ココネ なう。 - 使役動詞
目次に戻る




さて、そろそろはじめましょうか。

今日は「使役動詞」がテーマです。
日本語でちょうど「〜させる」に当たる表現です。

「太郎は花子の部屋で勉強した」と
「次郎は太郎に花子の部屋で勉強させた」とではだいぶ状況が違いますよね。

2つ目の文では、
次郎が太郎が勉強するということをさせたということで、
こうした表現を使役表現といいます。
英語では、make, get, have, let があります。

I'll get him to do it.
I'll make him do it.
I'll have him do it.
I'll let him do it.

このどれもが使役表現です。
この4つの動詞で get と make, have, let には
構文的な違いがあります。
つまり、get の場合は、

I'll get him to do it.

のように get him do it ではなく、
get him to do it となるところがポイントです。

to do は不定詞で
「行為と向き合う」という意味です。
get には働きかけてある状態を得るこういった感覚があります。
そこで I'll get him to do it. は
彼に働きかけて何かをするような状態に仕向ける、
何かをするような状態に仕向ける、という感じがあります。
つまり、 get を使役動詞として使えば、
誰かに働きかける、これがポイントになります。


ところが make
これは「何かに手を加えて何かを作る」こういう意味ですよね。

手を加えて、と言う部分と作るという部分が大切だから、
何かをしたいくないという人にでも

I'll make him do it.

といえば [him do it](彼がそれをすること)という状況を make するという意味で、
強制的にでもさせる、という意味が出てくるのです。


ここでおもしろい使い方を紹介します。
口げんかをしているAとB。
Bが腹立たしいことを言ったという場面でAが

Take back what you said.

これは言ったことを取り消せということです。
what you said を take back せよということですね。
さて、これに対してBが

Make me.

と答えました。
Take back what you said. -- Make me. です。
この make me は「やだな」といった感じす。

《生徒 : 取り消させてみろ!=やなこった。》

Good point!
Make me take back what I said.
この省略です。
「できるもんなら取り消させてみな」ということですね。
つまり、無理やりにでもやっってみろこういう感覚が make にあるんです。


では、have の場合はどうか?
have は「何かを持つ」ということから、

I'll have him do it.

は [him do it](彼がそれをすること)を have する
つまり、ある状態を確保する、といった感じで
結果を先取りしたような感覚があります。

make は「変化」と「結果」の両方が関係していきますが、
have は「結果」に焦点が置かれるのです。
そこで、I'll have him do it. は
「彼に、ちゃんとそれをさせる」ということ、
努力の部分よりも何かの権限でやらせるから心配するな、こんな意味合いがあります。

《生徒 : そうさせるのに努力がいらないってことですか。》

はい。

《生徒 : 親とか雇い主とかお金を払うお客とか?》

そうですね。
get は「ある人に働きかけてある行為と向き合わせる」
つまり、働きかけが重要。
make は「なんとかして、ある状況を生み出す」
そして have は「ある状態を確保する」といった感じが基本です。
ある状態とはもちろん [him do it] ということですね。

ただし、応用があります。
make だからといって、いつも嫌なことをさせられるのかといえば
そうではありません。

Her song makes me feel good.

これは、彼女の歌にはついうっとりさせられる。
このついうっとりさせられる、この部分に make が働いているのです。

同じように、 have は権限で〜させるというだけでなく

I'll have my husband clean the kithen.

kitchen の場合は、「ちゃんとさせます」だけでなく
「ちゃんとしてもらいます」という意味合いもあります。
夫婦の力関係なんかが関係していきますね。


さて、最後に、let.
let は「何かをするのを阻止しない」という感じの動詞です。

昔、the Beatles の歌に Let it be というのがありました。
これは「それが何であれ、そしてどこにあろうと、それをあるがままにさせる」といったことから
「なるようになれ」
「運命を天にまかせろ」などの意味がうまれます。

だとすると I'll let him do it. は
「彼がそれをするというのを阻止しない(そのままにする)」ということから
「やりたいようにやらせる」こんな意味になるんです。

英語では、
「させる」に対して get, make, have, let があり
get だけが get A to do で
残りは make (have, let) A do となります。
make にせよ、have にせよ結果に焦点があるため
to do it(これからする何か)を make するというのは変な話になります。

このことがちょっとわかりにくいと思うので最後に、次の例をみてください。

I heard her sing a song.

これは「彼女が歌を歌うのを聞いた」ということですね。
I heard her sing a song. は
I heard her to sing a song. にはなりません。
なぜなら to sing a song(これから歌うこと、まだ歌っていないこと)
これを hear することはできないからです。


今日も、まとめは、
形が違えば意味が違う、このことです。
get, make, have, let は形が違います。
また、 him to do it と him do it も形が違います。

今日の授業はこれぐらいにします。
使役動詞のポイントを整理するのに役立てばうれしいです。

授業のやり方をこれから工夫したいと思います。
音声チャットなんかも利用できたらと考えています。
ありがとう!

《生徒 : I told him to do it. も、努力の方に焦点が当たっているからですね》

I told him to do it. も
彼に何かを言い、行為に向かわせたということです。
ほかにも force, cause などの動詞もおなじです。
よい質問なので関連した内容を話します。

How can I get to the station?

これは「駅にいく行き方」を聞く表現ですね。
get to the station は Shakespeare の時代には
I got myself to the station. のように oneself が使われていました。
つまり、自分自身に働きかけて駅と向き合う状態にするだから get oneself なんですね。
このことから整理しなおせば

I'll get him to do it. は I'll get [him] → [to do it]

I'll make him do it. は I'll [make [him do it]]

get は him への働きかけがあるということです。
参考にしてください。

では、また。ありがとう。



目次に戻る