。人の店をめちゃくちゃにした挙句、捕まったら攻撃までするのか。私は憤怒した。そして、机の引き出しから千枚通しを取り出すと、チュン(・8・)チュンの背中を下から上に一気に突き刺した。
 「ビィィッ!」という声とともに手足をジタバタと振り回す。これではまるで鰻の串焼きのようだ。
 串焼き?そうだ、いい考えが浮かんだ。

 私は千枚通しが刺さったままのチュン(・8・)チュンをつかむと裏口に引き返した。千枚通しは骨と骨の間をとおっているらしく、落ちることはない。それがかえってこいつの痛みの原因となっているようだ。また、千枚通しが栓の役割を果たしているようで、大した出血はしていない。
 私は物干し竿を持ってくると、裏口に横にかけた。そしてそこに、千枚通しを紐で結び付ける。
 チュン(・8・)チュンの雛はけたたましい悲鳴を上げて逃れようとするが、逃れることはできない。
 これはいわば「案山子」だ。よくカラス除けでもやるというではないか。仲間の死体は人間以外にも大きなインパクトがある。こいつもそう長くは生きられないだろう。立派に案山子の役目を果たしてくれるといいが。

 さて、そろそろ閉店かというとき、裏口から妙な音が聞こえた。
 チュン(・8・)チュンだ!しかも大人の!
 私は急いで裏口へ向かった。すると、なんと雛はまだ生きていた。大した生命力だ。足元を見ると、大人のチュン(・8・)チュンが必死に飛び跳ねて雛を救い出そうとしている。おそらく親だろう。親の方はリボンのようなもので頭の毛を束ねていて、トサカのようになっていた。
 さて、私はこのままこいつを踏み潰すこともできる。しかしそれも面白くない。さてどうするか・・・、そうだ!
 私は親のチュン(・8・)チュンを棒で叩いた。すると親は「ビィィッ!」と子供に似た声で頭を押さえてうずくまった。すかさず私は親を掴み上げる。親も子供の時と同じように必死に私の手を突っつくが、そんなことは関係ない。一種の高揚状態だったのだろうか?
 私は親のトサカについているリボンのようなものを引きちぎった。すると親は「ビィィッ!」という子供と同じような悲鳴を上げた。
 私は解かれたトサカもどきを竿に括り付けた。位置は、雛に届きそうで届かない絶妙な位置。
 
 こうして、チュン(・8・)チュン親子の案山子が出来上がった。予想通り、この案山子は効果があったようだ。案山子がかかっている間私の店がチュン(・8・)チュンに荒らされることはなかった。
 当然というか、親子は三日後には死んでいた。餌はもちろんのこと、水も与えなかったので死体はミイラのように干からびていた。夏で日差しが強かったのも影響したかもしれない。
 このまま腐乱死体を放置してさらに見せしめにしたいところだが、さすがに腐臭が漂うのはまずい。新しいチュン(・8・)チュンが必要だ。
 私はまたチーズケーキ入りのガラス瓶を裏口に設置した。願わくばヒナがかかってくれると面白いのだが。

おわり

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