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icicle_cocone 2024年05月17日(金) 13:45:44履歴
今日のテーマは「話法」です。
例えば、次のような言い方がよく行われます。
Guess what he said to me.
He said, "Would you like me to take you to a show?"
"No, thank you," I said flatly.
彼、私に何て言ったと思う?
「ショーに連れて行ってあげようか どう?」だって。
「いえ、結構です」とキッパリ言ったわよ。
こんな内容ですね。
話法には、ご存じのように、直接話法と間接話法があります。
「話法」といえば、なんかむずかしそうな印象を与えるかもしれませんが、
新聞などの報道では絶対に不可欠な表現手段です。
基本的な形は、2つ。
A says, " ........"
A says that ....
この2つです。
いずれの場合も、発言の出所を示して、その内容を明らかにするというものです。
A says, "......" は
直接的に相手の言ったコトバを反復することから「直接話法」と呼ばれます。
一方、A says that .... では、
相手の言ったコトバを話し手の視点から表現した言い方であり、「間接話法」と呼ばれます。
直接話法は相手のコトバをそのまま反復するため、引用符に入れます。
間接話法では、相手のコトバを話し手の視点から調整しているためそのままのコトバではありませんが、
同一内容のことを表現します。
具体例で説明します。
メアリがジョンが彼女に言った内容を
別の人物(ジムとします)に伝えている状況を想像してみてください。
John said, "I love you."
これは直接話法ですね。
John said that he loved me.
これは間接話法です。
John said, "I love you." の I love you. は、ジョンが言ったコトバそのままです。
この場合、I love you の you は、今話している当人(メアリ)ですね。
John said that he loved me. は、メアリ(話し手)の視点からの表現で、
「ジョンは、彼が私のことを愛している、と言った」という内容ですね。
基本的には時制を揃える(時制の一致)という原則が働くため、
John said that he loved me.
のように、said (過去形)にそろえて loved (過去形)にします。
しかし、これはあくまでも一般原則であって、
ジョンが I love you. といった時点ではなく、
今話している現在の情況に関心があれば、
John said that he loves me.
と現在形のままで使い、時制の一致は受けません。
直接話法も間接話法も新聞報道などで多用される表現だといいました。
つまり、誰が何を言ったかを明らかにするのが新聞の役目の大きな部分だからです。
他にも出所を示す表現はあります。
According to John, he has to be hospitalized.
この according to ... もそのひとつ。
I heard from him that he is having health problems.
このように I heard from someone も出所を明らかにする方法ですね。
さらに、From what I heard, he had to be hospitalized.
あるいは From what he says, he cannot play any longer.
などいろいろな言い方があり、これらも新聞の英文ではよく使われます。
しかし、直接話法と間接話法の表現としての特徴は、
誰かが何かについて話したコトバや内容を
そのままだれか他の人に報告することができるという点にあります。
He said, "I have to go to hospital and stay there for a while."
これはある男性が話したコトバをそのまま引用していますね。
さて、直接話法と間接話法の違いを知るポイントは視点ということにあります。
例えば John said, "I arrived here yesterday."
この直接話法の表現を間接話法で表そうとすれば、視点の置き方によって、4通りが可能です。
(1)John said that he arrived here yesterday.
これは、ジョンと話し手の会話は今日、ここで行われ、
しかも、話し手は別の人に、同じ今日、ここで話しているという視点の取り方です。
すると、John said that he arrived here yesterday. が自然な言い方です。
(2)2つ目としては、日にちは同じだが、場所が違うという場合です。
これだと、John said that he arrived there yesterday. となります。
(3)3つ目は、話し手とジョンの会話は、
話し手と聞き手の会話の場所と同じ所で行われているが、
その時間は、聞き手との会話よりも以前の日であるという状況だと、
John said that he had arrived here the previous day.
このようになります。
(4)そして、John said that he had arrived there the previous day.
ということも当然可能です。
つまり、John said, "I arrived here yesterday." は
ジョンと話し手の会話、
話し手と今の聞き手との会話の場所と時間によって、
つまり、視点の取り方によって、意味合いが異なるということです。
このことはとても重要なので、もっと分かりやすい例で説明します。
John が I had a good time yesterday. と Jack に言ったとします。
そして、Jack が今・ここで話をしており、John が言ったコトバを直接伝えるには、
John said, "I had a good time yesterday."
とジョンのコトバを引用するでしょう。
ただし、この発話は Mary にとっていつのことかわからないとします。
分かるのは、過去のある時点で
「ジョンがジャックに『私(ジョン)が昨日は楽しかった』と言った」ということです。
もし John と Jack の会話が昨日行われていれば、
yesterday は、Jack と Mary からみれば、「一昨日」ということになります。
もちろん、Jack と John の会話が二日前に行われたとすれば、yesterday は「三日前」の話になります。
このように、状況が不十分なままで間接話法で表現する場合には、次のようになります。
John told me that he had had a good time the day before.
John が発言した時点より以前に John は楽しい時を過ごしているわけですから、過去・完了形になります。
そして、過去のある時点(Jack と John の会話が行われた時点)を設定して
「その前の日(the day before)」が John のいう yesterday になるのです。
yesterday といえば、常に、発話が行われる時点の前の日に限定されますが、
the day before であれば、基準となる時がいつであれ、「それの前の日」ということです。
これは、2日前にこの授業でやった、next weekと the next week の違いにも当てはまります。
next week も John と Jack の会話が行われた時点での next week であって、
John の発言を Jack が Mary に伝える場合には、
John と Jack の会話が行われた時点を基準にするため、the next week となるのです。
もし Jack と Mary の会話で next week といえば、
その会話の時点からみた「来週」ということになります。
このように、間接話法の表現は、視点がどこにあるのかを考えることが重要です。
ただし、大切なことは、直接話法と間接話法の2つはまったく違った表現の仕方であって、
実際の言語活動で、直接話法から間接話法だとか、その逆の転換ということは決しておこりません。
直接話法はあくまでも、だれかのコトバをそのまま忠実に表現する手法です。
He told me, "Go and get it."
この表現の仕方と
He told me to go and get it.
の仕方は違います。
学校では、He told me, "Go and get it." の間接話法の表現が
He told me to go and get it. だと習うことがありますが、
He told me to do .... になると話法という意識すら薄れます。
「誰かが〜と言った」ということを伝える際の動詞を「伝達動詞」と呼びます。
たとえば、疑問文の引用だと、ask を使い、He asked me, "Are you happy?" のように言いますね。
伝達動詞の代表は、 say, tell, ask の3つですが、
情況に応じて、suggest, answer, cry, order, request, advise などが使われます。
いずれにせよ、直接話法は誰かが言ったコトバを引用するやり方で日常会話では頻発します。
表現の仕方も簡単で、
"Will you hold the door, please?" she said.
のように引用符でコトバを反復すればよいのですね。
これを別の言い方で表現すれば、
She asked me politely to hold the door.
となるでしょう。
Will you .... please? なので丁寧な依頼ですよね。
だから、She asked me politely to hold the door. と politely が出てくるのです。
ここでは please を politely で表現していますが、これは間接話法というより、
むしろ ask + 名詞 + to do の構文として理解しておくほうが自然だと思います。
最後に、実際の話法の例を示します。
情況としては、いつもお腹をすかしていた子供だった私が、
食卓がいつもにぎやかだった伯母の家に行ったときを回想した場面です。
I asked Aunt Maggie if I could eat all I wanted.
"East as much as you like," she said smilingly.
I ate to my satisfaction, but there were still a lot more things I had seen before.
When I was trying to reach a slice of ham, my sister said in a soft voice,
"Your eyes are bigger than your stomach."
こんな感じです。
said smilingly, だとか said in a soft voice なんかいい表現ですよね。
英文を読む際に、特に直接話法に注目して読むとまた、違った味わいができると思います。
このように、この授業でも繰り返し言っているように、
あらゆる表現は今・ここの視点から行われます。
そして過去を回想する表現においても、
過去における時間の設定だとか、
視点の取り方が表現に表れているということです。
He told me that he had to be hospitalized there.
この that 節内では 過去完了形が使われていますが、
それは、過去完了でなければならない理由がちゃんとあるのです。
同様に、 yesterday を the previous day だとか the day before と表現するのも、
視点ということを考えれば、当然、そうした表現でなければならないということが分かります。
今日の話法を報道において必須の、たぶん、もっとも重要な表現として理解しておいてください。
"No! It's not me!" I exclaimed.
"I don't trust you," he mumbled.
"I did it," I confessed.
のように、
said の代わりに confess, exclaim, mumble なども自由に使いたいですね。
また、おなじ said でも、
"You also stole my ring, didn't you," he said angrily.
のように副詞を使うことで表現がずいぶんと豊かになります。
今日の授業はここまでですが…
(この後、授業方法と進め方についての質疑)
じゃあ、今日は、これぐらいにします。
どうも、ありがとう。
では、さようなら。
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